「フレキシブルワーカー」、2026年に3億人を超える見通し

カテゴリー:労働条件・就業環境多様な働き方

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  • 国別労働トピック:2026年7月

中国新就業形態研究センター(注1)はこのほど、「2025年中国ブルーカラー就業実態調査報告書(2025中国蓝领群体就业研究报告)」を発表した。同報告書は、ブルーカラー労働者から得た2万8,450件の有効回答をもとに、2024~2025年における中国のブルーカラー労働市場の変化を分析。電子商取引やオンライン配車、ネットデリバリーなどのフレキシブルワーク(霊活就業)(注2)が急速に拡大し、雇用の新たな柱として存在感を高めており、従来型のブルーカラー就業が抱える課題の改善にも寄与していると指摘している。

急増するフレキシブルワーカー

「報告書」によると、中国におけるフレキシブルワーカーの数は2015年の約1億2,000万人から増加を続け、2025年には約2億8,000万人に達した。10年間で約133%増加し、規模は約2.3倍に拡大したことになる。特に2024年以降は増加ペースが一段と加速しており、2026年には約3億2,000万人に達する見通しだ()。

また、報告書は、フレキシブルワークがすでに「規模の転換点」を超え、従来の雇用を補完する存在から、中国の労働市場を支える「重要な柱」へと位置付けが変化したと指摘している。2026年には都市部就業者の4割超がフレキシブルワークに従事する見通しであり、労働市場の需給構造が大きく変化していることを示すものだとしている。さらに、デジタルプラットフォームは単なる仲介サービスではなく、雇用拡大を支える中核的な基盤へと発展しつつあると分析している。

図:2015~2026年フレキシブルワーカー数の推移(単位:億人)
画像:図

出所:「2025年中国ブルーカラー就業実態調査報告書」より

フレキシブルワーカーが急増するなか、報告書は「生活を支える基礎的な保障は一定程度整備されている一方、長期的なキャリア形成を支える制度はなお不十分だ」と指摘した。基本医療保険の加入率は91.5%、労災保険の加入率は86.2%と、基礎的な社会保障への加入は進んでいる一方、老後への備えやキャリアアップの機会には依然として課題が残るとしている。また、調査対象となったフレキシブルワーカーでは、年金・貯蓄に対する安心感が42.3%と調査項目の中で最も低く、技能向上・キャリアアップの機会も54.8%にとどまった。また、収入と業務量とのバランス(64.1%)や苦情申立て制度の実効性に対する認識(68.4%)についても、十分な水準には達していないことが明らかになっている。

適職選びが重要に

フレキシブルワークには、ライブコマース配信者(ネット配信者)、フードデリバリー配達員、家事サービス従事者(月嫂(注3))など、多様な職種が存在する。報告書は、職種によって収入の水準や就業形態、キャリア形成のあり方に大きな違いがみられるとしている()。

ネット配信者は高収入を得られる可能性がある一方で、競争が激しく、収入の変動も大きい。フードデリバリー配達員は参入しやすく、就業時間の自由度(柔軟性)が比較的高い反面、長時間労働や身体的負担が課題となっている。「月嫂(産後ケアスタッフ)」などの専門性の高い家事サービス従事者は、経験や技能に応じて比較的高い収入を得られる一方、専門知識や資格、実務経験が求められる。

報告書は、職業の選択に当たっては、短期的な収入のみを重視するのではなく、自身の適性や能力、経験、長期的なキャリア形成を総合的に考慮することが重要だと指摘している。

表:主なフレキシブルワーカーの特徴
項目 ネット配信者 フードデリバリー配達員 月嫂(産後ケアスタッフ)
平均月収 約4,800元 約8,325元 約10,128元
中央値 約3,200元 約7,500元 約8,900元
収入の特徴 高収入も可能だが二極化が顕著。上位配信者に収入が集中 配達量に応じて収入増加。努力が収入に反映されやすい 経験や技能に応じて収入が上昇し、比較的安定
労働時間 1日6~10時間程度(配信準備等を含めると長時間化しやすい) 1日6~9時間程度。繁忙時間帯に集中 1日14~16時間程度(住み込みが多い)
仕事の特徴 競争が激しく、人気やプラットフォームへの依存度が高い 時間の自由度が高く、参入しやすい 専門技能や経験が重視され、責任も大きい
キャリア形成 成功者はごく少数で、継続的な成功は容易ではない 配達員から班長・管理職などへの昇進ルートがある 初級看護→上級月嫂→講師・独立開業などのキャリアアップが可能
総合評価 高リスク・高リターン型 収入と柔軟性のバランス型 高収入・専門職型

出所:「2025年中国ブルーカラー就業実態調査報告書」より

収入・労働時間・保障制度の改善が課題

報告書は、従来型のブルーカラー就業では、収入、労働時間、社会保障の各面で依然として課題が残っていると指摘した。こうした課題に対応するため、プラットフォーム企業がデジタル技術を活用して労働需給のマッチング効率を高め、就業環境の改善を図っているとしている。

収入面を見ると、従来型のブルーカラー就業である建設業や製造業では賃金の支払いサイクルが長く、賃金未払いや収入の不透明さが課題となっている。一方、プラットフォーム就業では、技能や実績に応じた報酬体系が導入されているほか、収入の内訳をリアルタイムで確認でき、即時の決済にも対応するなど、収入管理の透明性と利便性が向上している。

労働時間の面では、製造業の週平均労働時間は58.3時間に達し、労働法上の週平均44時間上限を超す労働者の割合は42%に上る。また、有給休暇の取得や仕事と生活の両立にも課題が残る。一方、プラットフォーム就業では、複数のプラットフォームを組み合わせた働き方や柔軟な勤務時間の設定が可能となり、働き方の自由度が高まっている。

社会保障については、建設業の労災保険加入率は32%にとどまり、労災時の自己負担が大きいことに加え、賃金支払いの遅延も課題となっている。一方、プラットフォーム企業では、独自の労災保険など保障制度の導入が進み、就業者の安全確保やリスク軽減に向けた取り組みを強化している。報告書は、こうした制度の整備により、保障制度を利用した就業者の91%が安心感の向上を実感したと分析している。

報告書は以上のように、プラットフォーム就業は従来型就業が抱える課題の改善に一定の役割を果たしている一方、社会保障制度のさらなる充実や労働者保護の強化によって、フレキシブルワークに従事する者が安心して長期的に働ける環境づくりが課題だと指摘している。

参考文献

  • 人民網、新浪財経、聯合早報

参考レート

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