ビジネス・レーバー・トレンド2022年11月号
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キャリア採用に向かう企業
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展や人手不足などを背景に、専門的なスキルや多彩な経験を持つ人材をタイムリーに獲得していくため、キャリア採用や中途採用に積極的に乗り出す企業が増えている。本号では、キャリア採用に本腰を入れ始めた企業、ミスマッチのない人材移動を支援するマッチング企業の取り組み事例や、労働政策フォーラムでの議論を紹介しながら、企業も、職場も、転職者も満足するキャリア採用の実現に向け、必要な準備と対策などについて考える。
目次
企業取材
調査部では、キャリア採用などにより、社外から多様な人材を受け入れることで社内の活性化を実現する企業、情報プラットフォームを提供してミスマッチの少ない転職を支援する企業を取材した。東京海上日動火災(東京・千代田区)、森永乳業(東京・港区)、オープンワーク(東京・渋谷区)の取り組み内容を紹介する。
- 業界・企業の暗黙知が明文化。異業界流のアプローチで職場も活性化 ――東京海上日動火災保険がキャリア採用の本格実施に移行
- 他社の勤務経験がある人材の取り込みによって、新たな改善などの効果も ――森永乳業の「リターンジョブ制度」と「キャリア採用」による多彩な人材の積極的な獲得の取り組み
- 社員のクチコミを提供することで、透明性あるジョブマーケットの構築を目指す ――オープンワークによる転職・就職のための情報プラットフォーム事業
労働政策フォーラム
転職と中途採用について考える─キャリア採用の取組を中心に
今年7月に開催した労働政策フォーラムでは、ミドルエイジ層の転職に関する研究結果、マッチングに携わる企業からみたキャリア採用の現状とキャリア採用に取り組む企業の事例を報告するとともに、キャリア採用された人材の定着と能力発揮に向けた方策などについて議論した。(各報告およびパネルディスカッションの概要は調査部で再構成したものを掲載している。)
(※講師の所属・肩書きは開催当時のもの)
【研究報告】
転職と能力発揮・キャリア形成~ミドルエイジの転職から考える~
- 【報告】藤本 真
- 労働政策研究・研修機構 主任研究員
【事例紹介(1)】
- 【報告】八代 茂裕
- 株式会社湖池屋 経営管理本部人事部 シニアスペシャリスト
- 【報告】大倉 奈々
- 株式会社湖池屋 経営管理本部人事部人材マネジメント課
【事例紹介(2)】
- 【報告】櫨山 義裕
- 三井化学株式会社 人事部 人材グループ 採用チームリーダー
【事例紹介(3)】
ホワイトカラー正社員人材紹介の現場から~「高い年収を維持した転職ができる」社会の拡大
- 【報告】黒澤 敏浩
- 株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント 事業推進部 事業推進チーム プリンシパルアナリスト
【パネルディスカッション】
地域シンクタンク・モニター定例調査
各地域のシンクタンクのモニターに、地域経済や地域雇用の動向などについて、定期的に調査を実施しています。
[調査結果の全体概況]
[各地域の調査結果]
- 【北海道】行動制限の解除で人の動きが活発化
- 【秋田・山形】円安や海外情勢をうけて、経済動向の見通しは秋田・山形ともにやや悪化の見込み
- 【岩手】祭り・イベントの再開も経済活動は物価高で一進一退の動き
- 【宮城】福島県沖地震からの復旧が進み個人消費も堅調
- 【福島】雇用動向は実績、見通しともに横ばい
- 【茨城】製造業の景況感が一時悪化も、7~9月期は回復の見込み
- 【北陸】業種、規模を問わず人手不足の状況続く
- 【東海】外出増で個人消費に持ち直しの動き
- 【近畿】対面型サービスへの需要増で求人増加の見込み
- 【中国】半導体などの部品の調達難が生産活動の支障に
- 【四国】個人消費は回復傾向、輸出や設備投資も堅調に推移
- 【九州】経済動向は持ち直し続くも物価高騰が懸念材料に
地方自治体への取材
企業等の副業人材の受け入れや職員の副業解禁で地域の活性化を――山形県、長野県、神戸市
外部からの副業人材の受け入れや職員の副業を認めることなどを通じて、基幹産業の振興や社会貢献の取り組みを進める自治体の動きが広がりつつある。山形県はJAやサポーター企業と協同でさくらんぼ農家の労働力確保に取り組むとともに、今年の収穫時期には職員の副業も解禁。職員の社会貢献を目的に2018年から副業制度を整えている長野県では、今年4月に制度改正して公益性の判断基準を明確化した。神戸市は、広報分野の仕事に外部の副業人材を活用することで行政のわかりやすい周知を実施。その活動は職員の意識改革にも繫がっている。3つの地方自治体の取り組みを紹介する。(調査部)
- オール山形でさくらんぼ収穫の人手確保へ ――県庁職員によるさくらんぼ収穫の副業も解禁
- 県職員が副業で地域社会に貢献、その「学び」を県政に活かす ――長野県の「地域に飛び出せ!社会貢献職員応援制度」の取り組み
- 広報活動で延べ100人以上の副業人材を活用 ――神戸市役所の取り組み
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
- トラックは拘束時間について、1年、1カ月ともに現行の時間数から縮減 ――厚生労働省が「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(報告)」を公表
- 医師、看護師、介護分野の職員など10の職種について、今後の人材確保の方向性などを提言 ――2022年版厚生労働白書
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 物価上昇をカバーする賃上げに向けた議論や1兆円規模のリスキリング支援を盛り込む ――「新しい資本主義実現会議」が実行計画の重点事項をとりまとめ
- 人権デュー・ディリジェンスでの「負の影響」の特定・評価の仕方や、防止・軽減策などを解説 ――政府が「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定
- 相談件数は8月だけで642件。相談内容は「報酬の支払い」や「契約内容」が全体の5割強を占める ――厚生労働省などの「フリーランス・トラブル110番」の相談実績から
- 2021年度の新卒採用募集を行った中小企業の半数でインターンシップを実施 ――日本商工会議所・東京商工会議所の「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況に関する調査」
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- アメリカ①
- 貨物鉄道労使、協約改定交渉で暫定合意 ―ストライキを直前回避
- アメリカ②
- コロナ禍における失業保険の特例措置と不適切な支払い
- アメリカ③
- 個人請負の分類基準案を再提示 ―ギグ・ワーカー保護に向け、連邦労働省
- フランス①
- 食事宅配会社に社会保険料追徴命令 ―配達員と雇用契約の締結を命じる判決も
- フランス②
- デジタル・プラットフォームで就労するドライバーや配達員の代表選挙
- 中国①
- 7地域で「企業賃金ガイドライン」を発表
- 中国②
- 「非私営企業」の平均年収が10万元を突破 ―2021年、国家統計局
- 中国③
- 高齢者介護・保育サービスに対する支援策
- 韓国
- 外国人労働者の現況 ―非専門人材の減少とその影響
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2022年10月25日掲載