零細・中小企業の力強い成長に向けた支援を呼びかけ
 ―国際零細・中小企業デー

カテゴリ−:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2026年7月

国際労働機関(ILO)のウングボ事務局長は、6月27日の「国際零細・中小企業デー」(注1)にあたりメッセージを公開した。零細・中小企業(Micro-, Small and Medium-sized Enterprises;MSME)は世界の経済成長に重要な役割を果たしているが、多くの課題に直面していると指摘。人間中心でグリーンかつ強靱な成長の推進力としてMSMEの潜在能力を最大限に引き出すため、社会的対話を通じて持続可能な企業成長を支援する政策が必要だと呼びかけた。

世界の雇用の7割を占めるも多くの課題に直面

ILOによると、MSMEは世界の企業の約90%、雇用の約70%を占め、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進や経済成長、社会正義の実現の中心的な役割を果たしている(注2)

しかし、MSMEの生産性は大企業に比べ3分の1にとどまり、生産性の低さが課題となっている。MSMEの約80%はインフォーマル経済に属しており、労働条件が劣悪なケースも少なくない。また、新興市場国では、MSMEの66%がすでに気候変動による悪影響を受けているなど、生産性の低さ、インフォーマル性、ショックへの脆弱性という三重の課題に直面している。中でも、インフォーマル経済で働く女性、若年労働者、起業家は特に脆弱な立場で、更に厳しい状況にあると指摘している。

AIなど技術革新をチャンスに飛躍をとメッセージ

ウングボ事務局長は、6月27日の国際零細・中小企業デーに際して「世界中の多くの中小零細企業と、イノベーションや献身・才能によって経済・地域社会に貢献する起業家、雇用主、そしてその労働者を祝福する」と述べた。そして、MSMEは、世界中で多くの雇用機会を創出し、イノベーションを促進し、地域経済を強化するなど、持続可能な開発や社会の進歩に直接貢献しており、経済と社会の中心にあると指摘した。

しかし、MSMEはますます厳しい環境下に置かれている。世界中で経済の不確実性が進み、地政学的な緊張や気候変動によるショック、持続的な格差、そして厳しい財政状況という複合的なプレッシャーに直面している。そして同時に、急速に進む技術進歩やデジタル化、環境問題への配慮に対応を求められている。

ウングボ事務局長は、一方で、これは大きな好機でもあるとの見方を示す。新技術やデジタルツール、イノベーションは、MSME の生産性・柔軟性・競争力の向上に資するもので、市場へのアクセスを拡大し、ビジネス成果を向上させ、新たな成長の道を切り開くことを可能にする。同氏は「こうした機会は、すべての人がアクセスできるものでなければならず、適切な支援によって、特に発展途上国や農村部、女性、若い起業家が取り残されないようにしなければならない」と強調した。

そのうえで同氏は、MSMEに対して、起業家精神、投資、イノベーション、持続可能な企業成長を支援する環境を整えると同時に、安全で健康的な職場、労働権の尊重、持続可能な社会的保護、そして強い社会的対話を確保することが重要だと主張。より強靱で包括的かつ持続可能な経済を築くというILOのコミットメントを改めて確認した。

ILOにおけるMSME政策

ILOは加盟国と協力し、企業とその労働者のより良い未来を形成するため、以下のとおり環境整備とディーセント・ワークの促進に向けたMSME政策を定めている。特にMSMEの生産性と競争力、そして適切で生産的な仕事に適したビジネス環境の創出に向け、新たな状況に応じたアプローチの開発を目指す。

◆課題と機会の把握
マクロ経済政策、規制、政策調整、インフラ、社会保障、金融アクセス、事業開発サービス、雇用および能力開発政策など、さまざまな要素から各国が事業開発の障壁や機会を特定するのを支援し、適切な環境とディーセント・ワークを促進するための新たなMSME政策のエビデンスの提供を目指す。

◆MSME政策への解決策の特定と支援の実施
分析に基づき、関係者がMSMEの発展を妨げる政策の不備を是正する方法を特定し、適切な環境とディーセント・ワークを促進するためのMSME政策の設計、実施、監視を支援する。MSME政策は、単独の戦略文書や行動計画の場合、あるいは産業・部門別政策や国家開発計画などの広範な枠組みの一部の場合など、国によって異なる形態となることがある。

◆社会的対話と調整の促進
政府、雇用主、労働者の代表者間で、事業開発の障壁と機会に関する共通理解に向け政策対話と調整を促進する。MSMEに対する社会経済政策の影響を評価し、各文脈や国のニーズに合わせた協調的な解決手法を開発する。

参考資料

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