ビジネス・レーバー・トレンド2026年8・9月号
原則25日更新
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持続可能な物流と働き方 ――トラック業界が直面する課題と今後の展望
国内貨物輸送では、輸送量(トンベース)の約9割を自動車での輸送が占めており、トラックを中心とした自動車輸送が、これからも国内貨物輸送の中心的な役割を担う。しかし、トラック運送業界では長年、他産業よりも長い労働時間や、全産業平均より5%~15%低い年間賃金、若年層割合の低さなどの課題を抱え、深刻な人手不足にも直面している。一方、2024年適用の自動車運転業務への時間外労働の上限規制は、労働者の働き方にも影響を及ぼしている。本号では、トラック運送業界が直面する課題と対応策などについて議論した労働政策フォーラムの内容を中心に、持続可能な物流と働き方の実現に向けた有効な方策について展望する。
目次
労働政策フォーラム
物流における労働問題を考える─トラック業界の人手不足等を中心に─
5月に開催した労働政策フォーラムでは、深刻な人手不足が続くトラック業界について、法改正も含めた行政による取り組みの報告と、研究者からの現状分析報告に加え、物流企業の労使それぞれの取り組み事例を紹介しながら、持続可能な物流の姿と、処遇改善など労働問題への対応のあり方などについて、識者と関係者が議論した。(各報告およびパネルディスカッションの概要は調査部で再構成したものを掲載している。)
(※講師の所属・肩書きは開催当時のもの)
【基調講演】
【研究報告】
【行政報告】
【事例報告①】
【事例報告②】
【パネルディスカッション】
物流における労働問題を考える─トラック業界の人手不足等を中心に─
| パネリスト: | 首藤 若菜 | 立教大学 経済学部 教授 |
| 吉田 明宏 | 西濃運輸株式会社 執行役員 運行部 部長 | |
| 渡辺 俊幸 | 西濃運輸株式会社 運行部 運行課 東日本担当課長 | |
| 村山 大樹 | 仙台運送労働組合 中央執行委員長 | |
| 前浦 穂高 | 長野大学 地域経営学部 准教授 /元 労働政策研究・研修機構 副主任研究員 |
|
| コーディネーター: | 濱口 桂一郎 | 労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長 |
労働安全衛生
- 災害発生の頻度を表す度数率は2.01と前年から0.09ポイント低下 ――厚生労働省が2025年「労働災害動向調査〈事業所調査(事業所規模100人以上)および総合工事業調査〉」の結果を公表
- 過去3年間に労組が提起した安全衛生課題は長時間労働、熱中症、メンタルヘルスなど ――連合が「第12回安全衛生に関する調査(速報)」結果をとりまとめ
政府の方針
- 1年単位の変形労働時間制での勤務シフトの確定・変更ルールの柔軟化を要望 ――政府の規制改革推進会議が答申をまとめる
- 「健康」「成長戦略分野」「地域」を重点分野に据え、女性活躍の裾野拡大に向けて戦略的・体系的に取り組みを強化 ――政府が「女性版骨太の方針2026」を決定
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
- 発効日を「大幅な引上げ額を確保するための過度な交渉材料とすべきではない」と明記 ――中央最低賃金審議会が2026年度審議に向けた論点と考え方を整理
- 回答者の約53%が転勤に対して「行きたくない」と回答 ――人事院が国家公務員の転勤に対する意識を調査(公務員白書)
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 2025年度のハローワークを通じた障がい者の新規就職申込件数は約27万8,000件で、過去最高だった2024年度を上回る ――ハローワークを通じた2025年度の障がい者の職業紹介状況と相談等実績
- 9割超の労働組合は労使関係が「安定的」と認識 ――厚生労働省の2025年「労使間の交渉等に関する実態調査」
- 65歳以上の人で収入を伴う仕事をしたいとする人の割合は、日本がアメリカ、ドイツ、スウェーデンを上回る ――内閣府の「高齢社会白書」が高齢者の生活・意識の国際比較を特集
地域シンクタンク・モニター特別調査
(定例調査の結果については本号の後段に掲載)
地域シンクタンク・モニター定例調査
各地域のシンクタンクのモニターに、地域経済や地域雇用の動向などについて、定期的に調査を実施しています。
<2026年第1四半期(1~3月期)実績および2026年第2四半期(4~6月期)の見通し>
[調査結果の全体概況]
[各地域の調査結果]
- 【北海道】(北海道二十一世紀総合研究所)外国人入国者数は過去最高水準でインバウンド消費が好調
- 【岩手】(いわぎんリサーチ&コンサルティング)強い人手不足感を背景に8割近くの企業が賃上げを実施
- 【山形】(山形銀行やまぎん情報開発研究所)半導体関連投資の活発化で、機械・金属関連は受注が底堅い状況
- 【福島】(とうほう地域総合研究所)企業規模300人未満の今春闘の賃上げ率が5%に
- 【茨城】(常陽産業研究所)物価高や賃金上昇が企業の収支を圧迫。経済動向は今期・来期ともに「やや悪化」
- 【北陸】(北陸経済研究所)中東情勢の影響が不透明な状況で、受注減や納入先の発注先送りの動きも
- 【東海】(OKB総研)生産活動が増加基調で今期の経済動向は「やや好転」。今春闘の賃上げ率は3県が5%台に
- 【近畿】(アジア太平洋研究所)輸出はAI関連需要が好調、新規求人倍率は低下傾向だが就業者数は増加
- 【中国】(中国地域創造研究センター)消費は日中関係の悪化で観光客が減少、製造業では中東情勢の悪化で採用を見送る動きも
- 【四国】(四国経済連合会)人手不足感は引き続き強い状況。ボーナスを引き上げる企業割合は前年度から低下
- 【九州】(九州経済調査協会)個人消費は百貨店、スーパーの販売額がプラスで推移、生産は緩やかに持ち直しの動きが続く
フォーカス
ドイツにおいて2026年5月1日に施行された「連邦協約遵守法(Bundestariftreuegesetz)」は、公共調達に際し、受注企業の労働者に一定水準以上の労働条件を保障するとともに、受注企業に対してその遵守を義務付ける法律であり、機能的には、わが国の公契約条例に相当するものである。同法制定の背景や政策上の位置づけ等について、当機構の山本陽大主任研究員および木内大登氏(同志社大学大学院博士後期課程)に、以下のとおり概説および邦語訳をご提供いただいた。(海外情報担当)
- ドイツ:「連邦協約遵守法」の概説と邦語訳
- 連邦の公共調達及びコンセッションの委託及び履行における協約遵守の確保のための法律
―Gesetz zur Sicherung der Tariftreue bei der Vergabe und Ausführung öffentlicher Aufträge und Konzessionen des Bundes
連邦協約遵守法(Bundestariftreuegesetz – BTTG)
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- アメリカ
- ワシントンD.C.やカリフォルニア州主要都市で最賃を引き上げ ―物価連動で2~3%上昇
- アメリカ②
- 中堅ホワイトカラー専門職の四分の一、昇進・昇給が5年以上ほぼなし
- フランス
- 労組が猛暑対策の実効性確保と全産業への適用拡大を要求
- デンマーク①
- 外国人労働者受入れ制度に新たな枠組み ―より低い年収での就労を許可
- デンマーク②
- 公務員の病気欠勤をめぐる論争
- 中国①
- 従業員医療保険の個人口座の「親族共同利用」が全国で可能に
- 中国②
- 「フレキシブルワーカー」、2026年に3億人を超える見通し
- 韓国①
- 外国人季節労働プログラム、受入れ過程の透明化などが課題に
- 韓国②
- 「包括賃金制」誤用・濫用防止ガイドラインを策定 ―雇用労働部、「無料労働」根絶に向け
- 韓国③
- 2027年最低賃金案、時給1万700ウォンに決定 ―3.7%引き上げ
- ILO①
- デジタルプラットフォーム労働に関する初の国際条約を採択 ―第114回ILO総会
- ILO②
- 零細・中小企業の力強い成長に向けた支援を呼びかけ ―国際零細・中小企業デー
- ILO③
- ASEAN地域の労働者8,000万人が生成AI技術の影響を受ける可能性 ―ILO研究ブリーフ
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2026年7月27日掲載


