2022年度大学卒業者への政府の就職支援策

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2022年7月

新型コロナウィルス感染拡大防止のための都市封鎖により経済が減速する中、政府は就職難に巻き込まれた若者に対する就職支援策を強化している。2022年度の新規大卒者は1076万人で、過去最高を更新した。「史上最も就職が困難な年」と言われる中、大卒者の就職と起業を支援するため、国務院は今年5月13日、「大学卒業生等青年の就職と起業のさらなる遂行に関する通知」(以下:「通知」)(注1)を発表した。

主な内容は以下の通り:

項目 主な内容
多様なルートでの就職ポストづくり
  • 企業の雇用規模を拡大する。就職機会をより多く提供する。
  • 新卒者と1年以上の雇用契約を結んだ中小企業に、雇用助成金(1回のみ)を交付する。
  • 社会保障、医療、高齢者サービス、社会福祉、司法補助などの雇用機会をつくる。
  • 起業とフレキシブル就職を支援し、起業助成金(1回のみ)を給付、起業担保貸付と利子補給、税金費用の軽減、社会保険料補助などの政策で支援する。
  • 2022年、2023年に政府機関や政府系事業組織における大学卒業生の採用規模を継続的に安定させる。
就職サービスの強化
  • 貧困脱出世帯の大卒者、低所得家庭、無就職家庭、さらに障がいのある大卒者、長期失業中の大卒者の就職支援を重点対象とする。
  • 公共就業サービスプラットフォームと大学のキャンパスネットワークとの採用情報の共有化を段階的に実現する。
  • 就職意欲のある大卒者に、1人につき無料で1回のキャリアガイダンス、3回の職業紹介、1回の職業訓練または実習機会を提供する。

求職・就職手続きの簡素化・最適化

  • 「就職報到証(就業報告証)」(注2)を段階的に廃止する。
  • 大卒者は公共就業人材サービス機構への登録手続き等を廃止する。
  • 大学卒業後の進路登録制度を構築する。
  • 大学卒業者が過去6カ月以内に適合する医療機関で健康診断を受けた場合、雇用主は原則として健康診断の再受診を求めないものとする。
若者の就職支援に尽力する
  • 本籍地や常住地での雇用・失業管理サービスの責任を強化する。
  • 職業技能訓練の規模を拡大する。
  • 百万人のインターンシップを増やす計画を実施し、インターン補助金を提供する。

各省・地域の具体策

各省・地域は「通知」を受け、具体策を打ち出している。主要都市・地域の具体的施策の要旨は以下の通りである。

北京市

北京市政府は6月21日、「大学卒業生の就職と起業を支援する若干措置」(注3)を発表し、大卒者の就職・起業を促進するため、就職促進、起業支援、重点支援など6分野16項目の具体策を提案した。北京戸籍を持つ大学卒業生は、フレキシブルワークに就職した場合、最大3年間のフレキシブルワーク向けの社会保険料補助金を申請することができる。低所得者世帯、無職世帯、障がい者世帯の大卒者には、1人当たり1000元の就職・起業補助金を一括で給付する。

また、イノベーション創出事業ために起業する大卒者に、起業担保貸付と利子補給のほか、起業給付金も支援する。政府の投資するインキュベーション拠点などのスペースの約3割を、大卒者に無償で提供する。

上海市

上海市政府は5月22日、「上海市2022年大学卒業生等青年の就職と起業のさらなる遂行に関する通知」(注4)を発表した。大卒者向けのオンライン・オフラインの大規模な求人市場の構築、大卒者起業の奨励、大卒者就職・起業関連サービスの調整と最適化などを提起した。
上海戸籍の大卒者を採用する企業には、実際の採用人数に応じて、1人当たり年間7800元の減税措置を3年間与える。新卒者と1年以上の雇用契約を結んだ中小企業に、雇用助成金(1回のみ)を交付する。

大卒者は上海市の指定する実習拠点で最長12カ月間、実習を受けることができる。 研修生には、当該年度の都市労働者の最低賃金月額の80%の生活費を研修期間中に支給する。大学卒業者が卒業後1年以内に自営業を行う場合、自営業の登録月から3年間、1世帯あたり年間1万4400元を限度として、税金などを控除する。

上海戸籍で、卒業後2年以内の大学卒業者は、上海市内で初めて中小企業、個人事業などを設立し、一年未満の場合、8000元の補助金(1回のみ)を申請することができる。

天津市

「天津市における大学卒業生等青年の就職と起業のさらなる措置」(注5)により、大学卒業生の就職と起業を支援するために、以下のような補助金を提供している。

大卒者と卒業後5年以内の大学卒業生は、天津で最初の事業を立ち上げ、法定代理人を務める場合、社会保障5項目(養老、医療、失業、傷害、生育)を最大3年間、雇用補助金を1年間給付する。大学新卒者と卒業後2年以内就職していない大卒者を採用し、1年以上の雇用契約を締結し、社会保険料を3カ月間納めた天津市の中小企業には、1人当たり1000元で雇用補助金を1回支給する。

福建省

福建省福州市では大卒者の就職に無料宿泊施設を提供する。福州市人力資源社会保障局の発表した「大学卒業生の就職とインターンシップのための無料宿泊施設に関する通知」(注6)により、福州市以外の大学卒業生が卒業後3年以内(卒業年度を含む)に福州で就職、起業、実習をする意欲と予定がある場合、最長1年間の無料宿泊を提供する。

(ウェブサイト最終閲覧:2022年7月6日)

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