65歳以上の人で収入を伴う仕事をしたいとする人の割合は、日本がアメリカ、ドイツ、スウェーデンを上回る
――内閣府の「高齢社会白書」が高齢者の生活・意識の国際比較を特集
国内トピックス
内閣府が6月12日に発表した「2026年版高齢社会白書」では、「国際比較調査に見る日本の高齢者の生活と意識の特徴」を特集している。日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの4カ国で実施したアンケート調査によると、高齢者の現状の生活満足度は日本が最も低い。収入を伴う仕事をしたい(続けたい)とする人の割合は、日本が39.0%で、他の国よりも10ポイント以上高くなっている。
生活の満足度は日本が4カ国で最下位
内閣府では、日本の高齢者と諸外国の高齢者の生活や意識を把握するため、2025年度に「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」を実施した。調査は日本のほか、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの高齢者を対象としており、1980年度から5年ごとに実施している。
65歳以上について集計した白書の内容によると、現在の生活に満足していると回答した割合(「満足している」と「まあ満足している」を合わせた割合)は、日本は79.2%で、スウェーデン(96.6%)、アメリカ(93.6%)、ドイツ(88.5%)よりも低かった。
現在、どの程度生きがい(喜びや楽しみ)を感じているか尋ねると、「大変感じている」と「多少感じている」を合わせた割合は、日本が64.0%なのに対し、スウェーデンは88.0%、アメリカが82.2%で、ドイツは63.8%となっている。前回調査の2020年度と比較すると、日本は約4ポイント低下したのに対し、アメリカは約2ポイント低下、ドイツは約8ポイント上昇、スウェーデンも約7ポイント上昇している。
日本は収入を伴う仕事をしたい人の半数近くが「収入が欲しい」からと回答
今後収入を伴う仕事をしたいと思うか(今後も収入を伴う仕事を続けたいと思うか)については、「収入を伴う仕事をしたい(続けたい)」と回答した割合は、日本が39.0%で最も割合が高く、アメリカが24.3%、ドイツが19.8%、スウェーデンが19.1%だった。
「収入を伴う仕事をしたい(続けたい)」とする人に対し、その主な理由を尋ねると、日本、アメリカ、ドイツで最も割合が高いのは「収入がほしいから」(それぞれ48.2%、34.6%、37.5%)で、スウェーデンは「自分の知識・能力を生かせるから」(37.9%)となっている。2番目に回答割合が高いのは、日本とアメリカは「働くのは体によいから、老化を防ぐから」(それぞれ25.1%、25.9%)で、ドイツとスウェーデンは「仕事そのものが面白いから、自分の活力になるから」(それぞれ35.5%、26.9%)だった。
社会活動や社会との関わりについてみると、「社会活動に参加している」と回答した割合は、日本が40.9%、アメリカが43.5%、ドイツが27.7%、スウェーデンが52.7%となっている。活動別にみると、日本とスウェーデンは「地域行事、まちづくり、自治会などの活動」(それぞれ22.1%、18.0%)、アメリカとドイツは「宗教・政治活動」(それぞれ27.0%、7.7%)がそれぞれ最も高い。
2025年の労働力人口に占める65歳以上の割合は13.7%
毎年、白書が紹介している高齢化の状況などをみると、2025年の状況では、労働力人口は7,004万人で、このうち65~69歳が403万人、70歳以上が557万人となっている。労働力人口に占める65歳以上の者の割合は13.7%で、長期的には上昇傾向にある。
労働力人口比率は65~69歳が56.1%、70~74歳が36.7%、75歳以上が12.7%となっており、いずれも上昇傾向にある。
また、65歳以上の就業率は上昇傾向にあり、65~69歳で54.5%、70~74歳で36.2%、75歳以上で12.6%となっている。
65歳以上が就業する産業は「卸売業、小売業」が最多で131万人
65歳以上の就業者数を産業別にみると、「卸売業、小売業」が131万人で最も多く、次いで「医療、福祉」が122万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が108万人となっている。10年前の2015年と比較すると、「医療、福祉」が64万人増加して約2.1倍となっている。そのほか、「サービス業(他に分類されないもの)」が28万人、「教育、学習支援業」が18万人それぞれ増加している。
各産業における、就業者に占める65歳以上の割合をみると、「農業、林業」が50.6%で特に割合が高く、次いで「不動産業、物品賃貸業」が29.0%、「サービス業(他に分類されないもの)」が22.4%などとなっている。
男性は雇用形態が非正規の人が60歳を境に大幅上昇
就業率を男女別にみると、男性は60~64歳で84.1%、65~69歳で63.4%、70~74歳では44.5%となっている。女性は60~64歳で65.8%、65~69歳で46.1%、70~74歳では28.8%となっている。
役員を除く雇用者のうち、非正規の職員・従業員の比率を男女別にみると、男性は55~59歳では10.5%だが、60~64歳で39.8%、65~69歳で64.9%となっており、60歳を境に大幅に上昇している。女性は55~59歳で57.3%、60~64歳で71.7%、65~69歳で83.7%となっており、60歳以前から非正規の職員・従業員の比率が高い。
所得は公的年金・恩給が全てとする高齢者世帯は4割超
所得の状況をみると、高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の者が加わった世帯)の平均所得金額(2023年の1年間の所得)は314万8,000円で、その他の世帯(671万円)の半分弱となっている。
公的年金・恩給を受給している高齢者世帯について、公的年金・恩給が総所得に占める割合がどの程度であるかをみると、「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」が43.4%にのぼるほか、「80~100%未満の世帯」が16.4%、「60~80%未満の世帯」が15.2%となっている。
(調査部)
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