【中国】まん防解除で客足が戻るも値上げラッシュや先行き不透明感がマイナス要因に

地域シンクタンク・モニター調査

中国地域では、1~3月期、4~6月期の経済動向はいずれも【横ばい】となっている。オミクロン株の拡大が、製造業では従業員の感染に、小売業では営業時間短縮に影響した。3月からはまん延防止等重点措置が解除され客足が戻っているが、値上げラッシュで販売額が思うように伸びていない。企業活動でも、ロシアのウクライナ侵攻で先行きの不透明感が高まり、投資が控えられているほか、円安の影響もマイナスがプラスを上回っている。雇用動向では4~6月期の見通しは【やや好転】としている。

<経済動向>

自動車は半導体不足の深刻化で操業停止も

モニターは、1~3月期の中国地域の経済動向について「オミクロン株の感染拡大で、製造業(従業員の感染など)や小売業(店舗営業時間の短縮)に影響が出た」としつつも、「ウイズコロナに慣れた様子もあって低下幅は小幅にとどまっている。地域経済の動向は一進一退の期間」として判断を【横ばい】とした。

部門別にみると、製造業はウエイトの高い自動車で半導体不足が深刻化し、マツダが操業停止に追い込まれている。機械や化学などが一時的に生産水準を上げているものの、モニターは「自動車の生産が本格回復しないことには力強い回復にはつながらない」とみている。

消費面では、中食需要の高まりで惣菜や生鮮野菜などの飲食料品が増加したほか、新生活様式で自転車の販売が好調など明るい材料もあるが、巣ごもり需要の反動で空気清浄機やテレビ、パソコンなど大型家電の売れ行きが低下している。

円安はマイナスの影響がプラスを上回る見込み

4~6月期の見通しについては、「まん延防止等重点措置は解除されたものの、影響が長期化する見込みであることに加え、半導体不足や円安による原材料やエネルギーの高騰、ウクライナ情勢など企業活動の本格的な回復に水を差す要因が多数あることから、地域経済の本格的な回復は見込みづらい」として【横ばい】と判断した。

具体的には、「消費面では、3月にまん延防止等重点措置が解除され客足が戻っているが、値上げラッシュで販売額が思うように伸びていない」「企業活動でも、ロシアのウクライナ侵攻で先行きの不透明感が高まり投資を控えるようになっている」「円安についても、半導体や材料不足、エネルギー価格高騰といったマイナスの影響が、製造業の輸出といったプラスを上回っている印象が強い」などとしている。

分野別の状況については、「化学は食品向け容器の操業度が高く、鉄鋼も建材が好調で、エレクトロニクスもスマートフォンや車載向けの生産が増えるなど上向き要素もある」ことから、全体としては大きな落ち込みにはならないとモニターは予測している。

<雇用動向>

雇用がコロナ禍前の水準に戻るにはもう少し時間を要する

1~3月期の雇用実績についてモニターは、「求人の伸びが新型コロナウイルス拡大前に回復しているわけではないが、前年と比べれば一定数が出ており、回復に向かう状況が見えてきた」としたうえで、【横ばい】と判断した。

具体的には「コロナ禍でも、巣ごもり需要による宅配利用の伸びで運輸での求人が増え続けており、物流センターや小売新店舗、コンビニエンスストア向けの食品製造といった求人も好調を維持している。製造業も車載用カメラなど自動車関連で求人を出すようになった」という。ただし、「企業側の活発な求人の動きがある反面で、求職者がハローワークに出向くのを控えるなど、噛み合わない様子も見られ、コロナ禍前の水準に戻るにはもう少し時間がかかる」としている。

アフターコロナを見越して人材確保に着手する業種も

見通し(4~6月期)については、モニターは【やや好転】としている。

その理由は「求人や採用を抑える企業も一部にはあるものの、コロナ禍の収束を見越して人材確保に着手する業種、人材不足の解消にむけてコロナ禍をチャンスととらえる業種もある」としている。

(調査部)