【九州】(九州経済調査協会)
個人消費は百貨店、スーパーの販売額がプラスで推移、生産は緩やかに持ち直しの動きが続く

地域シンクタンク・モニター定例調査

九州の1~3月期の経済動向は、個人消費は百貨店、スーパーマーケットの販売額がプラスで推移しているほか、生産は緩やかに持ち直しの動きが続いているものの、住宅投資は駆け込み需要の反動減が長引いており、モニターの九州経済調査協会は【横ばい】と判断。4~6月期も、景気判断の動きなどをもとに【横ばい】とした。雇用動向は、各種統計の動きをもとに1~3月期、4~6月期のいずれも【横ばい】としている。

<経済動向>

個人消費はドラッグストアの販売が好調を維持

九州地域のモニターは1~3月期の地域経済を【横ばい】と判断した。

モニター作成の九州地域景気総合指数は、1月が前月比プラス5.2%、2月が同マイナス2.2%、3月が同プラス1.8%と推移した。指数を構成する個別の指標をみると、非居住用建築着工床面積や景気ウォッチャー調査が前期と比較して悪化したものの、鉱工業生産指数や輸出通関実績などが改善している。

個人消費については、当期の百貨店、スーパーマーケットの販売額は前年同期比プラス1.8%となっている。スーパーマーケットは物価上昇の影響もあるが、飲食料品を中心に動きが良く、対前月比プラスが続いている。その他の業態についても、ドラッグストアが前年同期比プラス4.4%と好調を維持している。

住宅投資は駆け込み着工の反動減が長引く

生産については、当期の鉱工業生産指数は前期比プラス5.4%となっている。「はん用・生産用・業務用機械工業」や「電子部品・デバイス工業」などが上昇に寄与し、緩やかに持ち直しの動きが続いている。

住宅投資については、建築確認審査の対象となる建築物の規模を見直すなどの建築基準法の改正と、建築物のエネルギー消費性能の向上を目的とする建築物省エネ法の改正に伴う駆け込み着工の反動減が長引いており、新設住宅着工戸数は前年同期比マイナス24.8%となった。新設住宅着工床面積も同マイナス24.3%と減少している。

非居住用建築物着工床面積は前年同期比マイナス11.3%と減少している。

設備投資に関しては、日本政策投資銀行「九州地域設備投資計画調査(2025年8月)」で、2025年度の九州地域の設備投資計画が製造業で前年度比プラス5.9%、非製造業で同プラス3.1%、全産業で同プラス4.5%と堅調さを維持する見通しとなっている。

公共投資については、当期の公共工事請負金額は前年同期比プラス16.1%と増勢が続く。

モニターはこうした動きをもとに、「消費や投資、生産関連について、景気の基調を左右するような大きな変調はみられない」とコメントしている。

景気ウォッチャー調査の先行き判断DIは7カ月ぶりに「節目」を下回る

モニターは、4~6月期の見通しも【横ばい】と判断した。

九州地域景気総合指数の先行指数は、3月が137.7で、前月比で0.9%低下した。先行指数を構成する個別の指標の動きをみると、企業倒産件数や鉱工業在庫指数などが改善したものの、消費者態度指数などが悪化している。

九州7県における景気ウォッチャー調査の先行き判断DIをみると、3月調査では40.1で、景況判断の節目となる50を7カ月ぶりに下回った。

なお、中東情勢の緊迫化の影響についてモニターは、「数値としてマイナスの影響が表れているものはまだ限定的ではあるが、ナフサの供給不安に伴う企業活動の混乱に加え、輸入物価や企業物価などにも徐々に影響が表れてきた」としている。

<雇用動向>

やや弱含みだが、「悪化」と判断するまでの大きな変調ではない

雇用の実績(1~3月期)について、モニターは【横ばい】と判断した。

当期の有効求人倍率は1.07倍で、前期比0.01ポイント低下した。完全失業率(原数値)は九州7県が2.8%で前年同期比プラス0.3ポイント、沖縄県が3.1%で同プラス0.3ポイントとなった。

当期の非農林業雇用者数は629万人で、前期から3.5%減少した。「建設業」「不動産業、物品賃貸業」「宿泊業、飲食サービス業」などで増加した一方、「医療、福祉」「製造業」「運輸業、郵便業」などが減少した。

モニターはこうした動きについて、「地域の雇用情勢はやや弱含みではあるが、『悪化』と判断するまでの大きな変調ではない」とみている。

中東情勢が春闘に与える影響は軽微だが、景気回復ペースを抑制する懸念

4~6月期の見通しについても【横ばい】と判断した。

先行指標であるパートタイム有効求人数(原数値)は、1~3月期が前年同期比マイナス6.2%、新規求人数は1~3月期が前期比マイナス1.2%となった。

日銀短観の3月調査における雇用人員判断DIの次回(6月)予測では、製造業はマイナス29、非製造業はマイナス52で、ともに「不足」となっている。