回答者の約53%が転勤に対して「行きたくない」と回答
 ――人事院が国家公務員の転勤に対する意識を調査(公務員白書)

スペシャルトピック

人事院(川本裕子総裁)は6月17日、2025年度の年次報告書(公務員白書)を発表した。毎年、テーマを変えて特集する第2部では、「公務における転勤の現状と今後について~時代に応じた持続可能な公務を目指して~」を取り上げた。転勤に対する現状の意識などを把握するために行った国家公務員を対象とするアンケート結果では、回答者の52.6%が転勤に対して「できれば行きたくない」もしくは「絶対に行きたくない」と回答した。アンケート結果について詳しく紹介する。

「どこにでもぜひ行きたい」は5.1%

アンケートは、一般職の国家公務員(常勤職員)約28万人を対象に、2025年12月~2026年1月にかけて無記名によるWebアンケートで行った。有効回答数は10万7,662件となっている。

転勤に対する意識について尋ねた結果をみると、「どこにでもぜひ行きたい」が5.1%、「条件が合えば行きたい」が42.2%、「できれば行きたくない」が36.5%、「絶対に行きたくない」が16.1%で、【転勤に肯定的な意識】を持つ職員が5割弱(計47.3%)だったのに対し、【転勤に否定的な意識】を持つ職員が5割強(計52.6%)にのぼった(図表1)。

図表1:転勤に対する意識
画像:図表1

(白書をもとに編集部で作成)

20代前半までは肯定的な意識の割合が高い

【転勤に肯定的な意識】と【転勤に否定的な意識】の割合を年齢別にみると、「20歳未満」では【転勤に肯定的な意識】が68.9%と7割近くにのぼり、【転勤に否定的な意識】は31.1%だった。「20~24歳」では、【転勤に肯定的な意識】は61.3%と6割台で、【転勤に否定的な意識】が38.7%と4割弱。「25~29歳」では、【転勤に肯定的な意識】が52.6%、【転勤に否定的な意識】が47.3%となり、29歳までの層では【転勤に肯定的な意識】が【転勤に否定的な意識】を上回る。

30歳以降についてみると、「30~34歳」では【転勤に肯定的な意識】が44.9%、【転勤に否定的な意識】が55.1%、「35~39歳」では、同じ順で43.0%、57.0%、「40~44歳」では41.7%、58.3%、「45~49歳」では42.9%、57.1%、「50~54歳」では46.2%、53.8%、「55~59歳」では49.8%、50.2%、「60~64歳」では44.9%、55.0%、「65歳以上」では50.4%、49.6%となり、30歳以上では「65歳以上」を除くすべての層で【転勤に否定的な意識】のほうが高かった。

男性での割合はほぼ均衡だが、女性では否定的が6割弱

性別でみると、「男性」は【転勤に肯定的な意識】が48.8%、【転勤に否定的な意識】が51.1%とほぼ均衡している。「女性」は【転勤に肯定的な意識】が42.2%、【転勤に否定的な意識】が57.8%となり、男性に比べ女性のほうが、【転勤に否定的な意識】の割合が高かった。

さらに、採用試験の種類別にみると、「総合職等」では【転勤に肯定的な意識】が65.6%と6割を超え、【転勤に否定的な意識】は34.3%だった。「一般職(大卒)等」では同じ順で44.9%、55.2%、「一般職(高卒)等」では48.0%、52.0%となり、「総合職等」が他の試験区分に比べ【転勤に肯定的な意識】の割合が高くなっている。

家族の状況で異なる転勤への意識

転勤に対する意識の違いを配偶者の有無別にみると、「配偶者無」は【転勤に肯定的な意識】が53.9%、【転勤に否定的な意識】が46.2%。それに対し、「配偶者有・就業」は同じ順で42.1%、57.9%、「配偶者有・未就業」では47.7%、52.2%となっており、配偶者がいる職員のほうが、【転勤に否定的な意識】の割合が高かった。

【転勤に否定的な意識】のうち、「絶対に行きたくない」の割合をみると、「配偶者無」は13.4%、「配偶者有・未就業」は15.0%と1割程度だったのに対し、「配偶者有・就業」は18.7%と2割近くにのぼった。

子どもの有無別にみると、「こども無し」は【転勤に肯定的な意識】が52.4%、【転勤に否定的な意識】が47.6%、「こども有り(計)」は同じ順で42.7%、57.3%となっており、子どもがいる職員のほうが10ポイント程度、【転勤に否定的な意識】の割合が高い。

子どもの年齢が低い職員ほど高まる否定的な意識の割合

そのうち、子どもの就学状況でみると、「こども(未就学)」は【転勤に肯定的な意識】が36.1%と3割程度で、【転勤に否定的な意識】が63.9%と6割を超えた。「こども(小学生・中学生)」は【転勤に肯定的な意識】が39.1%で、【転勤に否定的な意識】が60.9%。一方、「こども(高校生以上)」では【転勤に肯定的な意識】が47.3%と4割台となり、【転勤に否定的な意識】は52.8%まで下がる。

【転勤に否定的な意識】のうち、「絶対に行きたくない」の割合を詳しくみると、「こども(未就学)」(24.6%)と「こども(小学生・中学生)」(20.0%)は割合がそれぞれ2割以上となっている一方、「こども(高校生以上)」(14.9%)は1割程度で、子どもの年齢が低い職員ほど割合が高い。

介護が必要な親族がある職員では否定的な割合が約6割

介護の必要な親族の有無別にみると、「介護無し」は【転勤に肯定的な意識】が48.7%、【転勤に否定的な意識】が51.3%とほぼ均衡。一方、「介護有り」は【転勤に肯定的な意識】が40.4%、【転勤に否定的な意識】が59.7%と否定派が6割近くに達する。

転勤の経験回数別にみると、転勤の回数が「3回以上」の職員では【転勤に肯定的な意識】が51.1%、【転勤に否定的な意識】が48.8%。「2回」では同じ順で46.2%、53.8%、「1回」では48.2%、51.8%となっている。一方、「転勤の経験無し」では40.2%、59.8%となり、否定的な割合が約6割にのぼる。

転勤をしたい理由は「経験を積めるから」がトップ

転勤に対する意識について、「どこにでもぜひ行きたい」と回答した人に、その理由を複数回答で尋ねた結果をみると、「経験を積めるから」(73.7%)が最も高かった。次いで高いのは、「色々なところに住みたいから」で60.7%。このほかでは「住む場所にはこだわらないから」が35.1%、「昇進するために必要だから」が18.8%などとなっている。

「条件が合えば行きたい」と回答した人に、転勤をしてもよい条件を尋ねると(複数回答)、「住んでもよいと考えている地域に赴任できること」(65.5%)と「転勤先の業務がやりたい業務であること」(61.4%)がそれぞれ6割台となっており、転勤先の地域や業務に関しての回答割合が高かった。このほかの回答割合をみると、「転勤の期間が限定されていること」が45.0%、「収入が増えること」が44.3%、「昇進とセットであること」が26.4%、「業務負荷が(現在より)少なくなること」が17.3%などとなっている。

「できれば行きたくない」職員でも場所が選べれば約6割が転勤を容認

「できれば行きたくない」と回答した人に、どのようなことがあれば転勤をしてもよいかを尋ねた結果(複数回答)では、「転勤の場所が選べる」が63.4%と最も高かった(図表2)。以降の割合の順は「転勤に伴う費用の持ち出しがない」(54.3%)、「収入が上がる(毎月の手当を含めた給与が増える)」(51.8%)、「十分な準備期間が得られる(転勤の打診の早期化)」(47.2%)、「引っ越し費用以外の一時金が十分に支給される」(44.2%)、「転勤の期間が限定されている」(44.1%)、「帰省の費用が実費負担される」(40.6%)などとなっており、金銭面の支援に関する回答が目立った。

図表2:どのようなことがあれば転勤をしてもよいか(複数回答)
画像:図表2
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(白書をもとに編集部で作成)

金銭的な負担や持家があることが転勤のネックに

「できれば行きたくない」と回答した人に転勤したくない理由を尋ねると、「転勤に伴う金銭的負担があるため」(49.0%)の割合が最も高く、次いで「持家があるため」(41.8%)、「子育てのため」(38.7%)、「今の居住地が生活に便利なため」(35.5%)、「配偶者・恋人の仕事の都合のため」(28.4%)、「今いるコミュニティから離れたくないため」(20.7%)、「介護のため」(13.7%)、「疾病のため」(7.8%)などとなっている。

同様に「絶対に行きたくない」と回答した人にも尋ねると、「持家があるため」(49.4%)が最も高く、次いで「転勤に伴う金銭的負担があるため」(47.3%)、「子育てのため」(46.1%)、「今の居住地が生活に便利なため」(37.2%)、「配偶者・恋人の仕事の都合のため」(34.5%)、「今いるコミュニティから離れたくないため」(27.9%)、「介護のため」(22.7%)、「疾病のため」(13.9%)などとなった。

(調査部)

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