公務員の病気欠勤をめぐる論争

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2026年7月

デンマーク雇用者連盟(DA)は2026年5月、公務員の病気欠勤が民間部門と比べて多いと指摘する報告書を発表した(注1)。ある現地紙が同報告に関して、公務員の病気欠勤は特権的であると報道。これに対して、労組は「病気欠勤は怠慢によるものではなく、福祉国家を機能させるための代償」などと反論している。

民間より多い公務員の病気欠勤

DAの報告によると、フルタイム従業員の病気欠勤の取得日数は、公共部門では年平均13.3日であるのに対して、民間部門では7.9日であり、公共部門の方が病気欠勤が多い。この傾向は、同一職種の労働者同士を比較した場合にもみられる。取得日数の差は、清掃業務では約9日、保健・ソーシャル業務では約8日、秘書・事務業務、および高度な知識を必要とする業務ではいずれも4日、公共部門のほうがそれぞれ多い(図1)。

図1:職種別年間平均病気欠勤日数
画像:図1

出所:DA(2026)

DAは、公共部門の病気欠勤取得率が、民間部門の同等の労働者と同水準まで削減された場合に利用できた労働力は、2024年時点ではフルタイムの雇用換算で約1万1,700人分であったと推定する(注2)。内訳は、フルタイムの国家公務員が350人、広域自治体職員が2,500人、地方自治体職員が8,800人である。

公共部門の病気欠勤取得率が民間部門を上回る傾向は長年続いていたが、この差は近年特に拡大傾向にある。公共部門の病気欠勤は、コロナ禍に福祉従事者の感染リスクが高まったため大幅に増加した。その後も依然として高い水準を維持しており、2024年においても民間部門の水準を大きく上回っている(図2)。

図2:公共部門の病欠が民間並みに減少した場合の追加労働力(フルタイム換算)
(2012~2024年)

画像:図2

出所:DA(2026)

報告をめぐる議論

DAの報告を受けて、現地紙Berlingskeは、社説「公共部門において病気は福利厚生の一種である」を発表した。それによると、公共部門では病気欠勤が従業員特典とされるような文化が形成されている、と主張。公務員の病欠が特権化していると批判している。

これに対して、労働組合はDAの分析及びBerlingskeの社説に反発している。

FOA(公務員労働組合)は、DAの分析には、雇用形態(正規職/時間給制)の区別が考慮されていないと指摘する(注3)。FOAの分析によれば、ケア業務における病気欠勤日数は、公共部門(地方自治体・広域自治体)で17.6日、民間部門で12.6日である。ただし、正規職に限れば、公共部門と民間部門はほぼ同水準となる(注4)。一方、民間部門の時間給制労働者の日数は10.4日と非常に少ない。FOAは、時間給制労働者は、病欠時に給与の全額が補償される場合が少ないためであると述べている。

HK(デンマーク商業・事務職労働組合)は、政府の統計を引用し、2023年時点の病気欠勤日数は、フルタイムの国家公務員で9.0日、民間部門従業員では8.2日であり、両者の間に大きな差はなかったと指摘する(注5)。HKは、公務員は重労働かつ複雑な福祉業務に従事しており、病気欠勤は怠慢によるものではなく、福祉国家を機能させるための代償であると述べている。

シンクタンクである労働運動経済評議会は、公立の学校や病院では私立の施設よりも、さらに深刻な課題を抱える人々に対応することが多く、この業務負荷の違いが病気欠勤の多さにつながっていると指摘している。同会は財務省の分析を引用しており、それによると、短期の病気欠勤には公共部門と民間部門の間に大きな差はみられない。一方で、30日を超える長期の欠勤は公共部門で著しく多い。同会は、「倫理的ストレス(規則やリソース不足のために専門職として正しいと考える対応がとれないことによって生じるストレス)」が長期欠勤を招いている可能性を示唆し、病気欠勤の多さは公務員の個人的な責任感の欠如ではなく、労働環境が課題となって生じている現象であると強調している。

参考文献

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