【東海】(OKB総研)
生産活動が増加基調で今期の経済動向は「やや好転」。今春闘の賃上げ率は3県が5%台に

地域シンクタンク・モニター定例調査

1~3月期の東海地域の経済は、生産活動が増加基調で推移したほか、個人消費は底堅く推移しており、モニターのOKB総研は【やや好転】と判断した。4~6月期の見通しは、設備投資は増加しているが企業の景況判断が悪化していることから、判断は【横ばい】とした。雇用動向は人手不足感の状況などをもとに、1~3月期実績、4~6月期見通しのいずれも【横ばい】と判断している。連合の「地方連合会」調べでは、2026春闘の賃上げ率は、愛知・岐阜・三重の3県が5%台となっている。

<経済動向>

生産活動は「電子部品・デバイス工業」が好調、個人消費は底堅く推移

1~3月期の経済動向からみると、生産は増加基調で推移した。当期の鉱工業生産指数は前期比プラス9.0%で、2四半期連続で前期を上回った。特に「電子部品・デバイス工業」は同64.3%と大きく上昇している。

東海財務局「法人企業統計調査」によれば、東海4県(静岡県含む)の当期の設備投資額は前年同期比プラス3.7%で、2四半期連続でプラスとなった。業種別にみると、製造業は同マイナス18.9%、非製造業は同プラス32.1%となっている。

個人消費は底堅く推移した。中部経済産業局管内5県(愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県)の当期の販売額をみると、いずれの業態も前年同期を上回っており、「ドラッグストア」が前年同期比プラス5.5%、「家電大型専門店」が同プラス4.7%、「百貨店」が同プラス4.6%、「スーパーマーケット」が同プラス1.9%、「コンビニエンスストア」が同プラス1.7%、「ホームセンター」が同プラス1.6%となっている。

輸出をみると、名古屋税関管内の輸出通関額は1月が前年同月比プラス7.9%、2月が同マイナス1.7%、3月が同プラス6.4%と推移した。

モニターはこうした動きをもとに、1~3月期の地域経済を【やや好転】と判断した。

設備投資は前年比2割増、情報通信機器産業はAIサーバーなどの需要拡大で大規模設備投資を予定

4~6月期について、個人消費をみると、4月の大型小売店販売は「家電大型専門店」(前年同月比プラス8.0%)、「ドラッグストア」(同プラス6.1%)、「ホームセンター」(同プラス4.6%)、「スーパーマーケット」(同プラス0.9%)は前年を上回ったものの、「百貨店」(同マイナス3.8%)、「コンビニエンスストア」(同マイナス0.4%)は前年を下回った。モニター作成の「OKB景況指数(6月期)」の個人消費はマイナス10.1で、3月期から0.7ポイント低下している。

東海財務局「法人企業景気予測調査」では、4~6月期の景況判断BSIはマイナス12.0で、前期のマイナス4.1から「下降」超の幅が拡大している。企業規模別では大企業がマイナス7.9、中堅企業がマイナス7.6、中小企業がマイナス17.5。業種別にみると、製造業がマイナス11.3、非製造業がマイナス12.5となっている。

モニター作成の「OKB景況指数(6月期)」の景気水準はマイナス18.6で、前期から18.6ポイント悪化した。悪化は2期ぶり。

4月の鉱工業生産指数(速報値)は113.1で、前月比マイナス0.1%と横ばいの動き。

「法人企業統計調査」によれば、東海4県の当期の設備投資額は前年同期比プラス20.1%となっている。情報通信機器産業で、AIサーバーなどの需要拡大への対応に向けた大規模設備投資が予定されているほか、輸送用機械産業でも次世代技術を見据えた研究開発投資などが予定されている。

輸出をみると、名古屋税関管内の輸出通関額は5月(速報値)が前年同月比プラス13.1%となっている。

こうした動きをもとにモニターは、4~6月期の見通しを【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

人手不足感が続く

雇用の実績(1~3月期)について、有効求人倍率をみると当期は1.20倍で、前期から0.01ポイント低下した。新規求人数は1月が前年同月比マイナス4.6%、2月が同マイナス7.8%、3月が同マイナス2.6%で推移している。

完全失業率は前期より0.2ポイント高い2.7%となり、東海4県すべてにおいて上昇している。

モニターはこれらの動きをふまえつつ、1~3月期の判断を【横ばい】とした。

「法人企業景気予測調査」によると、6月末時点の従業員数判断BSIは30.5の「不足気味」超で、3月末(31.4)から「不足気味」超の幅が縮小した。ただし、規模別、業種別のいずれも「不足気味」超となっている。

モニター作成の「OKB景況指数(6月期)」をみても、雇用は61.1の「不足」超の状況で、前期(64.7)から「不足」超の幅が縮小している。

ちなみに、中日新聞社が中部9県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野、滋賀、福井、石川、富山)の主要企業に対して2027年春の新卒採用活動について調査したところ、「増やす」が前年比8.5ポイント低下の27.2%で、「減らす」が同5.7ポイント上昇の14.3%だった。

4月の有効求人倍率は1.19倍で、前月から横ばいの動きとなっている。

モニターはこうした動きをふまえて、4~6月期の見通しについても【横ばい】と判断した。

2026春闘の賃上げ率は愛知・岐阜・三重が5%台

連合の東海4県の「地方連合会」によると、2026春闘の賃上げ率は、愛知県が5.47%(前年比プラス0.11ポイント、5月末時点)、岐阜県が5.01%(同プラス0.11ポイント、6月8日時点)で前年を上回ったが、三重県は5.22%(同マイナス0.24ポイント、5月20日時点)、静岡県が4.83%(同マイナス0.36ポイント、6月2日時点)で前年を下回った。