ビジネス・レーバー・トレンド2025年11月号
毎月25日更新
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若年層の働く意識変化への対応 ――人材定着・活躍に向けた大学・企業の最新事例から
近年は、働く人、特に若年層のワーク・ライフ・バランスやキャリア形成、能力開発などに対する意識の変化がみられ、企業にとっては、人材の獲得・定着と成長・活躍に向け、社員のエンゲージメントやウェルビーイング、成長できる環境や制度づくりが重要となってきている。本号では、調査部で行った大学と企業に対するヒアリング結果から、若年層の働く意識変化に対応するためのさまざまな取り組み事例を紹介する。
目次
大学・企業ヒアリング
調査部では、学生の職場環境やキャリア、能力開発などの働く意識がどのように変化しているのか、また、若年層の従業員のそうした意識変化に企業がどのように対応・工夫しているのかを明らかにするため、人手不足の深刻度が増す地域で特徴的な取り組みを講じている大学と企業にヒアリングした。大学では、神奈川大学、九州大学、東北大学の3校、企業ではオフィス機器の総合商社であるイシマル(長崎県長崎市)、総合建設業の近藤建設(富山県富山市)、産業機械メーカーのスギノマシン(富山県滑川市)、障害者施設などを運営する社会福祉法人いわみ福祉会(島根県浜田市)の4社の事例を掲載する。
〔大学〕
- 学生からの個別相談を強化することで就職活動の悩みに対応 ――神奈川大学
- コロナ禍以降、企業の採用活動がオンライン化、遠隔地での面接も容易に ――九州大学
- キャリア・社会連携支援センターでキャリア教育を強化 ――東北大学
〔企業〕
- DX化によるオフィスリニューアルで働き方改革を実行し、社員の行動変容にも成功 ――イシマル
- 若手社員を部署横断的な委員会に抜擢し、新制度構築、DX化に成功 ――近藤建設
- 新評価制度を導入しマネジメントスキルの「見える化」に成功 ――スギノマシン
- 無資格者に資格取得を支援することで社員の定着率の向上に取り組む ――社会福祉法人いわみ福祉会
2025春闘における賃上げ等の状況
- 将来のインフレ見通しを賃上げ要求基準に反映させることなどを提言 ――連合の「『未来づくり春闘』評価委員会」が報告書をとりまとめ
- 「1人平均賃金の改定額」は昨年を上回る1万3,601円で、改定率は4.4% ――厚生労働省が「2025年賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を発表
- 平均妥結額は94万6,469円で過去最高額に ――厚生労働省「2025年民間主要企業夏季一時金妥結状況」
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 使用者による障がい者虐待の通報・届出があった事業所数は前年度から5.4%増加 ――厚生労働省「2024年度使用者による障害者虐待の状況等」
- 監督指導した特定技能外国人を使用する事業場の約76%で法令違反 ――厚生労働省「外国人技能実習生または特定技能外国人を使用する事業場に対する2024年の監督指導、送検等の状況」
- 3年前に比べ、正社員数が「減った」とする事業所がほぼ3割に ――厚生労働省「2024年就業形態の多様化に関する総合実態調査」
地域シンクタンク・モニター定例調査
各地域のシンクタンクのモニターに、地域経済や地域雇用の動向などについて、定期的に調査を実施しています。
<2025年第2四半期(4~6月期)実績および第3四半期(7~9月期)の見通し>
[調査結果の全体概況]
[各地域の調査結果]
- 【北海道】(北海道二十一世紀総合研究所)個人消費は底堅く推移、強い人手不足感は継続
- 【岩手】(いわぎんリサーチ&コンサルティング)新車登録の反動増が継続も、小売販売額は前年並み。求人倍率の弱さに下げ止まり感
- 【宮城】(七十七リサーチ&コンサルティング)猛暑による外出控えがサービス消費の下押しに。人手不足感は強まる見込み
- 【山形】(山形銀行やまぎん情報開発研究所)山形新幹線のトラブルで目立つ、観光分野の落ち込み
- 【福島】(とうほう地域総合研究所)県内企業の半数超がベアを実施し、前年比約8ポイント増
- 【茨城】(常陽産業研究所)小売業から異常気象による消費マインド低迷の声も。進まない非製造業での価格転嫁
- 【北陸】(北陸経済研究所)北陸各県の有効求人倍率は全国平均に比べて高水準
- 【東海】(OKB総研)夏季賞与の妥結平均額が経営者協会調べで過去最高を記録
- 【近畿】(アジア太平洋研究所)大阪・関西万博の駆け込み需要に期待、雇用動向は万博が寄与し「回復しつつある」
- 【中国】(中国地域創造研究センター)不透明な関税の影響、物価上昇のなか見えない購買意欲の高まり
- 【四国】(四国経済連合会)生産・輸出の足踏みにより経営者の景況感がやや慎重化
- 【九州】(九州経済調査協会)継続的な物価高のなかで消費マインドが冷え込み
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- アメリカ
- ライドシェアのギグ・ワーカーによる「労組」結成が可能に ―カリフォルニア州
- ドイツ①
- 手工業分野における雇用構造の変化と女性マイスターの台頭
- ドイツ②
- 縮まらない東西の賃金格差
- ドイツ③
- 市民手当、完全停止はごくわずか ―IAB分析
- 韓国①
- 60歳以上の高齢自営業者増加 ―韓国銀行レポート
- 韓国②
- 労組法を改正 ―使用者の定義を拡大、労働者への損害賠償請求を制限
- 台湾
- 台湾当局、国際情勢の不確実性に備えた雇用安定策を実施
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2025年10月27日掲載


