【秋田・山形】円安や海外情勢をうけて、経済動向の見通しは秋田・山形ともにやや悪化の見込み

地域シンクタンク・モニター定例調査

経済動向について、秋田県については、4~6月期実績は【やや好転】だが、7~9月期の見通しは景気動向調査の結果や円安による原材料・燃料費の高騰をふまえ、【やや悪化】の見込みとなった。雇用動向については、4~6月期の実績、7~9月期の見通しのいずれも、雇用指標の推移をもとに【横ばい】としている。

一方、山形県については、経済動向は4~6月期の実績は【横ばい】だが、7~9月期の見通しは景気動向調査の結果や海外情勢から【やや悪化】の見込み。雇用動向では4~6月期の実績は【横ばい】も、7~9月期の見通しは新規求人の増加などを理由に【やや好転】としている。

<経済動向>

改善傾向にあった業況判断が原材料・燃料費の高騰で慎重な見通しに/秋田

秋田・山形のモニターは、秋田県の4~6月期の地域経済について、モニターが実施する「秋田県内企業の景気動向調査(8月調査)」の結果をもとに【やや好転】と判断した。同調査によれば、県内企業の自社の業況判断を示すDI値(前年同期比)は0.9(前回調査比14.2ポイント上昇)で、2期ぶりに改善した。プラスに転じるのは4期ぶり。

項目別でみても、「売上高」「営業利益」「資金繰り」「人員人手」のいずれも前期から改善している。特に「売上高」は7.8(同11.0ポイント上昇)と前期から大幅に改善した。

業種別にみると、「建設業」がマイナス7.2(同0.8ポイント上昇)、「卸・小売業」がマイナス3.1(同18.7ポイント上昇)で3期連続の改善となった。また、「製造業」が0(同13.7ポイント上昇)、「サービス業」が17.3(同25.1ポイント上昇)で2期ぶりの改善となった。

さらに、同調査の7~9月期の見通しをみると、DI値はマイナス11.5(今回調査比12.4ポイント低下)と悪化が見込まれている。

業種別でみても、「建設業」がマイナス12.4(同5.2ポイント低下)、「製造業」がマイナス3.9(同3.9ポイント低下)、「卸・小売業」がマイナス21.7(同18.6ポイント低下)、「サービス業」はマイナス5.4(同22.7ポイント低下)といずれも悪化が見込まれており、特に「卸・小売業」「サービス業」の低下幅が目立つ。

モニターは「新型コロナ第7波の影響に加え、円安に伴う原材料や燃料費の高騰や高止まりの影響もあり、依然慎重な見通しとなっている」とコメントし、判断は【やや悪化】を選択した。

仕入れ価格高騰などの企業負担が大きく、景況感の回復は足踏み状態/山形

山形県の4~6月期の地域経済については、「山形県内企業の景気動向調査(8月調査)」の結果をもとに【横ばい】と判断している。

県内企業の自社の業況判断を示すDI値(前年同期比)は0.3(前回調査比0.5ポイント低下)で悪化したものの、小幅な動きにとどまった。悪化は3期ぶり。項目別では「売上高」は悪化したものの、「営業利益」「資金繰り」「人員・人手」は改善している。

業種別にみると、「建設業」がマイナス13.2(同6.7ポイント低下)、「製造業」が11.0(同4.8ポイント低下)と悪化した一方で、「卸・小売業」がマイナス18.0(同4.6ポイント上昇)、「サービス業」が19.1(同4.8ポイント上昇)で改善している。

モニターは「総じて仕入れ価格高騰などによる企業の負担は大きく、景況感の回復には停滞感がみられ、足踏み状態となっている」とコメントしている。

同調査によれば、7~9月期の見通しについて、DI値はマイナス14.1(今回調査比14.4ポイント低下)で悪化の見込みを示している。業種別にみても、「建設業」がマイナス22.9(同9.7ポイント低下)、「製造業」がマイナス10.2(同21.2ポイント低下)、「卸・小売業」はマイナス20.0(同2.0ポイント低下)、「サービス業」がマイナス4.5(同23.6ポイント低下)でいずれも悪化する見込み。

モニターは「新型コロナ第7波や海外情勢の影響がもたらす業況悪化を危惧する動きから、慎重な見通しは今後も続くものと考えられる」としたうえで【やや悪化】を選択している。

<雇用動向>

雇用指標は横ばいで推移/秋田

秋田県の4~6月期の雇用情勢について、モニターは【横ばい】を選択した。判断理由には、「新規求人倍率は前期からおおむね横ばいで推移している」ことなどをあげた。

7~9月期の見通しについても、「7月の有効求人倍率は1.49倍で前月(1.50倍)からおおむね横ばいで推移している」ことなどを理由に【横ばい】を選択している。

新規求人数が17カ月連続で前年同月比増/山形

山形県のモニターは4~6月期の雇用情勢について、「有効求人倍率は前期に比べてやや回復傾向にある」「新規求人数(原数値)の前年同月比は6月時点で16カ月連続増加となっている」といった改善の状況を報告しつつも、「新規求人倍率は前期からおおむね横ばいで推移している」ことから、判断は【横ばい】を選択した。

7~9月期の見通しについては、「有効求人倍率は7月が1.61倍で、7カ月連続で前月を上回っている」「新規求人倍率は7月が2.46倍で、13カ月連続で2倍を上回っている」「新規求人数(原数値)は7月が9,328人で、17カ月連続で前年同月比増となっている」ことを理由に、【やや好転】とした。

(調査部)