【北海道】(北海道二十一世紀総合研究所)
外国人入国者数は過去最高水準でインバウンド消費が好調

地域シンクタンク・モニター定例調査

北海道の1~3月期の地域経済について、モニターの北海道二十一世紀総合研究所は、観光客数が過去最高の水準となりインバウンド消費が好調だが、物価高で企業のコスト負担が増加していることから【横ばい】と判断した。4~6月期の見通しも、足元の個人消費は好調ではあるものの、中東情勢の影響への懸念から【横ばい】としている。雇用動向は、1~3月期、4~6月期のいずれも有効求人倍率や日銀短観の動きをもとに【横ばい】と判断している。人手不足感の強い状況が継続している。

<経済動向>

雪解けが進み、春物需要が例年よりも早くから動き始める

モニター実施の「道内企業の経営動向調査(1~3月期実績)」によると、売上DIはマイナス10で8期ぶりにマイナスとなったほか、利益DIはマイナス18で5期連続のマイナスとなった。業種別にみると、製造業は売上DIがマイナス14で利益DIがマイナス26、非製造業は売上DIがマイナス8で利益DIがマイナス15となっている。

分野別の動向をみると、当期の販売額はホームセンター(前年同期比プラス6.0%)、スーパーマーケット(同プラス4.0%)、家電大型専門店(同プラス3.9%)、コンビニエンスストア(同プラス3.7%)、ドラッグストア(同プラス3.1%)が前年を上回ったが、百貨店(同マイナス1.6%)は前年を下回った。合計では前年同期比プラス3.4%となった。

モニターによると、1月下旬から2月にかけての大雪の影響で、一時的な客足の減少がみられたものの、物価高騰に伴い客単価の上昇が続いている。加えて、「3月に入り急速に雪解けが進み、春物需要が例年よりも早くから動き始めたことや、円安を背景にインバウンド消費が好調なことなどがプラスに寄与した」という。

公共投資が好調に推移する一方、住宅投資は落ち込みがみられる

観光関連をみると、来道客数は前年同期比プラス0.4%、外国人入国者数は同プラス14.9%で、いずれも過去最高の水準で推移している。

公共投資は、公共工事請負金額が前年同期比プラス20.7%で、2四半期ぶりに前年を上回った。その一方で、住宅投資は、新設住宅着工戸数が前年同期比マイナス24.7%。建築物のエネルギー消費性能の向上を目的とする改正建築物省エネ法の全面施行の影響が続いており、足元の動きは鈍い。

これらの動きをもとにモニターは、「物価高を背景に、消費者の節約志向、企業のコスト負担増加といった影響は続いている」ものの、「総じて個人消費が底堅く推移していること、観光関連の好調が続いていること、住宅投資の落ち込みがみられる一方で公共投資が好調に推移していること」から、1~3月期の地域経済を【横ばい】と判断した。

足元の個人消費は好調だが、中東情勢の影響を懸念

「道内企業の経営動向調査(4~6月期見通し)」によると、売上DIはマイナス5で2期連続のマイナス、利益DIはマイナス12で6期連続のマイナスが見込まれている。業種別にみると、「運輸業」と「ホテル・旅館業」以外は売上DI・利益DIがいずれもマイナスとなっている。

4月の業態別販売額は、いずれの業態でも前年同月を上回り、合計では前年同月比プラス4.0%で、7カ月連続で前年を上回った。例年よりも暖かい日が多かったことで季節商材の動きが良かったほか、円安を背景にインバウンドの消費が好調であったことや、中東情勢の影響を見越した駆け込み需要がみられたことなどから、全体的に好調に推移した。

観光関連では、4月の来道客数が前年同月比プラス5.9%、外国人入国者数が同プラス5.7%と、引き続き好調に推移している。

住宅投資は、4月の新設住宅着工戸数が前年同月比プラス39.8%と大きく増加。公共投資も4月の公共工事請負金額が同プラス25.5%で、3カ月連続で前年を上回った。

モニターはこれらの動きをふまえつつ、「足元の個人消費の動きが好調であるものの、中東情勢を要因とした物価高騰の影響が出てくる懸念がある」ことを指摘して、4~6月期の見通しについても【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

日銀短観の雇用人員判断は大幅な「不足」超

労働統計をみると、有効求人倍率は1月が0.92倍(前月比マイナス0.01ポイント)、2月が0.93倍(同プラス0.01ポイント)、3月が0.92倍(同マイナス0.01ポイント)と、横ばいで推移している。

新規求人数は1月が前年同月比マイナス2.6%、2月が同マイナス7.6%、3月が同マイナス8.3%となっており、9カ月連続で前年を下回っている。

1~3月期の完全失業率は2.7%で、前期比では0.1ポイントの低下、前年同期比では0.1ポイントの上昇となっている。

日銀短観(3月調査)の雇用人員判断はマイナス47の「不足」超で、前期から1ポイント上昇した。業種別にみると、製造業がマイナス35で同3ポイント低下、非製造業がマイナス51で同1ポイント上昇となっており、「人手不足感の強い状況が継続している」。

モニターは1~3月期の雇用について、「新規求人数が減少傾向にあるものの、総じてみれば、人手不足感の強い状況に変化はみられない」として【横ばい】と判断した。

新規求人数は10カ月連続で前年比減少

一方、4月の有効求人倍率は0.91倍で前月から0.01ポイント低下し、2カ月連続で前月を下回った。新規求人数は前年同月比マイナス3.8%と、10カ月連続で前年を下回った。業種別にみると、「医療、福祉」「サービス業(他に分類されないもの)」「情報通信業」などで増加したものの、幅広い業種で前年を下回った。

日銀短観の6月先行きの雇用人員判断はマイナス50で、人手不足感が強い状況が続く見込み。

このため4~6月期の見通しについても「新規求人数の減少傾向が続いているものの、総じてみれば人手不足感の強い状況が継続している」として【横ばい】と判断した。