【東海】外出増で個人消費に持ち直しの動き

地域シンクタンク・モニター定例調査

4~6月期の東海地域の経済は、行動制限の解除による外出増加で個人消費が持ち直したことから【やや好転】となった。7~9月期の見通しは回復基調にあった個人消費が足踏みしているほか、原材料高や円安の影響で企業収益が落ち込んでいるとして【横ばい】となった。4~6月期の雇用および7~9月期の雇用見通しは、各種統計をもとに【横ばい】と判断している。

<経済動向>

百貨店売り上げが大幅改善。ドラッグストアなども前年を上回る

東海財務局の「法人企業統計調査」によれば、東海4県(静岡県含む)の設備投資額は3四半期連続で前年同期を上回った。業種別にみると、製造業は3四半期連続で前年同期を上回った。非製造業は5四半期ぶりに前年同期を下回った。

個人消費は持ち直しの動きがみられた。中部経済産業局管内5県(愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県)の当期の販売額をみると、百貨店が前年同期比プラス17.3%と大幅に改善している。スーパー(前年同期比マイナス1.0%)、ホームセンター(同マイナス1.9%)はマイナスとなったものの、ドラッグストア(同プラス3.4%)、コンビニエンスストア(同プラス3.6%)は前年同期を上回っている。

東海3県の当期の乗用車販売台数は、前年同期比マイナス16.4%と4期連続で前年同期を下回っているが、これについてモニターは「半導体不足やその他の部品供給制約で、自動車生産が抑制されているため」と指摘している。

東海地域のモニターは、4~6月期の地域経済を「新型コロナの感染拡大がひと段落し、行動制限が解除され、ゴールデンウィークをはじめ外出機会が増え、個人消費に持ち直しの動きがみられた」「設備投資も拡大した」と指摘したうえで、「総じて、景気は持ち直しの動きがみられた」として【やや好転】と判断した。

相次ぐ値上げで回復基調にあった個人消費が足踏み

7~9月期を分野別にみると、個人消費は持ち直しが一服している。中部経済産業局管内5県の大型小売店販売額(7月)は、百貨店(前年同月比プラス4.7%)、ドラッグストア(同プラス6.4%)、スーパー(同プラス1.1%)は増加しているが、コンビニエンスストア(同マイナス0.5%)、ホームセンター(同マイナス4.2%)、家電大型専門店(同マイナス7.4%)は減少となった。乗用車販売台数(7月)は前年同月比マイナス10.9%で、13カ月連続で前年同月を下回っている。

モニターが作成するOKB景況指数(9月期)をみると、個人消費はマイナス15.1で前期から2.5ポイント低下している。

設備投資は、増加見込みではあるが持ち直しの動きが一服している。生産については、モニターが作成するOKB景況指数(9月期)はマイナス12.6で、前回から5ポイント上昇している。

こうしたことからモニターは、「生産活動や輸出は持ち直している一方で、回復基調にあった個人消費が相次ぐ値上げや新型コロナ第7波の影響を受け、足踏み状態となっている」「原材料高や円安の影響により、企業収益も引き続き落ち込んでいる」などとコメントしたうえで、「総じて景気は持ち直しているものの、原油価格の高騰や急激な円安進行、部品調達難、ロシアのウクライナ侵攻による影響等が懸念されている」として7~9月期の見通しを【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

有効求人倍率が6期連続で上昇する一方、完全失業率は4期ぶりに悪化

雇用の実績(4~6月期)についてモニターは、「東海4県の有効求人倍率は6期連続で上昇した」ものの、「新規求人数(原数値)は前年同月比で伸び幅が縮小した」「完全失業率(原数値)は4期ぶりに悪化した」ことから【横ばい】と判断した。

7~9月期の判断も、「東海財務局の『法人企業景気予測調査』によれば、9月末時点での従業員数判断BSIは8期連続で『不足気味』超となっているが、『不足気味』超幅が縮小している」ことや、「7月の有効求人倍率は前月から横ばい」であることから【横ばい】とした。

(調査部)