【中国】(中国地域創造研究センター)
消費は日中関係の悪化で観光客が減少、製造業では中東情勢の悪化で採用を見送る動きも
地域シンクタンク・モニター定例調査
中国地域では、1~3月期の経済動向は、生産活動では好調な動きを示す業種もあるものの、消費は賃上げを上回る物価高で節約志向が続いていることに加え、天候不順や低気温も消費不振につながっており、モニターの中国地域創造研究センターは【横ばい】とした。4~6月期は、中東情勢の影響や日中関係の悪化による観光客減少の状況をもとに【やや悪化】としている。雇用動向については、有効求人倍率の動きなどをふまえて1~3月期の実績を【横ばい】と判断。4~6月期の見通しは、中東情勢の悪化に伴い、製造業で採用を見送る動きも出ていることから【やや悪化】とした。
<経済動向>
生産は半導体製造装置や自動車で好調な動き、消費は物価高で節約志向が続く
モニターは、1~3月期の中国地域の経済動向について【横ばい】と判断した。業種・業態による好不調の波はあるものの、生産・消費の両面で全般的に前期までの水準を維持する形となった。
生産面では、AI向け需要が旺盛な半導体製造装置や、自動車のSUV新型モデルの米国向け生産開始などの好調な動きがある一方で、化学プラントの定期修理や船舶部品の前期からの反動など、一時的な不調もみられた。なお、3月にはガソリンやナフサなど石油製品の生産水準の停滞が発生したが、関係事業所の見解によると、中東情勢の悪化が招いたマイナスとは断定できていないという。
消費面については、コメや青果など食品価格の値下がりや、省エネ基準のエアコンの価格高騰前の駆け込み需要など、明るい材料もあるものの、賃上げを上回る物価高で節約志向が続いていることに変化はなく、天候不順や低気温による外出やイベントでの消費不振も響いている。
石油製品の値上げや流通の目詰まりが出始める
4~6月期の見通しについては【やや悪化】と判断した。
製造業が地域経済をけん引する性格が強いだけに、中東情勢の悪化が生産・消費・雇用に及ぼす影響が懸念されている。現時点では中東情勢に起因するものと断定できないが、「潤滑油や包装資材などの調達が困難になっている」など、石油製品の値上げや供給先の偏り、流通の目詰まりが出始めている。特に、目下で好調な自動車や半導体製造装置のサプライチェーンで樹脂部品の値上げや確保の難しさが生じれば、生産水準に大きく響き、関連する産業にもマイナスの波及が生じるため、動向を注視する必要がある。
消費については、食料品やエネルギー価格で長引く物価高騰と収入の伸び悩みが地方経済に影を落としており、余暇や娯楽での支出が抑えられるなど、消費者が暮らし向きをポジティブに捉えづらい状況になっている。
また、昨年からの日中関係の悪化による訪日自粛も、すでに大きな影響が出ているという。春節の連休があった2月には、島根県、鳥取県の主な観光地区で観光客数が大きく減少し、団体客だけでなく個人客も遠ざかっている。
<雇用動向>
人手不足や最低賃金の引き上げが求人控えにつながる構図
1~3月期の雇用実績について、モニターは【横ばい】と判断した。
有効求人倍率は全国レベルを上回る水準で推移しており、現時点では中東情勢の悪化が雇用に及んでいる様子はない。
ただし、地域全体で求人倍率が微減を続けており、有効求人数は11カ月連続で減少している。その背景には、「人手不足は継続しているが、増員制約があり業務量の調整で対応している」(製造業)、「最低賃金の改定で人件費が上昇し求人を減らした」(医療・介護業)、「セルフレジの導入など省力化への積極投資や、新店舗・物流拠点の減少が続いている」(卸小売業)など、人手不足や最低賃金改定が人件費を高めて、求人控えにつながる構図がみえる。
4~6月期の見通しは【やや悪化】としている。
中東情勢の悪化から、原油・重油の価格高騰や材料の調達難が生じ始めており、製造業では採用を見送る動きも出ている。中国地域では瀬戸内沿いに石油精製や石油化学コンビナートなどが集積し、そこから材料や部品の供給を受ける加工組立型製造業が経済をけん引するだけに、中東を起点とするサプライチェーンの影響を受けやすい。


