【福島】(とうほう地域総合研究所)
県内企業の半数超がベアを実施し、前年比約8ポイント増
地域シンクタンク・モニター定例調査
福島県の経済動向は、4~6月期は生産活動に動きがないことなどから、モニターのとうほう地域総合研究所は【横ばい】と判断した。7~9月期も、個人消費の底堅さや建築資材の受注動向などをふまえて【横ばい】となった。雇用動向については、労働統計の動きをもとに4~6月期、7~9月期のいずれも【横ばい】としている。モニターが県内企業に実施した調査によると、ベースアップを実施した県内企業は54.0%で半数を超え、前年から7.8ポイント上昇している。
<経済動向>
大型小売店販売額は前年同期比3.4%増、乗用車登録は1.3%増
4~6月期の地域経済を個人消費からみると、大型小売店販売額は1,855億2,600万円で、前年同期比プラス3.4%となった。乗用車登録・届出台数(新車および中古車)は3万7,392台で同プラス1.3%と増加した。
公共投資は、公共工事前払保証請負金額が前年同期比プラス10.4%と3期ぶりに増加した。環境省、国土交通省発注の工事が大きく増加した。民間設備投資は、建築着工(民間非居住用)工事費予定額が前年同期比マイナス40.4%、前期比マイナス38.0%となっている。大型投資の反動減が影響した。
新設住宅着工戸数は前年同期比マイナス35.1%、前期比マイナス21.4%となっている。4月からの住宅省エネ法改正に向けた3月の駆け込み需要の反動減によって大きく減少した。
生産活動は、鉱工業生産指数が前期比プラス0.2%と横ばいの動き。
モニターはこれらの統計をもとに、4~6月期について【横ばい】と判断した。
7月は公共投資、民間投資ともに前年同期比マイナス
7月の統計をみると、大型小売店等販売額は前年同月比プラス3.0%と、3カ月連続で増加した。乗用車登録・届出台数は同マイナス1.1%で2カ月ぶりに減少した。
公共投資は、公共工事前払保証請負金額が前年同月比マイナス7.7%と減少した。民間設備投資は、建築着工(民間非居住用)工事費予定額が同マイナス39.5%で減少となった。
新設住宅着工戸数は前年同月比マイナス38.7%。4月以降、駆け込み需要の反動減が続いている。
モニターは「駆け込み需要や前年の大型投資の反動から7月は投資動向で弱い動きがみられた」としつつも、7~9月期の見通しについては、個人消費の底堅さや建築資材の受注動向などをふまえて【横ばい】とした。
<雇用動向>
雇用保険受給者実人員数が前期から7.8%増加
4~6月期の雇用実績は、雇用保険受給者実人員数が前期から7.8%増加した。前年同期比では5.6%の減少。有効求人倍率は1.30倍で前期から0.02ポイント上昇しており、こうした動きもふまえて【横ばい】とした。
7~9月期については、有効求人倍率は7月が1.28倍で前月から0.02ポイント低下した。雇用保険受給者実人員数は7月が前年同月比プラス2.3%で、2カ月連続で前年を上回った。そのうえでモニターは、「物価上昇などによる企業業績の悪化から求人動向に対する不安要素があるものの、人手不足を背景に底堅い求人があることから、【横ばい】で推移する」と判断した。
モニターが県内企業に実施した調査によると、今春の賃上げ実施状況は「引き上げた(定期昇給のみ)」が28.3%、「引き上げた(ベースアップのみ)」が22.3%、「引き上げた(ベースアップと定期昇給の両方)」が31.7%となっており、あわせて82.3%の企業が賃上げを実施している。前年調査比で2.9ポイント上昇した。ベースアップを実施した企業は54.0%で半数を超え、前年調査比で7.8ポイント上昇した。


