【岩手】(いわぎんリサーチ&コンサルティング)
強い人手不足感を背景に8割近くの企業が賃上げを実施
地域シンクタンク・モニター定例調査
岩手県の1~3月期の経済動向について、モニターのいわぎんリサーチ&コンサルティングは、鉱工業生産指数は前期を上回ったものの、売上高BSIが8期ぶりに悪化したことから【横ばい】と判断した。4~6月期の見通しも【横ばい】としている。雇用については、企業の人手不足感が依然として強いことから1~3月期、4~6月期のいずれも【横ばい】と判断した。モニター実施の調査によると、2026年度に賃上げを実施する企業は8割近くにのぼる。
<経済動向>
経常利益BSIは3期連続で改善
1~3月期の岩手県の経済指標をみると、乗用車新車登録・販売台数が弱い動きとなったほか、新設住宅着工戸数や公共工事請負額も低調に推移した。小売業主要業態の販売額は百貨店、スーパーマーケットが前年を下回ったものの、コンビニエンスストアと専門量販店がともに増加の動きとなり、全体では5四半期ぶりに前年を上回った。鉱工業生産指数は主力の「電子部品・デバイス」や「生産用機械」などがプラスとなったことから、前期を上回った。
モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」をみると、当期の売上高BSIは前期から2.4ポイント低下してマイナス1.2と、8期ぶりに悪化した。経常利益BSIはマイナス10.9で前期から7.4ポイント改善した。改善は3期連続。
モニターはこれらの動きをふまえて、1~3月期の業況判断を【横ばい】とした。
新設住宅着工戸数や公共工事請負額は引き続き弱い動き
同調査の先行きの業況判断BSIは、マイナス33.8(現状比12.7ポイント低下)。これを業種別にみると、製造業は現状比8.0ポイント低下のマイナス36.0で、非製造業も同14.7ポイント低下のマイナス32.8となっている。
モニターは4~6月期の地域経済について、「小売業主要業態の販売額や乗用車新車登録・販売台数が前年を上回って推移することが見込まれるほか、鉱工業生産指数も回復の動きになる」とみているものの、「新設住宅着工戸数や公共工事請負額などは引き続き弱い動きが続く見通し」のため、全体では【横ばい】と判断した。
<雇用動向>
新規求人数は「会計年度任用職員」が大幅増
1~3月期の雇用指標をみると、新規求人倍率が1.73倍(前期比マイナス0.03ポイント)で、有効求人倍率は1.11倍(同プラス0.03ポイント)となっている。
新規求人数を業種別にみると、「公務」が会計年度任用職員の求人増で大幅に増えた一方、「飲食・宿泊サービス業」が給食請負事業所の求人減を主因にマイナスとなったほか、「サービス業」や「建設業」なども前年を下回った。
そのうえでモニターは、「人手不足感が強い状況は継続している」として1~3月期の雇用を【横ばい】とした。
製造業の人手不足感が弱まる見込み
モニターが4月に実施した「岩手県内企業景況調査」での雇用人員BSIの先行き判断をみると、マイナス41.0で現状比3.0ポイント上昇しており、不足感が弱まる見込み。業種別では、製造業は同8.0ポイント上昇のマイナス32.0で、非製造業は同0.8ポイント上昇のマイナス44.9となっている。
4~6月期の見通しについてモニターは、「企業の人手不足感が強い状況が継続し、求人が求職を上回って推移するとみられる」ことから【横ばい】とした。
賃上げを実施する企業割合は2023年に次ぐ高水準
モニターが4月に県内企業に実施した調査によると、2026年度に賃上げ(予定含む)を「実施する」とした企業は77.9%で前年比1.7ポイント上昇したほか、「実施しない」が同2.2ポイント上昇の10.4%、「未定」が同3.9ポイント低下の11.7%となった。比較可能な2014年以降では、「実施する」の割合は2023年に次いで2番目に高い。
モニターはこの調査結果について、「物価上昇の影響のほか、企業の強い人手不足感などから賃上げによって人材の定着や確保を図る動きが継続している」とみている。
賃上げを実施する企業の賃上げ額を前年実績と比べると、「増加」が42.3%(前年比6.8ポイント低下)、「ほぼ同額」が47.2%(同11.5ポイント上昇)、「減少」が7.3%(同0.7ポイント低下)などとなった。


