【北海道】行動制限の解除で人の動きが活発化

地域シンクタンク・モニター定例調査

北海道では、4~6月期の地域経済は、行動制限が解除されて人の動きが活発化したこともあり【やや好転】した。7~9月期の見通しも、個人消費が持ち直して【やや好転】となっている。4~6月期の雇用動向は、各種統計の動きから【横ばい】と判断。7~9月期の雇用見通しは、幅広い業種で新規求人数が増加するなど雇用統計が好調なことから【やや好転】としている。

<経済動向>

景況感は製造業・非製造業ともに改善

日本銀行札幌支店の「企業短期経済観測調査(北海道分)」(短観)によると、6月調査の業況判断(「良い」-「悪い」)はマイナス1で、前期(3月調査)から9ポイント上昇している。業種別にみると、製造業はマイナス4で前期から7ポイント上昇しており、非製造業もマイナス1で前期から9ポイント上昇している。

モニターが実施した「道内企業の経営動向調査(4~6月期)」の結果をみても、売上DIが11で前期から19ポイント上昇したほか、利益DIもマイナス4で前期から17ポイント上昇した。

分野別の動向をみると、個人消費は、販売額が百貨店(前年同期比プラス29.0%)で大幅に増加したほか、家電大型専門店(同プラス6.0%)、コンビニエンスストア(同プラス4.6%)、ドラッグストア(同プラス0.9%)でも増加しており、総じて消費の底堅さがみられた。ただし乗用車新車登録台数は、半導体不足を主因として前年同期比マイナス8.5%で4四半期連続のマイナスとなっており、個人消費持ち直しの重石となっている。

サービス消費は、行動制限が解除されて人の動きが活発化したことにより、好調に推移した。観光では、国内からの観光客数が前年同期比プラス121.6%で5四半期連続の増加となっている。

こうしたことからモニターは、4~6月期の地域経済を【やや好転】と判断した。

マインドに慎重さがうかがえるも持ち直しの動き

日銀短観での9月の先行き業況判断をみると、全産業でマイナス5と6月実績から4ポイント悪化の見通しで、慎重さがみられた。北海道財務局が公表した「法人企業景気予測調査」をみると、7~9月期の現状景況判断BSI(前期比「上昇」-「下降」)はプラス1.5で、前期(プラス1.7)からやや減速したものの上昇超過となっている。

7月の個人消費の動向をみると、乗用車新車販売台数(前年同月比マイナス4.7%)は供給制約から前年割れが続いているものの、販売額は百貨店(同プラス17.8%)、コンビニエンスストア(同プラス3.7%)、ドラッグストア(同プラス2.3%)、スーパー(同プラス0.6%)で増加しており、業種により濃淡はみられるものの、底堅く推移している。

サービス消費についても、まん延防止等重点措置の解除により人の動きが活発化しており、これに比例して持ち直しの動きがみられる。

モニターはこれらの結果から、「個人消費は一部に弱さがみられるものの、持ち直しの動きがみられる」として、7~9月期の見通しについては【やや好転】を選択した。

<雇用動向>

人手不足が強まるなかで、雇用のミスマッチが生じているおそれが

日銀短観によると、6月調査の雇用人員判断(「過剰」-「不足」)はマイナス35で、前期(3月調査)から4ポイント低下となっている。ただし業種別にみると、非製造業がマイナス37で前期比6ポイント低下に対して、製造業はマイナス30で前期に比べ4ポイント上昇しており、人手不足感は業種で濃淡がみられる。

労働統計をみると、有効求人倍率は4月が1.11倍(前月比プラス0.03ポイント)、5月が1.12倍(同プラス0.01ポイント)、6月が1.12倍(同変化なし)とわずかではあるが改善基調で推移した。当期の新規求人数(常用)は、前年同期比13.3%と大幅に増加している。一方、完全失業率(原数値)は3.7%で、前年同月から0.8ポイント上昇している。

これらをふまえ、モニターは、「全産業では人手不足感が強まり、有効求人倍率は1倍を超え、新規求人も増加しているが、業種でバラツキがみられる。また完全失業率も増加しており、雇用のミスマッチが生じていることが推測される」として、4~6月期の雇用について【横ばい】と判断した。

新規求人数が幅広いで業種で増加

7~9月期の見通しについては【やや好転】と判断した。

その理由として、「日銀短観では9月(先行き)の雇用人員判断(「過剰」-「不足」)はマイナス42で、6月(マイナス35)から7ポイント低下の見通しで、人手不足感は前期からさらに強まる見通し」であることや、「7月の有効求人倍率は1.14倍で6月(1.12倍)から改善」「7月の新規求人数は前年同月比プラス15.8%と大幅な増加となった。業種別にみても、卸売業・小売業(前年同月比プラス38.8%)、サービス業(同プラス29.5%)、宿泊業、飲食サービス業(同プラス25.0%)、製造業(同プラス22.8%)で20%を超えるなど、幅広い業種で増加している」といった好材料をあげている。

(調査部)