2027年最低賃金案、時給1万700ウォンに決定
 ―3.7%引き上げ

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  • 国別労働トピック:2026年7月

最低賃金委員会は、2027年適用の最低賃金を審議するため、2026年4月から7月にかけて14回にわたる全体会議を開催した。審議の結果、2027年の最低賃金を時給1万700ウォン(現行比3.7%引き上げ)とすることが、このほど議決された。韓国の最低賃金は、雇用労働部長官の要請によって開催される最低賃金委員会で審議・議決され、同長官によって毎年8月5日までに、翌年の最低賃金が告示される。委員会は、公益委員、労働者委員、使用者委員の各9人、計27人で構成される。

請負労働者への適用を否決

キム・ヨンフン雇用労働部長官は、請負(または類似形態)賃金労働者に対して別途最低賃金を定めることを検討してほしいと最低賃金委員会に要請していた。これを受けて、第3回から第5回全体会議では、最低賃金制度開始以来はじめて、本格的に請負労働者への最低賃金の適用が議論された。

請負制は、原則として企業などと直接の雇用関係になく、仕事の成果・物量に応じて報酬を得る労働形態である。代表的な請負労働者には、宅配・配達運転手や運転代行などの「特殊形態労働従事者(労働者と類似の労務を提供しているにもかかわらず勤労基準法などが適用されない者)」や、プラットフォーム労働者が挙げられる。これらの労働者は約870万人に達すると推定されている。

現行法上、こうした労働者は個人事業主に分類されるため、勤労基準法の労働者には該当せず、最低賃金は適用されていない。一方で、最低賃金法第5条3項には、「請負・出来高制などで賃金が定められている労働者について、時間・日・週・または月を単位として最低賃金を定めることが適当ではないと認定される場合には、最低賃金を別途定めることができる」と規定されている。

労働者側は、無償労働などのリスクから生計を保つためのセーフティネットになる、と適用を主張した。一方で使用者側は、最低賃金法の適用対象は勤労基準法上の労働者に限られていると反論した。審議には、雇用労働部が専門家に研究委託した「請負制労働者最低賃金適用議論のための実態調査」結果が使用されたが、本調査の結果は使用者委員の反対により非公開とされている。

第5回会議で採決が行われ、賛成11票、反対15票、無効1票で請負労働者の最低賃金適用は否決された。請負労働者の最低賃金適用の可否については、来年の最低賃金委員会でも審議が行われる見通しである。

業種別適用は今年も実現せず

第6回、第7回全体会議では、最低賃金の業種別適用に関する議論が行われた。最低賃金法では、特定の業種に異なる最低賃金を設定することが認められているが、最低賃金制度導入初年度の1988年に一度実施されて以降は全業種一律の最低賃金が適用されている。業種別適用の可否をめぐっては、全業種一律の適用を求める労働者側と、低賃金の業種に異なる区分の最賃適用を求める使用者側との間で、近年毎年議論が行われている。

使用者側は、景気低迷の打撃を受けている宿泊・飲食店業には他業種よりも低い最低賃金を適用するべきと主張し、韓国料理飲食店業、外国料理飲食店業、軽食飲食店業を業種別適用の対象とするよう提案した。また、こうした特定の業種については最低賃金引き上げ率をそれ以外の業種の2分の1とする(ただし、業種間の格差は最大10%に制限)案を示した。一方、労働者側は、特定の業種に対してより低い最低賃金を適用することは差別にあたるとして反対した。

採決の結果、賛成11票、反対14票、無効1票で業種別適用は否決された(労働者委員1人が欠席)。このため、2027年もすべての業種で単一の最低賃金が適用される。

採決によって3.7%引き上げを決定

6月23日の第8回全体会議において、労使の当初要求案が提示された。労働者側は、現行の最低賃金では労働者の生計維持が難しいとして、時給1万2,000ウォン(現行比16.3%引き上げ)を要求した。一方で使用者側は、中小企業と小規模自営業者はすでに限界に達しているとして、現行1万320ウォンでの凍結を要求した。この時点で労使要求案の差額は1,680ウォンであった。委員会はその後も修正案を提示し、差額は徐々に縮小したが、合意には至らなかった(図1)。

図1:労使要求案の推移
画像:図1

出所:最低賃金委員会報道資料を基に作成

7月14日開催の第14回全体会議において、公益委員は、審議促進のために上限5.25%、下限2.7%という上下幅を提示した。引き上げ率の上限は、2026年の消費者物価上昇率予測値2.7%に、同年の経済成長率予測値2.55%を足した値とし、下限は、2026年の消費者物価上昇率予測値2.7%とした(注1)。この審議促進の提案を受けて労使はそれぞれ、さらなる修正案を提示した。公益委員らは1万720ウォンで労使が合意するよう勧告したが、合意にはいたらなかった。

そして最終提案が示され、採決が行われた。最終案として、労働者側は1万730ウォン(4.0%引き上げ)、使用者側は1万700ウォン(3.7%引き上げ)をそれぞれ示した。採決の結果、労働者案への賛成が11人、使用者案への賛成が15人、無効が1人で、使用者案が採択された。

これにより、2027年1月1日から適用される最低賃金は、前年より3.7%引き上げの時給1万700ウォンとなった(図2)。最低賃金の影響を受ける労働者は、297万8,000人(影響率13.3%)と推定されている。

図2:最低賃金額の推移
画像:図2

出所:最低賃金委員会ウェブサイトを基に作成

公益委員は政府に制度の改善を勧告

なお、公益委員は第14回全体会議において、政府に最低賃金制度の改善を求めて勧告した。勧告文は、AIの普及やプラットフォーム事業の成長、産業構造の再編など経済社会全般が急変する時代において、毎年同様の議論が繰り返される状況を打破するために、制度の改善が必要であると述べている。また、2026年下半期には雇用労働部内に「制度改善推進団」を設置するように求めた。推進団では、現行の最低賃金制度の適用対象や決定基準などについて全般的に検討・研究し、総合的な改善案を設ける見通しである。

公益委員であるクォン・スンウォン最低賃金委員会委員長は、勧告を出した理由について、「今年は李在明政権の国政課題にも最低賃金制度の改善が含まれて」おり、「雇用労働部が制度の改善を模索すべきという趣旨」だと述べた。

労使団体の反応

労働者側は今回の最低賃金引き上げは不十分であると評価している。韓国労働組合総連盟(韓国労総)は、今回の最低賃金額について、事実上凍結に近い水準であると批判する。また、業種別適用は完全に廃棄されなければならず、請負労働者の適用拡大が今後の課題であると述べている。全国民主労働組合総連盟(民主労総)は、使用者案が採採択されたことと、請負労働者が最低賃金適用範囲から除外されたことに遺憾の意を示している。

使用者団体である韓国経営者総協会は、使用者案の採決は避けられない選択であったとしつつも、最低賃金が凍結とならなかったことや、業種別適用が実現しなかった点について遺憾の意を示している。

参考資料

参考レート

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