【近畿】(アジア太平洋研究所)
輸出はAI関連需要が好調、新規求人倍率は低下傾向だが就業者数は増加
地域シンクタンク・モニター定例調査
近畿の1~3月期の経済動向は、設備投資計画が比較的高水準を維持するなど、緩やかな成長を維持していることから、モニターのアジア太平洋研究所は【やや好転】とした。4~6月期の見通しは、輸出はAI関連需要が好調だが、景況判断は悪化しており【横ばい】。1~3月期の雇用実績は、有効求人倍率、新規求人倍率が低下しており【やや悪化】とした。4~6月期見通しは、新規求人倍率が低下したが、就業者数が増加していることなどから【やや好転】としている。
<経済動向>
日銀短観の業況判断DIは18四半期連続でプラス
1~3月期について家計部門の動向をみると、小売販売や実質賃金がプラス圏を維持するなど、底堅さがみられた。ただし、中東情勢悪化や原油高・物価高への懸念を背景に、消費者心理は急速に悪化している。
企業部門は、景況感や設備投資計画が比較的高水準を維持している。生産も持ち直しの動きが続くが、月次では減速感がみられ、増産ペースには一服感がある。
対外部門では、半導体関連を中心に財輸出が高水準を維持している。一方、インバウンド関連では中国人客減少の影響が続き、訪日外国人客数や百貨店免税売上には弱い動きがみられる。
公的部門は、請負金額・出来高ともに前年比マイナスとなっており、全国に比べて弱い動きとなっている。
景況感について、関西経済連合会・大阪商工会議所「経営・経済動向調査」(2月調査)によると、自社業況BSIは3.4で前期比18.3ポイント低下しているものの3期連続でプラス。国内景気BSIも7.5で同8.3ポイント低下したものの、2期連続でプラスとなった。
日銀短観(3月調査)をみると、業況判断DIは15で前期から1ポイント低下したものの、18四半期連続でプラスとなっている。
モニターは「緩やかな成長を維持している」とみて、1~3月期の判断を【やや好転】とした。
自社業況BSIは1年ぶりのマイナスに
一方、4月の鉱工業生産指数(速報値)は98.7で、前月から1.1%低下して3カ月連続で減産となった。
5月の内閣府「景気ウォッチャー調査」の先行き判断DIは43.9で、前月から2.2ポイント上昇したものの、景気判断の分岐点である「50」を下回った。中東情勢混乱の長期化がエネルギー価格高騰や資材不足を招き、依然として低い景況感となっている。
「経営・経済動向調査」によると、4~6月期の国内景気BSIはマイナス18.5で、3期ぶりにマイナスに転じた。自社業況BSIはマイナス1.9で、こちらも4期ぶりにマイナスに転じた。
貿易では、5月の輸出がAI関連需要の好調もあり、3カ月連続で2桁の伸びとなった。輸入は、原粗油の輸入価格上昇もあり、増加が続いている。
これらの状況をふまえ、4~6月期の見通しについては【横ばい】と判断した。
<雇用動向>
非製造業で強い人手不足感
1~3月期の雇用実績について、雇用統計をみると、有効求人倍率は1.09倍で前期から0.02ポイント低下。新規求人倍率は前期より0.02ポイント下がって2.04倍となった。低下は4四半期連続。
「経営・経済動向調査」における1~3月期の雇用判断BSIはマイナス32.7で、不足超過は23四半期連続となっている。
日銀短観(3月調査)によると、雇用人員判断DIはマイナス34で、昨年12月調査から横ばい。業種別では製造業がマイナス25、非製造業がマイナス44で、特に非製造業で不足感が強い。
モニターはこうした動きをもとに、【やや悪化】と判断した。
雇用判断BSIは6年にわたり「不足」超過、就業者数が増加
4月の完全失業率(モニターによる季節調整値)は2.9%で前月比プラス0.1ポイントと、3カ月ぶりに上昇した。就業者数は1,109万人で同18万人増加しており、非労働力人口は645万人で同22万人減少している。
4月の有効求人倍率は1.08倍で、前月から横ばいとなった。有効求人数は前月比プラス0.5%、有効求職者数は同プラス0.6%となっている。
新規求人倍率をみると、4月は2.03倍(前月比マイナス0.05ポイント)で、3カ月ぶりに低下した。新規求人数は同プラス1.7%、新規求職者数は同プラス4.1%となっている。新規求人数(原数値)の前年同月比を業種別にみると、特に「飲食・宿泊業」の減少が大きい。
「経営・経済動向調査」における4~6月期の雇用判断BSIはマイナス30.7の「不足」超で、24四半期連続の「不足」超となった。
モニターは、4~6月期の雇用の見通しについては【やや好転】と判断している。


