2025年度のハローワークを通じた障がい者の新規就職申込件数は約27万8,000件で、過去最高だった2024年度を上回る
 ――ハローワークを通じた2025年度の障がい者の職業紹介状況と相談等実績

国内トピックス

厚生労働省が6月19日に発表した2025年度のハローワークを通じた障がい者の職業紹介状況によると、新規就職申込件数は、前年度比3.7%増加の27万8,136件となり、過去最高だった2024年度(26万8,107 件)を上回った。また、同日に厚生労働省が発表した「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(2025年度)」によると、2025年度にハローワークに寄せられた障がい者に対する差別および合理的配慮の提供に関する相談は631件で、前年度から4割以上増加した。

精神障がい者の新規求職申込件数は対前年度で7.9%増加

職業紹介状況によると、新規求職申込件数は前年度比3.7%増加の27万8,136件で、過去最高を更新した。これまでの最高は2024年度の26万8,107 件だった。

障がいの種別にみると、身体障がい者が5万9,091件(前年度比1.9%減少)、知的障がい者が3万9,307件(同2.7%減少)、精神障がい者が16万5,316件(同7.9%増加)、その他の障がい者が1万4,422件(同1.2%増加)。精神障がい者の増加が全体を押し上げた格好だ。

精神障がい者の就職件数は約11万5,000件に

就職件数は、過去最高だった2024年度から0.4%減少して11万5,178件となった。就職件数がわずかに減少した要因について厚生労働省は、最低賃金が適用される「就労継続支援A型事業所」への就職件数が前年度に比べ減少したことなどの影響が考えられるとしている。

就職件数を障がいの種別にみると、身体障がい者の就職件数が2万1,463件(前年度比5.5%減少)、知的障がい者が2万2,215件(同1.0%減少)、精神障がい者が6万6,580件(同1.6%増加)、その他の障がい者が4,920件(同0.4%減少)となっている。

就職率は41.4%に低下

就職率(就職件数/新規求職申込件数)は41.4%で前年度(43.1%)からわずかに低下した。障がいの種別にみると、身体障がい者が36.3%(前年度比1.4ポイント低下)、知的障がい者が56.5%(同0.9ポイント上昇)、精神障がい者が40.3%(同2.5ポイント低下)、その他の障がい者が34.1%(同0.6ポイント低下)となっている。

産業別の就職件数は「医療、福祉」が最多で全体の4割弱

就職件数を産業別にみると、「医療、福祉」(4万4,683件、構成比38.8%)が最も多く、次いで「製造業」(1万3,375件、同11.6%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(1万2,633件、同11.0%)、「卸売業、小売業」(1万1,135件、同9.7%)などとなっている。障がいの種別にみても、いずれも「医療、福祉」が最も多くなっている。

職業別では「運搬・清掃・包装等従事者」が最多の約3割

就職件数を職業別にみると、「運搬・清掃・包装等従事者」(3万3,991件、構成比29.5%)が最も多く、次いで「事務従事者」(2万9,874件、同25.9%)、「サービス職業従事者」(1万6,628件、同14.4%)、「生産工程従事者」(1万2,381件、同10.7%)などとなっている。

障がいの種別にみると、最も件数が多いのは身体障がい者では「事務従事者」(6,543件、構成比30.5%)、知的障がい者では「運搬・清掃・包装等従事者」(9,610件、同43.3%)、精神障がい者では「事務従事者」(1万9,518件、同29.3%)などとなっている。

解雇者数は前年度から大きく減少

ハローワークに届け出のあった障がい者の解雇者数は3,692人で、前年度(9,312人)から大きく減少した。解雇理由は「事業廃止」が2,158人(前年度5,863人)、「事業縮小」が1,276人(同3,195人)、「その他」が258人(同254人)となっている。

障がい者差別に関する相談が前年度から44.1%増

「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(2025年度)」から、ハローワークに寄せられた障がい者差別および合理的配慮の提供に関する相談件数をみると、2025年度は631件だった。障害者雇用促進法では、すべての事業主に対して、雇用の分野での障がい者に対する差別(障がい者差別)を禁止し、かつ合理的配慮の提供を義務づけている。

相談件数の推移をみると、2021年度が244件(障がい者差別が55件、合理的配慮の提供が189件)、2022年度が225件(同37件、188件)、2023年度が245件(同31件、214件)、2024年度が438件(同98件、340件)、2025年度が631件(同122件、509件)。全体の相談件数は、2021年度から2023年度はおおむね横ばいで推移していたが、2024年度は前年度から78.8%増加。2025年度も前年度から44.1%増と大幅に増加した。なお、事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供は、従来は「努力義務」だったが、改正障害者差別解消法が施行されて2024年4月から「義務」となった。

障がい者本人から寄せられた相談が9割

2025年度の相談件数を相談者別にみると、「障がい者」が573件(90.8%)で最も多く、次いで「事業主」が44件(7.0%)、「その他(家族等)」が14件(2.2%)となっており、相談の9割が障がい者本人から寄せられている。

合理的配慮の相談内容の3割弱が「上司・同僚の理解」

相談の内容を詳しくみると、障がい者差別に関する相談では「募集・採用時」(16.7%)が最も多く、次いで「退職の勧奨」(15.2%)、「解雇」(13.0%)、「労働契約の更新」(11.6%)、「配置」(10.9%)などの順。

一方、合理的配慮の提供に関する相談では「上司・同僚の障害理解に関するもの」が27.3%で最も多く、以下、「相談体制の整備、コミュニケーションに関するもの」(16.0%)、「就業場所・職場環境に関するもの」(14.1%)、「業務内容・業務量に関するもの」(12.7%)、「業務指示・作業手順に関するもの」(9.4%)などとなっている。

2025年度にハローワークが行った助言件数は4件

ハローワークは、障がい者差別や合理的配慮の提供に関する法令違反等の事案に対しては、助言、指導または勧告を行い、是正を図っている。2025年度にハローワークが行った助言の件数は4件で、内訳は障がい者差別が2件、合理的配慮の提供が2件。指導の件数は0件となっている。

事業主と障がい者の間での話し合いによる自主的な解決が難しい場合は、関係当事者の申し立てに基づき、①都道府県労働局長による紛争解決の援助②障害者雇用調停会議による調停、のいずれかを実施することで紛争の早期解決が図られている。労働局長による紛争解決の援助については、2025年度の援助申立受理件数は2件(障がい者差別が2件、合理的配慮の提供が0件)だった。障害者雇用調停会議による調停については、2025年度の調停申請受理件数は15件(障がい者差別が10件、合理的配慮の提供が5件)だった。2025年度中に申請を受理し、調停を開始した12件のうち4件については、関係当事者双方が調停案を受諾している。

(調査部)

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