パネルディスカッション
- パネリスト
-
- 首藤 若菜
- 立教大学 経済学部 教授
- 吉田 明宏
- 西濃運輸株式会社 執行役員 運行部 部長
- 渡辺 俊幸
- 西濃運輸株式会社 運行部 運行課 東日本担当課長
- 村山 大樹
- 仙台運送労働組合 中央執行委員長
- 前浦 穂高
- 長野大学 地域経営学部 准教授/元 労働政策研究・研修機構 副主任研究員
- コーディネーター
-
- 濱口 桂一郎
- 労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長
- フォーラム名
- 第145回労働政策フォーラム「物流における労働問題を考える─トラック業界の人手不足等を中心に─」(2026年5月22日-29日)
- ビジネス・レーバー・トレンド 2026年8・9月号より転載(2026年7月27日 掲載)
議論するテーマ
濱口 今回は、大きく3つのテーマに分けて議論します。1つめは、働き方改革やいわゆる2024年問題のなかで、労働時間や労働条件などの観点から、トラック運転者の就業環境がどのように変わってきているのか、あるいは、変わらずにどんな課題が残っているのか、また、人手不足に対してどういった対応がされているのか、といったところをうかがえればと思います。
2つめは、国土交通省の指田さんに行政報告で非常に詳しくお話しいただきましたが、この間、物流に関するさまざまな法改正や対策が講じられてきており、これについてどう考えるかということを取り上げたいと思います。
そして3つめは、それらもふまえて、今後、物流業界が持続可能な業界として未来に向けて進んでいくうえで、どのようなことが必要なのかについて取り上げてまいります。
論点1:トラック運転者の就業環境や人材確保について
まず1つめの、トラック運転者の就業環境あるいは人手不足といった状況について、研究報告でこの問題を重点的にお話しいただいた前浦さんから、問題提起をお願いします。
前浦 西濃運輸の吉田さんと仙台運送の村山さんの事例報告をお聞きして思ったことで、細かい事情はそれぞれ違うかもしれませんが、おそらく両社に共通しているのは人手不足の問題を抱えているということだと思います。その原因は何なのでしょうか。また、西濃運輸では、人手不足の状況でもうまく仕事を継続されており、その取り組みを報告されていましたが、人材を確保するために何か工夫されていること、取り組まれていることがありましたら教えていただきたいです。
荷役を分けることで、1人が運転する時間を短縮
吉田 幹線輸送の場合、従来は1人のドライバーが1台の車に荷物を積み込んで出発し、行き先に着いたら荷物を下ろして、行った先の荷物を積んで帰ってくるという運行でした。しかし、人手が減っているなかでは、やはり荷役を分けることが必要になってきます。
1人のドライバーが荷物を積んで出発し、行き先に着いたら、もうすでに荷物が積んである別の車に乗って戻ってくるという形です。一晩のうちに、ドライバーは最初に乗った1台目を乗り捨てる形で中継先に置いてきて、2台目で戻ってきます。これを「2車1」と呼んでいて、荷役を分けることで時間を短縮しています。
今は一晩のうちに複数回トラックを乗り換え、「3車1」「4車1」「5車1」まで行っている状況で、こういったプロセスを350便ほどつくっているので、まさに350人分、人材不足をカバーしています。
働きやすさや職場のよい雰囲気づくりにも配慮
また、福利厚生面でもさまざまなことに取り組んでいます。採用を活発化させるには、給料だけでなく、働きやすさ、職場の雰囲気が重要です。当社では入社1年目の社員には必ずメンターとして先輩を1人つけるメンティー制度があり、独り立ちするまで悩みを聞いたり、フォローしたりして、定着するように1年間かけて育てています。
高齢化に伴い増加する慶弔休暇の取得には本社が現場をフォロー
渡辺 人手不足の原因の1つがやはり、少子高齢化だと思いますが、当社の乗務員も高齢化しつつあります。それでどういった問題が起こるかというと、乗務員の両親も高齢になっていくので、今は慶弔の関係で休む従業員が多くなっています。当社では両親が亡くなった場合の慶弔休暇は4日と定められており、昔はそれでも1日しか休まないということもありましたが、最近はしっかり休む従業員が増えています。また、地元が遠方にあって1日では往復できないので、2、3日休ませてほしいといったケースが多々見受けられます。
ほかにも、特にお子さんの入園式・入学式などは、対象の方はほぼ皆さん日程が被るので、休ませてほしいという要望が同じ日に重なることも結構あります。そういったときは、本社として現場をフォローできるよう、配車組みをしたり、協力会社に事前に人集めを依頼したりして、できる限りの対応をしているところです。
すぐに中型免許を取得できない高卒従業員の育成も課題
また若い社員に関しては、年齢の関係で中型免許が取得できないという問題があります。
われわれが主に扱う3トン車と呼ばれる車は、中型免許を持っていないと運転できませんが、いまは、中型免許は20歳以上からしか取得できません。昔は、4トン車が主流の時代もあって、その頃は普通免許で中型車両まで運転することができましたが、2007年の制度改正以降、中型免許は20歳からしか取得ができなくなっています。
今の運送業界の採用で多い高卒の従業員が、われわれがメインとして扱っている車種が運転できず、免許取得も2~3年後になってしまうので、長い目で育成をしていかないといけないといったところも、1つの課題となっています。
繁忙期の異なる事業所を統合することで生産性を向上
村山 当社では今年4月、人手不足に伴い生産性を上げるため、3事業所を統合しました。統合した部署は、引っ越しを専門にしている部署、食品以外を運んでいる部署、食品を運んでいる部署です。例えば、引っ越しは3月や異動人事がある時期が繁忙期になりますが、それ以外の時期は実はそれほど忙しくありませんので、飲料や食品の配達をできるようにしたり、繁忙期で忙しい部署の手伝いができるようにしたりすることを狙いとして、統合しました。
社員からの紹介で採用する制度も活用
また、社員からの紹介制度による採用も取り入れています。社員はいろいろなセンターや納品先に配達に行きますが、その際に、ほかの運送会社の社員の方々に会って話をする機会が多く、そのなかで当社の給料や取り組みに興味を持ってもらうと、「じゃあうちの会社に来ないか」という話になることがあります。
この紹介制度は、紹介した社員にもある程度手当がつくので、1人で6人も7人も紹介するドライバーもいるほどです。「うちの会社は良いところだぞ」という口コミが、おそらく最も人手不足を解消する方法ではないかと思います。
外国人の採用については会社側が慎重な姿勢
一方、今は外国人のドライバーも増えてきていますが、やはり、文化の違いや言葉の問題、空気感を読む日本人の独特の性質を外国人の方がつかんでいないと、配達はできたとしても、荷待ちをどこでしたらいいのか、どのように話したらいいのか、何かトラブルがあったときはどうしたらいいのかという問題に直面します。組合から、「外国人も採用したらいいのではないか」という話もしますが、会社側からすれば、管理するのは難しいということで、採用には時間がかかっている状況です。
濱口 ちょうど外国人ドライバーの話題が出ましたが、人手不足対策や、物流業界が持続可能な形で進んでいくうえで、この問題もやはり避けて通れないと思いますので、議論できればと思います。
実は西濃運輸は外国人ドライバーへの対応という問題についてすでに一歩踏み出しておられるということですので、このテーマについてお話しいただければと思います。
西濃運輸ではグループで約600人の外国人従業員が働く
吉田 当社では現在、ドライバーも含めて、グループ全体で約600人の外国人従業員が働いています。2024年には自動車運送業が特定技能1号に入りましたので、人手不足の観点からも、外国人の方を積極的に採用しており、今年はインドの方が入社しました。
特定技能1号は在留期間5年の縛りがありますので、5年サイクルで常に数百人単位で確保していきたいと考えています。ただ、日本は円安で人気がないということもありますし、ほかにも課題があります。
まず、1つの営業所に外国人のドライバーを配置するときは3人くらいが適切だと思っています。あまり同じ国に偏ると、悪く考えると、一気に辞めてしまったり、ストライキ等の可能性も出てきます。また、先ほど村山さんも言われたように、やはり言葉の壁や読み書きが課題ですし、ほかにも、国によって免許制度もいろいろあるという問題もあります。
当社は西濃自動車学校を持っていますので、そこで仮免許まで取得してもらい、免許の切り替えをしてもらうことを目指しています。
中長期的にも外国人ドライバーの活用は大きなポイントに
濱口 外国人労働問題というと、どうしても製造業や建設業が中心になりがちですが、日本全体が少子高齢化するなかでは、ありとあらゆる産業分野でこの人手不足の問題が顕在化し、外国人労働者をいかに活用するかが大きな問題になってきています。
運送業界における外国人問題というのは、視聴されている皆さんもあまり意識されていなかった方が多いのではないかと思います。運送業界の長時間労働問題は、徐々に解消しつつあるとは言いながら、まだ続いている面があるなかで、外国人に頼っていく状況は今後ますます進んでいくのかもしれません。
今はまだ特定技能1号ではありますが、中長期的にみた場合に、運送業界における外国人ドライバーというのは非常に大きなテーマになっていくでしょう。そういう意味で、仙台運送の村山さんが労働組合の立場からそういったことを提起されているというのは、非常に洞察的なお話だったと感じました。
吉田 私は、自動車運送はいずれ特定技能2号になるだろうと思っています。10年以上の在留も可能となりますし、海外からいらした方もリーダー的な存在になれますので、その時を待っているところです。
中小事業者でも荷役を分割するような工夫は可能か
首藤 人手不足の観点について2つ、質問させていただきます。まず、荷役を分けて運転の効率を上げていくことは、確かに人手不足対策としてとても有効だと思いました。一方で、物流業界は中小の業者がとても多いという特徴があり、中小企業が西濃運輸のようなことができるのか。例えば、小規模事業者どうしの連携強化などができるような方向性があるのか、お聞きしたいです。
もう1つは、中継輸送や日帰りでの運行を増やしていくことは、働きやすさを改善させるうえでとても意味があると思いました。それと同時に、村山さんや渡辺さんからのお話にあったように、子どもの迎えに行きたいのに行けないというドライバーや、両親の介護をしているドライバーもなかにはいると思います。この時間の柔軟性みたいなものはあり得るのかどうか。
特に西濃運輸さんは女性ドライバーの育成にもかなり早い段階から力を入れていると思います。従来のドライバーの働き方は、乗ったらすぐには帰れなくて、荷主のところに届けるまで責任を持ってやらないといけない、家庭よりも仕事のほうに非常に重点を置いているというものだったのかもしれませんが、それだけではうまくいかないかもしれないとなったときに、どういったやり方があり得るのか、教えていただきたいと思いました。
中小企業が人材を確保して体制を維持するには独自性が有効
吉田 事例報告で説明させていただいたモーダルシフトにしても、外国人採用にしても、これは大手ならではの取り組みだと思います。われわれもネットワークを維持するのにたくさんの協力会社にお手伝いいただいていますが、いずれも中小企業なので、話を聞いてみるとやはり人材の取り合いとなっているとのことです。
中小企業が体制を維持していくためには、独自性が要るのではないかと思います。同じ仕事でも、付加価値がないと、採用も定着も進まないでしょう。例えば、当社はスポーツにも力を入れていて、社内に野球やサッカー、ボウリング、将棋などのチームをつくって大会に出ています。ほかにも、仕事以外でのコミュニケーションも大事にしており、レクリエーション費用も用意しています。こうした独自の取り組みは有効だと思います。
また、時間の柔軟性にもよりますが、ダブルワークのようなものも今後必要だと思っていますし、それに準じた給料体系も組合と協議をしてつくっていかないといけないと思っています。短い時間だけ働きたい方、フルタイムで働きたい方、退職金を月で割り戻して月給として受け取りたい方などでも働きやすい環境を整えることは、ネットワーク維持に必要なことだと考えています。
運送会社が荷主の声を聞き過ぎるのも要因か
村山 組合としてというよりは、運送業界としての内容になりますが、やはり荷主の声を聞き過ぎているのではないかと思います。今は予約システムもできて、時間どおりに荷下ろしができるようになったことは、私も実感しています。
ただ、仮に「明日の10時までに配達してほしい」という注文があるとして、その荷物が絶対に明日の10時までに必要なものなのかというところを深掘りしないまま、私たちの予約システムが使用され、配達作業・仕分け作業などが行われているのではないかと思います。本当に必要だったらすぐ行きますが、それが来週使うものであるなら、午後でも、次の日でもいいのではないか。そういった話し合いを、荷主企業と運送業界でしてほしいと思っています。
運送会社が増え過ぎて荷主の言うことを聞く会社だけが儲かる構造に
あとは、私の感覚ですが、運送会社は増え過ぎている気がします。誰でも運送業をできるような法律になり、少し敷居が低くなった結果、価格の破壊が始まり、荷主企業の言うことを聞く運送会社だけが儲かる形になってしまった。
今、外資系の運送会社ではM&Aも進んでいますし、精査して、「同じような荷物を運んでいるなら一緒にやらないか、トラックや人も一緒に共同で回していかないか」というような話ができるような環境をつくるのがよいと思います。
首藤 自社のなかだけでいろいろ取り組むことも当然大事だと思いますが、自社だけでは解決できない問題というのもたくさんあって、取引構造や、そういったところも含めて変えないと働きやすさを実現できないのだということをあらためて感じました。
難しい荷主との運賃の引き上げ交渉
吉田 首藤さんの研究報告のなかで、労働供給の制限というお話がありましたが、最近、それを本当に感じるときがあります。
給料面のことも然りですが、給料を上げるためには原資となる運賃を上げないといけません。私も現場で長くセールスをやっていましたが、荷主企業との交渉で一番難しいのは、取引をやめるときで、次に難しいのが、運賃を上げることです。取引はなかなかやめさせてもらえないこともありますので、労働供給の制限というのは難しいと感じます。
首藤 この間、さまざまな法政策の変化がありましたし、トラックGメン・倉庫Gメンの配置やいろいろなことが起きていますが、それの効果についてはどう感じていますか。
トラックGメン・倉庫Gメンの配置で無理なことは言われなくなった
吉田 トラックGメン・倉庫Gメンの配置によって、無理なことは言われないようにはなったと思います。そこまで言われるようなお客様というのは、もうほとんどいないですね。
首藤 運賃の改定は難しいものですか。
吉田 運賃はやはり競争ですので、賢い荷主企業ほど使い分けをされます。例えば今まではわれわれ1社で、全国すべてを取り扱いさせてもらっていたものが、運賃を上げると、「この方面だけは他社さんにします」というように使い分けされるようになりました。
しかし、われわれもいったん出したものを引き下げて、元に戻すことはしません。一定の運賃改定はやっていかなければならないと思って、割り切ってやっているような状況です。
論点2:物流業界の法改正・政策対応について
濱口 物流業界の法改正・政策対応をみると、通常は、その業界で起こっている問題を解決するための対策はその業界の企業に対して行うものですが、物流関係について言うと、価格転嫁の促進なども言われているなかで、それ以上に、そもそも業務の進め方や、発荷主だけではなくて着荷主も含めた意味での荷主の協力が必要であるということがわかりました。かなり荷主企業に対する踏み込んだ対策が、この間、取られてきています。
2つめの論点として、この物流業界をめぐる構造的な問題に対して、近年進められてきているさまざまな政策対応についてどのように考えるか、議論を進めたいと思います。まず前浦さんから、よろしくお願いします。
価格転嫁にどう対応しているのか
前浦 直近の政策対応というのは本当にいろいろなものがあり、一言ではなかなか言い尽くせませんが、1つの取っかかりとして議論しやすく、個人的にも関心があるのは、価格転嫁の問題です。
吉田さんから、運賃単価を上げてもらうことが難しいというお話が出ましたが、一方で、西濃運輸は協力会社や子会社のほうから運賃単価を上げてほしいとの要請を受ける側でもあります。そのあたりの対応はどうされていますか。
どれぐらい還元できるかは話し合いで合意する
吉田 要請に対しては法律をしっかり守ってテーブルに着いていますが、提示されたものに対して、われわれがどれぐらい還元できるかについては話し合いで決めています。
村山 当社も、JR貨物(日本貨物鉄道株式会社)と共同で、貨物コンテナを輸送している部署がありますが、今年の4月からはレール運賃が上がって、JR貨物のほうで上がった運賃に、当社でさらに上乗せして運賃が上げられるかという話になりました。結果として上げるのは難しかったです。大企業が運賃を上げるときに一緒に動かないと、中小企業だけでは非常に難しいというところがあります。
担当者が自社のことをどれだけ理解しているかにかかってくる部分も
荷主企業のところに運賃改定の要請文書を持っていくと、いつも思いますが、そのテーブルに着いた人が当社のことを理解してくれる人なのかどうかによって、交渉の中身もだいぶ変わってきているような気がします。対応された人によって、運送会社の運命とまではいかなくても、利益に関わってくるというところが、まだはびこっているような気がします。
もちろん、今は運賃交渉をしなければいけない、物価が高騰しているので運賃を上げなければいけないという流れがあるのは、荷主企業も十分理解していることなので、どのくらい上げてくれるか、あとは私たちがどのくらい要求するか、そのさじ加減が相手方によって変化するのではないかと思います。
「配送=サービス」という誤った印象を与える「送料無料」の表記
濱口 個人的に不思議に思っていることで、数年前から「送料無料」という広告がやたらと多くありますが、運んでいる人・業務が現にそこにあるのに、それが無料というのはどういうことだろうと思っています。そういう広告が世の中にあれだけはびこっていると、世の中に対して、物を運ぶことはサービスという世界なのだという間違った印象を与えていることにもつながっているのではないかと思います。
村山 逆に私は、配送無料という言葉が少し減ってきたのではないかと思います。やはり2024年問題もあって、配送は無料ではないという認識が世の中に広がってきている。
当社でお付き合いをしている軽貨物の運送業をやっている方たちは、「配送にはガソリン代も人件費も、経費がかかるのだからやめてほしい」と言っていました。実際、配送料はもらっていて、配達業者の方々は決して無料で配達はしてないので、誤解を招くような内容は控えてほしいとは個人的には思います。
濱口 おっしゃるとおりです。一方で、感覚として、国土交通省の指田さんが指摘されていたとおり、いわば運送サービスに付随する、荷待ち、荷積み、荷下ろしの時間などは、まさに「サービスしてね」みたいなことになっているところもあると思います。物流サービスのコアのサービスそのものは有料であるにしても、それに付随するサービスのところで、無料がある意味、慣習化し、なかなかそこから脱却できないという問題も、もしかしたらこうした背景にあるのではないかと感じました。
付随した業務を無料で行うような商慣行の是正もいまだ残る論点
首藤 「送料無料」については、確か国土交通省で検討会も立ち上がって、消費者団体やトラック協会は前から「送料は有料です」ということで、表記を正してほしいということを要請していますし、運輸労連なども同様の意見表明をしていたと思います。送料当社負担のような表記にできないのかというような議論もあったと思います。最終的に無料と表記してはいけないというところまではいかなかったと思いますが、そういった動きもあったので、少し減ってきているかなと私も思っているところです。
送料のみならず、先ほど濱口さんがおっしゃったさまざまな付随した業務を無料で行うような商慣行というのが長年あったと思います。待ち時間や、荷役作業についても料金を収受しようということが呼びかけられてきて、もう何年か経っていますが、それも現状でどこまで料金が取れているのかというところは1つ論点としてまだ残されているのではないでしょうか。
政策としては推し進めてきましたし、「標準的運賃」の制度にもそれは書かれていますが、発荷主のみならず着荷主のところにおいても待たされたり、荷役を要請されたときに料金が収受できているのかというところは、少し気になっているので、教えていただければと思います。
適正原価、最低運賃の考え方には賛成
吉田 先に、「適正原価」について議論させてください。運送業界ではこれまで法的に拘束力のなかった標準的運賃を見直し、2028年頃までに法的拘束力を持つ適正原価を用いる制度に移行する流れがあります。
トラック協会では、標準運賃という考え方から、「最低賃金があるなら最低運賃があってよいだろう」「ドライバーにも最低賃金があってよいのではないか」というようなところまで今、考えが及んでいると聞いています。われわれもトラック協会が出す適正原価の考え方、最低運賃というものを待っているところです。
また、今後はトラック運送事業を5年ごとの更新制とするなどの流れもあり、より厳しい制度となることが見込まれます。ドライバーの待遇を上げて、安全を守るという観点で進められていますので、私は賛同したいと思っており、制度導入を待っているところです。
難しいのは、何を適正とみなすか
首藤 適正原価制度は、2025年の「トラック適正化二法」で導入されたもので、これから適用されていくので、細かいところはまだわかっていませんが、これは結構大きな影響を与えるだろうと思っています。
ただ、何を適正と見なすのかは、結構難しい。私もいろいろな運送会社の方からお話を聞きましたが、例えば長距離運送で、ドライバーが何泊かしながら運んでいる場合が多いなかで、運んでいる時間分の賃金を払わないといけないというのは、適正な金額としてわかるけれど、宿泊費用や食事代は入らないのかといった声もあります。
ドライバーの方々はトラックのなかで寝泊まりしている場合が多いですが、なぜトラックで寝泊まりするのかというと、トラックステーションなどにあるシャワーや仮眠室は、利用すると2,000~3,000円取られてしまうからです。でも人間だから、シャワーを浴びて、仮眠室のベッドで足を伸ばして寝たほうが楽だし、疲れが取れるし、それこそ安全が守れるはずです。それを適正原価のなかに組み込めるか、組み込めないかによっては、ドライバーの自費の負担になったり、運送会社が負うことになったりする可能性もあり、それが運賃に反映されなければ、結局自分の車で寝るということになると思います。
しかし、私たちのような一般的な労働者が出張に行って、出張先で「車のなかで寝てね、ホテル代は払わないよ」という会社はどれほどあるのでしょうか。やはりそこは、一般的に考えると、寝泊りする費用だって本来は適正原価のなかに含まれるべきなのかもしれないと思いますし、現場からの声を積み上げていくということは、とても大事だと思っています。
わかりやすい運賃体系を荷主企業にいかに示せるかがポイント
吉田 私も同感です。運賃は、時間軸で捉える運賃か、距離で捉える運賃か、またはそれをミックスしたような複雑な運賃体系かなど、どういう運賃体系にするのかを今、各社が検討しています。それを見やすく、売りやすく、荷主企業にもわかりやすく、運賃表として提出できるか、ここにかかっていると思います。トラック協会等が出す最低運賃を待って、それに準じて、われわれはついていくといったところです。
共同配送では荷待ち時間の精査が難しい場合も
村山 ある部署では、共同配送で、1つのトラックに複数の企業の荷物を入れて運搬することがあります。この場合、例えば「A社に先に行くと1時間待つことになるので、予約だけ入れておいて、そこで待たずにB社に最初に荷下ろしに行って、ちょうど予約時間が来たからA社に戻る」といったような工夫をすることがあるのですが、そうすると、待ち時間という正体が実はよくわからなくなる。1社分だけ運べばおそらく、荷待ち時間は明確にわかるのですが、共同配送をしていると荷待ち時間がなかなか精査できないという実情もあります。
また、自動販売機の飲み物の補充を行うところでは、先入れ・先出しといって、賞味期限、消費期限が短い商品を前に出して、長い商品を後ろに置くという作業をしているところもまだあります。時代が変わってきているので、いずれはそれも運賃に付加していくとは思いますが、「それは附帯業務になるので、やるならお金をください」という運送会社を、私はまだ聞いたことがありません。
根本的な問題は、かかっているコストが最終価格に上乗せされないということ
首藤 先入れ・先出しも、いわゆる荷役作業で、それに対して料金がきちんと支払われていないということですね。荷主にしっかりそれを請求して、荷主からその料金をもらわないといけないけれども、荷主にそれを請求すると、仕事を切られるかもしれないから言えないという状況が起こっているということになります。
結局、何が問題かというと、かかっているコストが、本来は最終的な商品価格に上乗せされないといけないことです。自販機の飲料であれば、その飲料価格にドライバーがやっているさまざまな荷役作業も含めて転嫁をしていかないといけない。商品を買う多くの人々で、その負担を負っていかないといけないと思います。
この最終価格への転嫁がなかなか難しいので、結局、途中段階で払うか払わないかとなり、その結果、この作業をどちらがやるのかという負担の押しつけ合いが起き、結局、弱いところが全部それをやらざるを得ないといった話になっているのだと思います。
最終価格にしっかり転嫁してくださいということを実現していかないと、「交渉して料金を収受しよう、適正取引しよう」と言っても、交渉力が弱いところは結局、泣き寝入りするしかないというのが現実のような気がします。
ルールづくりが難しく面倒で、収受しないことになっている実態も
村山 当社でも経験したことがありますが、「ドライバーが何時間、何分間荷待ち、棚入れをしたのでサインをください」と荷主企業側の対応された方に言っても、その人は倉庫の担当者なので、それにかかわる資格・責任がありませんでした。そうなると、センター長など、より上層部にサインをもらわないといけなくなりますが、確たる証拠というか、「何月何日に●●が配達して、飲料を先入れ先出しした、棚入れをした、荷待ちで何時間かかった」という明確な詳細を把握することが、お互いにとって難しい。
首藤さんのご指摘のとおり、棚入れや荷待ちが絶対発生するので、必ず価格転嫁として運賃に上乗せするというルールがない限り難しく、何分待ったら何円という基準を決めないといけない問題も出てきて複雑化します。結局うやむやになって、それならば収受しないほうがいい、ルールがあると面倒くさいという流れになってしまっているのだと思います。
ざっくりと請求できるようにすべきかも今後の検討課題に
首藤 私も標準的運賃の設計に関わっていたので、今、とても反省させられています。細かくやればやるほど、「現場では運用できなくなるから、ざっくりと運賃で請求できるようにしたほうがいい」という声をいただくことも多いので、検討していきたいと思います。
濱口 「上に政策あり、下に対策あり」という言葉もありますが、上に政策があっても、具体的には現場がどのように決めて、対応するのかは難しく、そのまま実現していかないというのも世の習いなのかということを、お話を聞きながら感じました。
それと同時に、明らかにいろいろなものが動き出してきているということも確かです。適正原価という考え方が出てきて、最低賃金、最低運賃という発想もだんだん動き出しています。同じ国土交通省のなかでも、建設業界には「標準労務費」というものがあり、多重請負の仕組みで末端のところは1人の労務費すら賄えないようなダンピングが行われているというような指摘があって、それに対する政策が進んでいるということも聞いています。
今まで社会のなかでどうしても二の次、三の次になっていた部分が、少子高齢化や人手不足で、社会全体が回らないというところにきたことでスポットライトが当たりました。適正原価という発想や、最低運賃・最低原価といった形で取引を進めていかなければいけないという考えが、政策として少しずつ動き出して、現場でまたこれがどう動くのかという話もありつつ、今、進んできて、何かみえてきたのではないかという感じがします。
論点3:今後、物流業界が持続可能な業界となっていくには
濱口 ここからは、物流業界の今後や、持続可能な物流をどう実現していくかという論点に進んでいきます。
持続可能性というのは、ここ数年来、いろいろな形で議論されていますが、特に日本の場合は、急速に進む少子高齢化、人手不足のなかで、物流だけでなくエッセンシャルワークのすべてで、人的資源はいくらでも湧いてくるという前提で動いてきたものがどんどん動かなくなってきています。そういうなかでも、特に物流という社会の血液にあたるような分野については、持続可能性が非常に重要な課題になってきていると思います。首藤さんから、この点についてコメントいただければと思います。
ドライバーへの還元を政策的にどう担保するか
首藤 物流の持続可能性を高めるために、さまざまな政策がこれまで打たれてきていますが、1つは、昨今の動きというのはとにかく適正な取引が必要、価格転嫁が重要というところが強調されていて、それはとても大事なことだと思いますが、価格転嫁が進めばそれに合わせて自動的にドライバーの賃金が上がっていくのかというと、必ずしもそうでない現実もあると思います。
適正な取引、価格転嫁だけでなく、それがドライバーにしっかり還元されていくということを、どのように政策的に担保したらよいのかということは、残されている課題ではないかと私は思っているところです。
人口減少社会のなかで効率化だけですべてを解決できるか
もう1つは、物流の問題はとにかく効率化が重要だということが盛んに議論されてきて、2026年4月には物流効率化法も全面施行されました。確かに無駄な部分を効率化していくことはとても大事ですが、人口減少社会のなかで効率化だけですべてを解決できるのだろうかとも思っています。
そもそも人が暮らしている限り、エリアの隅々まで荷物を届けていくことは大事になるわけですが、特に地方で人口が大きく減っているところへの配達はどうしても非効率になります。非効率だから届けない、非効率だからみんなまとめて住んでくださいというわけにもなかなかいかない状況で、社会としてどのように物流を持続させていくのか、コストは誰がどう負担していくのかということを検討していかなければなりません。効率化の推進だけで解決できる問題ばかりではないのではないか、と私は思っているところです。
一産業だけで賃上げによって人材を確保していくのは難しい
前浦 いまの議論に関連して申し上げると、私は適正価格の話が重要だと思っていまして、その一部はドライバーにも還元されていくことが想定されます。
ただ、どの産業も人手不足に対応するために賃上げをしている状況で、もともと物流業界と他産業の賃金格差があるとすると、お互い賃上げに頑張って取り組んだ結果、差が埋まらなければ、やはり賃金に魅力を感じて人が他産業に流れていってしまうことが考えられます。企業だけ、産業だけでは、賃上げをして人材を確保していくという流れをつくるのはなかなか難しく、場合によっては政策的な対応を求めるということもあり得るのではないかと考えています。
企業側から行政に望むことがありましたら、おうかがいしたいと思っていたのですが、何かご要望はありますか。
個社だけの取り組みでは限界がある
渡辺 これまでの物流業界の仕事は、ロボットではなかなか置き換えられないので、とにかく人材がいないことには持続可能な状態にはなりませんでした。ドライバーの仕事はロボットでは置き換えられませんし、倉庫作業は徐々にロボットが入ってきて、完全に自動で出荷までできるところまでは来ているところもありますが、これもすべてでそうなっているわけではありません。
当社も事例報告でご紹介しましたが、自動運転車両やダブル連結車両の導入で、なんとか人が少なくても同じ仕事ができるだけのことをやっていこうとはしています。しかし、やはり個社では限界がどうしてもあり、今、オープン・パブリック・プラットフォームという形が進みつつあります。物流業界にあるさまざまな会社が、過疎地への配達など、非採算部門を一緒に共同配送するといったことを取り組みながら解決していくというもので、例えば、タクシーやバスに荷物を積んで運搬するなどしています。また、日本郵便さんと一緒にいろいろとやらせていただいています。会社の垣根を越えて、業界内で協力してやっていくということが、今、注目されています。
他社も巻き込みいろいろな取り組みを行うことが物流業界の持続につながる
これからますます少子高齢化が進んでいくなかで、人が大切であるのは間違いないですが、人に頼らず、AIやロボットの活用のほか、他社も巻き込んでいろいろな取り組みを行っていくことが、物流業界全体の持続につながっていくと考えています。当社もグループ全体では、お買物サービスなどいわゆる買物弱者に向けたサービスも実施していますが、総じて言えば、やはりそういったことがサービスとして成り立ってしまうぐらい、物流の足というのが弱ってしまっているというのが現状ではないかと思っています。
物流業界全体を盛り上げるために、われわれみたいな会社が声を上げていくことが大切で、一つひとつの会社の影響力は小さくても、力を合わせていくことで、より大きなことができていく、物流のネットワークの維持につながっていくと思います。
いまの人数で回せる仕事をすることも1つの方法
村山 当社でも、顧客第一主義ということを掲げており、物を運ぶことによって、お客様の困りごとを助け、満足して安心してもらうことを大切にしていて、その考えは私もそのとおりだと思います。
一方で、組合の委員長をしていると、人手不足の話はもう何度言ったかわかりませんが、極論として、「これを解決するために来年から人が増えたとして、もし100人急に増えたら、うちの会社はそれに対応できますか」と、私はいつも思うのです。
今の人で回せるような仕事をすればいいのではないかと感じています。荷主企業やオーダーに応えることによって、私たちは苦労して、人も倉庫もトラックも足りないと言いますが、自分の会社で利益が出せる状態に見合った人数に則った仕事をしていかなければ、これからどんどん人手不足は拍車をかけていきます。
顧客と物流業界がお互いウィン・ウィンの関係であるべき
また、例えが正しいかわかりませんが、昔は「隣の家から醤油借りてきて」という時代もあって、何かそういった温かさがあって、私たちは助け合って生きてきたような気がします。今、そういうことをしないがために、自分のことは自分でするようになってきて、物が欲しいときはネットでオーダーして商品が届く時代です。要は、顧客満足が昔よりも過度になり、物流業界が悲鳴を上げているのではないかと感じます。助けるときは助けますが、「私たちの時間も優先させてほしい」というときもある、お互いウィン・ウィンでいることが大事です。
ほかにも、何か新しい業態や、新しいことを考える時代になってきたと思います。当組合では、「自社のトラックを移動式のホテルや、過疎地域への移動式の選挙所、フリーマーケットの会場にしたらどうか」など、いろいろと提案しています。お客様の満足のためという一方向だけだと、無理が生じてくるので、この時代に沿ったものにしていくためにはどうしたらいいかという考えを持っています。
大変なことをするのであれば、それなりの見返りはいただくというルールを明確化していく必要があります。一方で、給料が上がることが一番良いとは思いつつ、たくさん運んだからたくさん給料をもらえるのかというのには、私はいささか疑問を感じます。適正な給料であれば、心が豊かになり、考え方も変わってくるのではないかと思います。
賃金・労働時間のツケを物流業界に回してきた面も
濱口 若干違う観点かもしれませんが、メディアでは、日本中すべてが人手不足であるかのような議論が多いですが、厚生労働省が毎月公表している有効求人倍率をみると、全体では1.2弱くらいで、それほど人手不足ではありません。ところが、職種別の有効求人倍率をみると、運輸や建設といった業種・職種は高い。一方で、管理職や事務職の数字は実は低いので、全体で言うと、若干人手不足程度というところです。
これは日本社会が、特に物流関係が典型ですが、運輸や建設といった分野に今まで賃金面も労働時間面もツケを回してきたところがあって、その回してきたツケが、局部的な人手不足という形で表れているという面があるのではないかという指摘をしていく必要もあると思っています。そしてそこには、今日何時間もかけてお話をしてきた問題が背景にあるということを、ぜひ頭に置いて議論していただきたいと思いました。
総括
濱口 最後のそれぞれのパネリストの発言に対するコメントも含め、本日の総括コメントを首藤さんにいただければと思います。
物流業界の課題が人手不足につながったのではないか
首藤 今の濱口さんのご意見には私も強く賛同します。人手不足が物流持続可能性のための非常に大きなボトルネックだというふうに考えられていますが、この業界をみていて思うのは、物流課題の原因に人手不足があるのではなくて、結果的にそうなっているのではないかということです。
要するに、最も大きな原因は、トラック運送をどう使ってきたのかという問題があって、できるだけ安く、早く、柔軟に、便利に、としてきた結果、人手不足が起きていると私も思っています。ですので、人手不足にどう対応するかということが盛んに議論されるけれども、人手不足を緩和させていくためには、やはりトラック運送のあり方自体を見直していくことが必要なのだと思います。
労働条件だけでなく、取引慣行・サプライチェーンのあり方など全体を見直すべき時期に
2024年問題などもそうですが、結局、きっかけは労働規制だったと思います。労働時間を短くしないといけないという話から始まったわけですけれども、労働条件だけを改善しようとしても、いわゆる労働市場のなかだけで解決できる問題ではないので、取引の慣行やサプライチェーン全体のあり方、そういったものまで見直さないといけないというように広がってきたのが、この業界の実態なのだと私は思っています。
ドライバーの成り手がいなくて困っている状況にあるわけですが、難しいのは、荷主企業側からみると、トラックの運賃は当然安ければ安いほどいいわけです。できるだけ買いたたいたほうがいいし、荷待ちだってできるだけ待ってくれたほうが便利なので、できるだけ待たせたほうが便利でよいという話になります。
しかし、その個社の合理性をみんなが追求していくと、社会全体でみたら、運賃がみんな安くて、ドライバーの賃金も安くなって、荷待ちが長いから長時間労働になって、人がいなくなって、物流が止まるというところに陥る。物流が止まると、みんな困るという話になります。
業界で起きた「合成の誤謬」を社会全体で改善する
「合成の誤謬」という用語があって、経済学でいう、ミクロで見ると合理的だけれども、マクロで見ると不合理だという状況が起きている問題です。「合成の誤謬」をどうやって是正していくのかを考えると、やはりマクロな社会全体の仕組みをどうしていくのかという観点からの法規制が必要だということで、今回さまざまな法改正がされてきたのだと思います。
物流はもう社会インフラでもあって社会全体の非常に重要な課題なので、運送会社はもちろん、労働組合も使用者も、荷主も消費者である私たち一人ひとりも、理解を深めていって、対応していけるとよいと思っているところです。
濱口 首藤さんが言われたように、人手不足がゆえに起こっているというだけではなく、むしろそういったことが人手不足をもたらしている、それがお互いにある種の悪循環をつくり出し、社会全体の大きな問題になってきたというのが、まさに今、起こっている問題だろうと思います。そういう意味では、労働政策フォーラムで、物流業界の問題を重点的に取り上げる回を今回行ったことは、実は一業界の問題に過ぎないのではなく、社会全体、全員の問題だということをメッセージとして伝える意味があったのではないかと思います。
今日はかなり長時間にわたって、こちらが当初考えていたのではないようなところまで話が時に飛びながらも、この物流業界が抱えているさまざまな構造的な問題が摘出できたのではないかと思っております。皆さん、このフォーラムにご参加いただいて本当にありがとうございました。
プロフィール
濱口 桂一郎(はまぐち・けいいちろう)
労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長
1983年労働省入省。労政行政、労働基準行政、職業安定行政等に携わる。欧州連合日本政府代表部一等書記官、衆議院次席調査員、東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授等を経て、2008年8月労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門統括研究員、2017年4月から現職。著書に『新しい労働社会』(岩波新書、2009年)、『日本の雇用と労働法』(日経文庫、2011年)、『若者と労働』(中公新書ラクレ、2013年)、『日本の雇用と中高年』(ちくま新書、2014年)、『日本の労働法政策』(労働政策研究・研修機構、2018年)、『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書、2021年)などがある。


