【岩手】有効求人倍率が6期連続、新規求人倍率は7期連続で上昇。次期も人手不足感が強まる見通し

地域シンクタンク・モニター調査

1~3月期の経済動向は、小売は改善したものの生産活動に弱さがみられ、かつ売上高の景況調査の結果も悪化を示していることから【横ばい】となった。4~6月期の見通しも、原油や資材価格の高騰の影響を受けるものの、個人消費は持ち直していることから前期同様に【横ばい】としている。雇用については1~3月期は有効求人倍率が6期連続、新規求人倍率も7期連続で上昇したことなどから【やや好転】と判断。4~6月期の見通しも、人手不足感が強まるとみて【やや好転】の見込みとしている。

<経済動向>

生産活動にやや弱さがみられる

1~3月期の岩手県の経済指標をみると、小売業主要業態の販売額や新設住宅着工戸数は前年同期比でプラスとなったものの、生産活動にやや弱さがみられたほか、公共工事請負額も引き続き低調だったことから、モニターは【横ばい】を選択した。

なお、モニターが4月に実施した「岩手県内企業景況調査」では、1~3月期の売上高BSIはマイナス21.8(前期比14.8ポイント低下)、経常利益BSIもマイナス40.0(同22.1ポイント低下)で、ともに大幅に悪化している。

外出への不安感が徐々に緩和し個人消費は持ち直しの動きに

モニターが実施した同調査の業況判断BSIの現状判断(4月時点)は、マイナス35.3(前回調査比8.4ポイント低下)で3期ぶりの悪化となっている。また、先行きの判断はマイナス40.6と現状から5.3ポイント悪化する見通し。産業別にみると、製造業は横ばいでの推移が予想され、非製造業も、運輸・サービス業ではマイナス幅が縮小するものの、卸・小売業はさらに悪化するとみられるほか、建設業も厳しい予想となっている。

そのうえで、モニターは4~6月期の地域経済について、「原油や資材の価格高騰の影響を受ける」ことを指摘しつつも、「新型コロナへのワクチンの浸透のほか、5月30日に県独自の緊急事態宣言が解除されたことなどを要因に、外出への不安感が徐々に緩和し個人消費は持ち直しの動きになる」とみて、判断は【横ばい】とした。

<雇用動向>

新規求人倍率は2.03倍に

1~3月期の雇用指標をみると、有効求人倍率は1.35倍(前期比0.09ポイント上昇)と6期連続で前期を上回ったほか、新規求人倍率も2.03倍(同0.02ポイント上昇)で7期連続のプラスとなり、人員確保に向けた動きが強まっている。

新規求人数(原数値)を産業別にみると、製造業では食料品やはん用機械などで求人が増加したほか、サービス業でも自動車や半導体関連への派遣需要が高まり、プラスとなった。また、運輸・郵便業や宿泊・飲食サービス業、医療・福祉などでも求人数の回復がみられた。

こうしたことからモニターは1~3月期の雇用を【やや好転】とした。

人手不足感はさらに強まる見通し

4~6月期の見通しについても、「求職者数はマイナス基調が続くなか、求人数が増加傾向にあり、有効求人倍率および新規求人倍率はやや上昇する」とみて【やや好転】とした。

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」の雇用人員BSIの先行きの判断をみても、マイナス34.7で現状(マイナス33.0)から1.7ポイント低下しており、さらに不足感が強まる見通しとなっている。

(調査部)