ビジネス・レーバー・トレンド2022年8・9月号
毎月25日更新
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働く女性の健康を支える
働く場で女性が活躍していくためには、健康で仕事を続けていくことが欠かせない。それには、出産・子育て期だけでなく、女性特有の体調変化がでてくる中年期以降も含め、それぞれのライフステージでのサポートの取り組みが重要になってくる。本号では、働く女性が健康への意識を高める啓発活動や不妊治療と仕事の両立、更年期での悩み解消などに尽力する企業と団体の取り組み事例を紹介するとともに、これからのワーク・ライフ・バランス研究に向けたデータ基盤整備をテーマとした労働政策フォーラムでの議論から、働く女性の健康を中心に、あらゆる人のための仕事との両立や調和について考える。
目次
企業・団体取材
医薬品のほかスポーツ飲料などの健康・栄養製品も手がける大塚製薬(東京・千代田区)では、専門のチームを構成して、広く社会に対して、女性が健康に対する意識を高めるための啓発活動などを展開。社員全員が助産師資格を持つWith Midwife(大阪府大阪市)では、助産師が企業の専属となって、女性社員などからの出産、子育て、メンタルヘルスなどの相談にも対応している。ninpath(東京・港区)では、アプリを使って不妊治療している女性をサポート。NPOのFORECIA(秋田県秋田市)では、企業に対して社員が不妊治療を受けやすい環境整備の支援を行っている。これら女性の健康を支える先行的な取り組みを取材した。(調査部)
- 製品開発で培った知見を活かし、女性が自分の健康や身体について「セルフケア」できる日常の醸成に向け、積極的な情報提供・啓発活動を展開 ――大塚製薬による「女性の健康推進プロジェクト」の取り組み
- 助産師の多様なスキルで女性とその家族をはじめ、あらゆる年代のライフステージに沿ったサポートを提供 ――With Midwifeの助産師のスキルを活かした支援サポート事業
- 治療している人が自分だけで治療方法やクリニックについて調べる負担から解放 ――ninpathによる不妊治療可視化アプリを通じた取り組み
- 不妊治療と仕事の両立ができる環境整備に向けて伴走支援――NPO法人FORECIA(フォレシア)による両立に向けた職場環境整備
労組調査
行政の対応
労働政策フォーラム
ワーク・ライフ・バランス研究の新局面─データ活用基盤の整備に向けて─
今年3月に日本学術会議経済学委員会ワーク・ライフ・バランス研究分科会とともに開催した労働政策フォーラムでは、新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでの、ワーク・ライフ・バランスに関する最新の研究成果を報告するとともに、今後の研究の発展に必要なデータの活用や基盤整備のあり方について議論した。(各報告・討論の概要は調査部で再構成したものを掲載している。)
(※講師の所属・肩書きは開催当時のもの)
【報告・討論(1)】
- 【報告】戸田 淳仁
- 厚生労働省 政策企画官(政策統括官付参事官付統計・情報総務室併任)
- 【討論】宇南山 卓
- 京都大学経済研究所 教授
【報告・討論(2)】
新型コロナウイルス感染症の影響下におけるワーク・ライフ・バランス
- 【報告】臼井 恵美子
- 一橋大学経済研究所 教授
- 【討論】安井 健悟
- 青山学院大学 経済学部 教授
【報告・討論(3)】
- 【報告】横山 泉
- 一橋大学大学院 経済学研究科 准教授
- 【討論】中村 さやか
- 名古屋大学大学院 経済学研究科 准教授
【報告・討論(4)】
- 【報告】大竹 文雄
- 大阪大学 感染症総合教育研究拠点 特任教授
- 【討論】角谷 快彦
- 広島大学大学院 人間社会科学研究科 教授
【総括討論】
ワーク・ライフ・バランス研究発展のためのデータ基盤整備に求められるもの
- 【司会】大石 亜希子
- 千葉大学大学院 社会科学研究院 教授
地域シンクタンク・モニター定例調査
各地域のシンクタンクのモニターに、地域経済や地域雇用の動向などについて、定期的に調査を実施しています。
[調査結果の全体概況]
[各地域の調査結果]
- 【北海道】まん防解除で個人消費が持ち直し、見通しは経済動向・雇用動向ともにやや好転
- 【秋田・山形】夏のボーナスを支給する企業は秋田で横ばい、山形で増加の見込み
- 【岩手】有効求人倍率が6期連続、新規求人倍率は7期連続で上昇。次期も人手不足感が強まる見通し
- 【宮城】福島県沖地震の影響で経済持ち直しの動きが鈍化。円安はマイナス要因のほうが大きいとの見方
- 【福島】経済も雇用も横ばい。県内に就職する新規高卒者の割合がやや上昇
- 【茨城】物価の急上昇やまん防適用による需要の冷え込みで経済が悪化。次期も横ばいの見通し
- 【北陸】経済は実績、見通しともに横ばい。雇用情勢は慢性的な人手不足の状況が続く
- 【東海】1~3月期は自動車の挽回生産の足踏みにより持ち直しの動きが一服。4~6月期は好転の見通し
- 【近畿】GW中の人流大幅増で経済は「やや好転」の見通し
- 【中国】まん防解除で客足が戻るも値上げラッシュや先行き不透明感がマイナス要因に
- 【四国】生産や企業業績が足踏み、個人消費も力強さ欠く
- 【九州】経済は業種で明暗分かれる。次期も上海ロックダウンが生産活動に影響の見込み
地域シンクタンクモニター特別調査
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
- 301人以上の事業主に「男女の賃金の差異」の開示を義務付け ――厚生労働省が女性活躍推進法の省令・告示を改正
- 「しなやかな労働市場」の構築に向け、ワーク・エンゲージメント強化やキャリア形成・人材育成の促進などを政策の方向性として提示 ――厚生労働省が雇用政策研究会の「議論の整理」を公表
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 過労死等の労災請求件数は精神障害事案で増加し3,099件 ――2021年度過労死等の労災補償状況
- 相談、助言・指導、あっせんの全ての項目で「いじめ・嫌がらせ」の件数が最多 ――2021年度の個別労働紛争解決制度の施行状況
- 合理的配慮の提供に関する相談が増加 ――障がい者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等の2021年度実績
- 70歳までの就業確保措置を実施済みの企業はほぼ4社に1社の割合 ――厚生労働省の2021年高年齢者雇用状況等報告の集計結果
- 過去1年間にメンタルヘルス不調で1カ月以上休業・退職した労働者のいる事業所割合は10.1% ――厚生労働省の2021年「労働安全衛生調査(実態調査)」
- 7割の事業所で正社員に対するOFF-JTを実施、能力開発・人材育成に問題を感じる事業所も75%超に ――厚生労働省の2021年度「能力開発基本調査」
フォーカス
近年の韓国ではさらに深刻な少子化が進んでおり、世界銀行によると、韓国の合計特殊出生率は世界200カ国で最下位。世界で最も低い出生率を記録した韓国特有の事情、韓国社会にもたらす衝撃、これまで政府が取り組んできた政策と今後の展望について述べる。
- 海外有識者からの報告:世界最下位を記録した韓国の出生率、その現状と政府の対応
イー・サンヨン(JILPT滞在研究員)
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- アメリカ①
- アップルストアで労組結成へ
- アメリカ②
- 「10年間で100万人の組織化を」 ―AFL-CIO大会でシューラー会長
- アメリカ③
- 首都やサンフランシスコなどで最低賃金を引き上げ
- ドイツ①
- 雇用労働者の4人に1人が在宅勤務 ―連邦統計局調査
- ドイツ②
- 操短特例の一部を9月末まで延長 ―ウクライナ戦争の影響で
- フランス①
- コロナ禍で浮き彫りになった産業の空洞化 ―製造業の国内回帰支援による雇用創出
- フランス②
- 頻発する格安航空会社におけるストライキ ―背景にはコスト削減と過酷な労働条件
- 中国①
- 2022年度大学卒業者への政府の就職支援策
- 中国②
- 新しい就業形態(フレキシブルワーク)の最近動向
- 韓国①
- 中高齢者継続雇用促進の必要性と支援策 ―韓国労働研究院レポート
- 韓国②
- 2021年の雇用動向の特徴 コロナ禍からの回復 ―KEIS報告書より
- OECD
- OECD経済見通し 戦争の代償
- ベトナム
- 2年半ぶりに最低賃金を引き上げ
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2022年7月25日掲載