70歳までの就業確保措置を実施済みの企業はほぼ4社に1社の割合
 ――厚生労働省の2021年高年齢者雇用状況等報告の集計結果

国内トピックス

厚生労働省は6月24日、2021年の「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表した。それによると、努力義務である70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は25.6%で、ほぼ4社に1社の割合。就業確保措置としては「継続雇用制度の導入」(77.1%)が最も多かった。70歳以上まで働ける制度のある企業は36.6%となっている。

高年齢者雇用安定法では65歳までの雇用確保措置として、「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかを講じることを義務づけている。さらに昨年4月からは、70歳までを対象とした努力義務として、これら3つのほか「業務委託契約の導入」「社会貢献事業に従事できる制度の導入」のいずれかの就業確保措置を講じることも求めている。今回の結果は、従業員数21人以上の23万2,059社の報告をまとめたもの。

70歳までの就業確保で「創業支援措置の導入」は1%未満

努力義務である70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は25.6%で、ほぼ4社に1社の割合となっている。同割合は大企業で17.8%、中小企業では26.2%だった。

実施済みの企業について、就業確保措置の内容をみると、「継続雇用制度の導入」(77.1%)が最も多く、次いで「定年制の廃止」(15.5%)、「定年の引き上げ」(7.3%)、「創業支援措置の導入」(0.1%)などとなっている。

70歳以上まで働ける制度のある企業は3割超

報告のあった全企業において、66歳以上まで働ける制度のある企業は38.3%(大企業は34.1%、中小企業は38.7%)。また、70歳以上まで働ける制度のある企業は36.6%(大企業は32.1%、中小企業は37.0%)となっている。

7割が継続雇用制度を導入、大企業ほど高い割合

65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.7%。規模別にみると、大企業が99.9%で、中小企業が99.7%となっている。

雇用確保措置の具体的な実施内容は、「継続雇用制度の導入」が71.9%で最も多く、「定年の引き上げ」が24.1%、「定年制の廃止」が4.0%となっている。

規模別にみると、「定年の引き上げ」は301人以上の企業では14.4%にとどまっているが、31~300人では23.7%、21~30人では28.1%と、規模の小さい企業ほど実施割合が高い。「定年制の廃止」についても、301人以上の企業では0.6%にとどまっているが、31~300人では3.3%、21~30人では6.7%と、こちらも規模の小さい企業ほど割合が高い。一方、「継続雇用制度の導入」については、301人以上の企業では85.0%にのぼるが、31~300人では73.0%、21~30人では65.2%と、規模の大きい企業ほど割合が高い。

定年引き上げは65歳までが大半

雇用確保措置として「定年の引き上げ」を実施した企業5万5,797社のうち、4万8,958社(87.7%)は定年を65歳としている。66~69歳とする企業は2,533社(4.5%)で、70歳以上とする企業は4,306社(7.7%)となっている。

常用労働者の13%が60歳以上

報告のあった企業における全常用労働者数(3,380万人)のうち、60歳以上の常用労働者数は447万人で、全体の13.2%を占めた。年齢階級別にみると、60~64歳が239万人(60歳以上に占める割合は53.5%)、65~69歳が126万人(同28.2%)、70歳以上が82万人(同18.3%)となっている。

厚生労働省では、今後も「生涯現役で働くことのできる社会の実現に向けたさらなる取り組みを行う」とともに、「雇用確保措置を実施していない企業に対して、都道府県労働局、ハローワークによる計画的かつ重点的な個別指導を実施」するとしている。

(調査部)