9割超の労働組合は労使関係が「安定的」と認識
――厚生労働省の2025年「労使間の交渉等に関する実態調査」
国内トピックス
厚生労働省は6月30日、2025年「労使間の交渉等に関する実態調査」の結果を発表した。労使関係が「安定的」と認識している割合は9割超(90.9%)にのぼっている。過去3年間に労使間の交渉があった事項は(複数回答)、「賃金額」(70.2%)や「賃金制度」(62.1%)が比較的高く、「育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度、介護休暇制度」や「休日・休暇」でも5割を超えている。また、9割超の労働組合で労働協約が締結されていた。
調査は、労働組合と使用者の間で行われる団体交渉や労働争議、労働協約の締結などの実態を把握することを目的に実施。民営事業所における組合員数が30人以上の労働組合5,163組合を対象に、2025年6月30日時点の状況等について調査し、2,992組合から有効回答を得た(有効回答率58.0%)。
「安定的」と認識している割合は「電気・ガス・熱供給・水道業」がトップ
使用者側との労使関係の維持についての認識をみると、「安定的に維持されている」が56.1%(2023年調査:52.4%)で最も高く、「おおむね安定的に維持されている」とする34.8%(同38.6%)とあわせると、90.9%(同91.0%)の労働組合が「安定的」と認識している。そのほか、「どちらともいえない」が6.3%(同4.6%)、「やや不安定である」が1.3%(同2.2%)、「不安定である」が0.4%(同1.4%)となっている。
「安定的」と認識している割合を産業別にみると、大部分の産業で8割を超えている。そのなかでも9割を超えているのは、「電気・ガス・熱供給・水道業」(99.4%)、「情報通信業」(96.7%)、「宿泊業、飲食サービス業」(95.7%)、「建設業」(95.5%)、「製造業」(93.8%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(93.5%)、「金融業、保険業」(92.6%)、「不動産業、物品賃貸業」(91.7%)、「学術研究、専門・技術サービス業」(90.8%)となっている。
企業規模別にみると、「5,000人以上」が94.3%、「1,000~4,999人」が95.2%、「500~999人」が93.9%、「300~499人」が87.0%、「100~299人」が85.6%、「30~99人」が85.7%となっており、おおむね企業規模が大きいほど「安定的」とする割合が高い。
有期契約労働者の加入を認める労働組合は4割
事業所に正社員以外の労働者がいる労働組合における、正社員以外の加入資格および加入の状況をみると、「組合加入資格がある」と回答した割合は、フルタイムの有期契約社員などが該当する「有期契約労働者」が40.4%(2023年調査:42.5%)、「嘱託労働者」が39.5%(同37.9%)、「パートタイム労働者」が38.1%(同40.7%)と、それぞれ4割前後となる一方、「派遣労働者」は4.8%(同7.0%)と、1割未満となっている。
「組合員がいる」と回答した割合は、「有期契約労働者」が32.7%(同34.3%)で最も高く、次いで「パートタイム労働者」は32.5%(同33.0%)、「嘱託労働者」は31.9%(同31.1%)、「派遣労働者」は1.9%(同2.6%)となっている。
賃金・退職給付や、労働時間・休日・休暇に関する交渉が7割超に
過去3年間(2022年7月1日から2025年6月30日の期間。以下同じ)において、「何らかの労使間の交渉があった」事項をみると(複数回答)、「賃金・退職給付に関する事項」が76.8%(2022年調査72.6%)で最も高く、以下「労働時間・休日・休暇に関する事項」が73.7%(同70.0%)、「職場環境に関する事項」が60.1%(同57.1%)、「雇用・人事に関する事項」が59.8%(同60.4%)などとなっている(図表)。
図表:過去3年間に何らかの労使間の交渉があった事項(複数回答)

注1:過去3年間とは、2022年7月1日から2025年6月30日までをいう。
注2:「休日・休暇」は育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度、介護休暇制度を除く。
注3:「同一労働同一賃金に関する事項」は教育訓練、福利厚生等を含む。
(公表資料から編集部で作成)
さらに細かくみると、「賃金・退職給付に関する事項」については「賃金額」が70.2%、「賃金制度」が62.1%で比較的高くなっている。また、「労働時間・休日・休暇に関する事項」については「育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度、介護休暇制度」が54.2%、「休日・休暇」(育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度、介護休暇制度を除く。以下同じ)が52.9%でともに5割を超える。「雇用・人事に関する事項」については、「定年制・再雇用・勤務延長」が35.3%、「昇進・昇格・懲戒処分」が32.9%、「要員計画・採用計画」が32.7%、「人事考課制度(慣行的制度を含む)」が31.9%などとなっている。
「何らかの労使間の交渉があった」組合のうち、「使用者側と話合いが持たれた」割合をみると(複数回答)、「賃金額」が90.7%で最も高く、「賃金制度」が88.3%、「職場環境に関する事項」が86.8%などとなっている。
また、「何らかの労使間の交渉があった」結果として、「労働協約の改定がなされたまたは新たに労働協約の規定が設けられた」とする割合を事項別にみると(複数回答)、「育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度、介護休暇制度」が45.2%(同42.2%)で最も高く、以下、「賃金額」が38.8%(同32.6%)、「賃金制度」が36.3%(同32.1%)、「休日・休暇」が35.9%(同34.9%)などと続く。「賃金額」は前回調査から6ポイント超上昇した。
6割超の労働組合で団体交渉を実施
過去3年間において、使用者側との間で行われた団体交渉の状況をみると、「団体交渉を行った」が65.3%(2022年調査68.2%)、「団体交渉を行わなかった」が33.9%(同30.7%)となっている。「団体交渉を行った」労働組合について、その交渉形態をみると(複数回答)、「当該労働組合のみで交渉」が80.6%(同85.4%)で、次いで「企業内上部組織または企業内下部組織と一緒に交渉」が12.8%(同11.8%)、「企業外上部組織(産業別組織)と一緒に交渉」が2.4%(同3.2%)などとなっている。
過去3年間に団体交渉を行った労働組合について、団体交渉の交渉回数(1年平均)をみると、「1~2回」が36.9%(同36.7%)で最も高く、次いで「3~4回」が32.7%(同31.5%)、「5~9回」が18.5%(同21.8%)などとなっている。
過去3年間に団体交渉を行わなかった労働組合について、その主な理由をみると、「上部組織または下部組織が団体交渉を行うことになっているから」が46.3%(同50.7%)で最も高く、以下、「労使協議機関で話合いができたから」が26.9%(同17.7%)、「団体交渉を行う案件がなかったから」が17.4%(同20.2%)となっている。
「労働争議がなかった」との回答割合は96.7%に
過去3年間における、労働組合と使用者との間での労働争議の状況をみると、「労働争議があった」は2.8%(2022年調査3.5%)とわずかで、「労働争議がなかった」が96.7%(同95.5%)と圧倒的に多い。
「労働争議がなかった」労働組合について、その理由をみると(複数回答、主なもの3つまで)、「対立した案件がなかったため」が55.9%(同54.3%)で最も高く、以下「対立した案件があったが話合いで解決したため」が36.1%(同38.1%)、「対立した案件があったが労働争議に持ち込むほど重要性がなかったため」が10.2%(同11.7%)などと続く。
問題解決の手段として最重視する手段は「団体交渉」「労使協議機関」がともに4割台
労使間の諸問題を解決するために今後最も重視する手段をみると、「団体交渉」が47.6%(2022年調査49.8%)、「労使協議機関」が45.4%(同43.3%)でともに4割台にのぼる。そのほか、「苦情処理機関」が1.5%(同1.7%)、「争議行為」が0.4%(同0.7%)となっている。
「団体交渉」を最も重視する割合を企業規模別にみると、「5,000人以上」が44.4%、「1,000~4,999人」が43.8%、「500~999人」が44.7%、「300~499人」が50.8%、「100~299人」が46.5%と、いずれも4~5割台であるのに対し、「30~99人」は65.0%でやや高くなっている。
一方、「労使協議機関」を最も重視する割合を企業規模別にみると、「5,000人以上」が48.9%、「1,000~4,999人」が47.8%、「500~999人」が51.1%、「300~499人」が45.8%、「100~299人」が47.1%と、いずれも4~5割台だが、「30~99人」は22.1%で突出して低くなった。
「労働協約を締結している」との回答割合は95.2%に
労働組合と使用者(または使用者団体)の間での労働協約の締結状況をみると、「締結している」が95.2%(2022年調査94.5%)で圧倒的に多く、「締結していない」が4.5%(同4.7%)となっている。
「労働協約を締結している」労働組合について、その締結主体をみると、「当該労働組合において締結」が61.8%(同61.0%)で最も高く、次いで「上部組織において締結」が24.0%(同26.6%)、「当該労働組合および上部組織双方において締結」が9.5%(同8.1%)となっている。
(調査部)
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