ビジネス・レーバー・トレンド2026年1・2月号
毎月25日更新
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仕事を助けるAI
テキストや画像、音声などを自律的に生成できる「生成AI(人工知能)」の開発が急速に進展するなど、AIの性能レベルが向上し、社会への普及が広がるなかで、ビジネスや労働の現場でもAIの活用が進む。ただ、AIについては、誤った情報の作成や拡散などといった課題も指摘され、その活用と有用性に不安を抱く人も少なからずいる。仕事や労働の現場で活用されている最先端のAI技術は、実際にどれだけ私たちの仕事を助け、どんな新しい可能性をもたらしているのか。本号では、最先端のAI技術を活用した製品・サービス、AIの活用で仕事の質を向上させている企業の事例、アンケート調査結果などを通し、労働分野におけるAI活用への期待を展望する。
目次
企業事例
調査部では、最先端のAI技術を活用した製品・サービスを提供する企業、AIの活用で仕事の質を向上させている企業を取材した。採用選考でAIが面接官となる「AI面接」を提供するタレントアンドアセスメント(東京都港区)、社員に的確な助言を与える「AI社長」を開発したTHA(東京都新宿区)、技能伝承などにも役立つアイトラッキンググラスを提供するTobii(日本法人:東京都品川区)、社内文書を短時間で検索するAIを活用しているライオン(東京都台東区)の4社の事例を掲載する。(掲載は企業名の五十音順)
- 科学的理論に基づく面接技法を学習したAIが、人よりも公平に採用面接を実施 ――タレントアンドアセスメントが提供する対話型AI面接サービス「SHaiN」
- 社長の考えや判断基準を学習したオリジナルのAIが社員に的確に助言 ――THAが提供する「AI社長」
- 視線の動きを熟練者と初心者で比較、効率的な暗黙知の伝承で人材育成に貢献 ――Tobiiのアイトラッキンググラス
- 膨大な技術文書の中から探したい技術・知見がすぐに取得でき、情報収集時間は最大約5分の1にまで短縮 ――ライオンが自社で開発するAIツール「LINK Chat」
ビジネス・レーバー・モニター特別調査
(定例調査の結果は本号の後段に掲載)
政府の経済対策
- 賃上げ環境の整備に向けて、価格転嫁の徹底や「医療・介護等支援パッケージ」などを盛り込む ――政府が「総合経済対策」を閣議決定
- 医療・介護等従事者に対する賃上げ支援に1兆3,649億円を計上 ――厚生労働省の2025年度補正予算
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
- スト規制法を廃止するまでの結論には至らず ――厚生労働省「労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会」報告
- 「心の病」増加傾向が約4割、年代は10~20代が最多 ――日本生産性本部「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 公務職場で働く人の半数がカスハラを経験 ――自治労連アンケート調査結果
- 正社員の賃上げ額は1万3,183円で、賃上げ率は4.73% ――日本商工会議所・東京商工会議所の「2025年度中小企業の賃金改定に関する調査」
- 3割が賞与・退職金の月給化の動きが「あった」 ――パーソル総合研究所「賃上げと就業意識に関する定量調査」
ビジネス・レーバー・モニター定例調査
雇用動向や人事労務管理面での変化・課題などについて、モニター委嘱先(企業、事業主団体、産業別労組、単組)を対象に、企業・団体には年4回、労働組合には年2回、アンケート調査を実施しています。
<産別・単組調査 2025年度第1回>
- 格差是正などに向けた賃金改善を目指し、過去最高水準の賃上げを獲得したとの報告も ――【産別労組】1年間の運動・活動での特徴的な内容や2025年の定期大会で決定・補強した運動方針など
- 組合員との交流を促進する取り組みを掲げる組合も。AIへの対応については多くの組合が肯定的な姿勢 ――【単組】1年間の運動・活動での特徴的な内容や2025年の定期大会で決定・補強した運動方針など
<企業・業界団体調査 2025年7~9月期の業況実績/10~12月期の業況見通し>
フォーカス
諸外国における解雇規制と紛争解決制度について
労働政策研究・研修機構(JILPT)では、ドイツ・フランス・イギリスにおける(解雇の金銭解決制度を含む)解雇規制や紛争解決制度の現状について、文献による調査を進めるとともに、各国における制度の運用実態や政策的な評価等に関して、現地の有識者(法曹関係者、労働組合・使用者団体、行政機関、研究者等)に対して、ヒアリング調査をも行った。かかる調査研究により得られた知見を、各国ごとに一覧表の形で整理した。(海外情報担当)
諸外国の公共職業安定機関等におけるAIの導入状況調査―ベルギー、フランス、スウェーデン、韓国
AI技術の進展を踏まえ、労働力需給調整分野におけるAI活用の検討が進んでいる。厚生労働省は現在、公共職業安定所等におけるAI導入に向けた課題整理を進めている。この取組の一環として、JILPTでは、諸外国の公共職業安定機関におけるAI導入状況を調査した。特に、求人者と求職者の双方を対象としたサービスにAIを活用していると考えられるベルギー、フランス、スウェーデン、韓国の4カ国を対象に、AI活用の概要、導入の経緯、効果、課題、改善の方向性等に関する情報を収集した。(海外情報担当)
開催報告:第23回北東アジア労働フォーラム(2025年11月14日開催)若者の雇用と労働:各国の主要な若者雇用政策の動向と今後の方向性
労働政策研究・研修機構(JILPT)は2025年11月14日、第23回北東アジア労働フォーラムを開催した。本フォーラムは、労働政策研究・研修機構(JILPT)、韓国労働研究院(KLI)、中国労働社会保障科学研究院(CALSS)の日中韓3カ国の労働政策研究機関が、共通するテーマに基づき研究成果の報告と討論を行い、知見を共有することを目的としている。今年度は、韓国労働研究院(KLI)の主催により、「若者の雇用と労働:各国の主要な若年雇用政策の動向と今後の方向性」をテーマに開催した。日中韓3カ国の若者の現状、若者の労働市場参加を促進する政策、教育と職業のミスマッチによる若年失業への対応策などについて研究報告と討論を行った。(海外情報担当)
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- イギリス①
- 最低賃金、2026年4月より時給12.71ポンドに引き上げ
- イギリス②
- EU離脱以降の外国人労働者の流出入と影響
- イギリス③
- 労働力不足職種への外国人受け入れ制度を見直しへ
- イギリス④
- 内務省、永住資格の申請要件の厳格化など提案
- イギリス⑤
- 介護業における「公正賃金協定」を導入へ
- 中国①
- 政府、農民工の「大規模な帰郷」と再貧困防止策を強化
- 中国②
- 10月1日からK字ビザを導入 ―若手外国人材の新たな受入れ制度
- 韓国①
- 週4.5日制実施企業に奨励金を支給 ―京畿道と全国規模のモデル事業
- 韓国②
- インターン参加者の約7割が正規雇用に就職 ―韓国雇用情報院レポート
- 韓国③
- 日本で働く韓国人の現状 ―韓国労働研究院報告
- OECD
- OECD諸国への移住、前年比4%減も高水準を維持 ―『国際移民アウトルック2025』
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2025年12月23日掲載


