2021年度の新卒採用募集を行った中小企業の半数でインターンシップを実施
 ――日本商工会議所・東京商工会議所の「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況に関する調査」

国内トピックス

日本商工会議所と東京商工会議所が9月28日に公表した「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況に関する調査」によると、2021年度の新卒採用募集を行った企業のうち、約半数が学生を対象にしたインターンシップを実施していた。実施期間は「2~4日」が4割強で最も多く、2023年度以降、学生情報を採用活動開始後に活用できるインターンシップの要件の1つである、「5日以上実施」した企業は28.7%だった。

調査は2022年7~8月、人材不足の状況・対策や、新卒採用・インターンシップの取り組み状況などを把握するため、中小企業6,007社を対象に実施。395商工会議所が、2,880社(回答率47.9%)から回答を集めた。

新卒採用を募集するも、2割が「全く採用できなかった」

2021年度の新卒採用募集を行った企業は、約半数の51.0%。募集した企業のうち、「予定人数を採用できた」のは45.6%にとどまり、「募集したが、全く採用できなかった」が19.9%、「募集したが、予定人数を採用できなかった」は34.6%だった。

インターンシップの実施期間は「2~4日」が4割強

新卒採用募集を行った企業のうち、48.4%が学生を対象にしたインターンシップを実施していた。インターンシップの期間は、「2~4日」が44.1%で最も多く、次いで「1日」が27.1%、「5~10日」が19.2%などとなっている。

政府は2023年度から、就業体験要件、実施期間要件、指導要件など「一定の基準に準拠するインターンシップで得られた学生情報については、その情報を採用活動開始後に活用可能」としたが、これを受けて、条件を満たすインターンシップの実施について尋ねたところ、「検討する」とした企業は35.1%を占めた(「条件を満たすインターンシップの実施に課題はなく、実施を検討する」と「条件を満たすインターンシップの実施に課題はあるが、実施を検討する」の合計)。

一方、「条件を満たすインターンシップの実施は困難であり、実施しない」は8.3%だった。

インターンシップ実施の課題はマンパワーや時間

インターンシップ実施にあたって課題と感じていることについては(複数回答)、「実施に係る社内人員の確保」が41.4%、「実施に係る社内スケジュール・時間の確保」が39.9%と、マンパワーや時間の確保がネックとなっている様子がうかがえる。このほか、「学生が興味を持つプログラムの企画」が34.9%、「参加学生の募集」が33.2%、「就業体験の受入れ現場・社員の理解」が28.3%などといった回答割合となっている。

人手不足の企業は65%と2019年に次ぐ深刻な状況

調査では、人手不足の状況についても尋ねている。64.9%の企業が「人手が不足している」と回答し、同割合は前年調査(2021年7~8月)の36.4%から15.0ポイント増加した。なお、2019年調査では同割合は66.4%だった。

「人手が不足している」割合を業種別にみると、「建設業」(77.6%)や「運輸業」(76.6%)、「介護・看護業」(74.5%)で、不足感が強いとの結果があらわれており、コロナ禍で深刻な影響を受けた「宿泊・飲食業」でも73.9%となっている。

対応策は正社員の採用や業務効率化

「人手が不足している」と回答した企業に対応方法を聞いたところ(複数回答)、「正社員の採用」が83.8%と最も高く、「有期雇用社員の採用」の48.1%を大きく上回る。

これらに次いで高いのは「業務プロセスの見直しによる業務効率化」の38.7%で、以下「社員の能力開発による生産性向上」(32.4%)、「IT化等設備投資による生産性向上」(29.8%)などの順となっている。

人手不足の状況を受け、求職者に対してどのような魅力ある企業・職場となるための取り組みを行っているか尋ねると(複数回答)、「賃上げの実施、募集賃金の引き上げ」が57.0%で最も割合が高く、次いで「福利厚生の充実」(45.9%)、「人材育成・研修制度の充実」(41.1%)、「オフィス・工場等、職場の環境整備」(35.9%)、「ワークライフバランスの推進」(28.1%)などの順で高かった。

「多様で柔軟な時間設定による働き方の推進」(21.0%)、「場所にとらわれない柔軟な働き方の推進」(11.0%)のうちいずれかを回答した企業(=「柔軟で多様な働き方」導入に取り組む企業)の割合は26.1%となっている。

(調査部)