インターン参加者の約7割が正規雇用に就職
 ―韓国雇用情報院レポート

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2025年11月

韓国雇用情報院は2025年10月、報告書「青年の職場体験と就業」を発表した。本報告書は、学生時代にアルバイトやインターンなどの就労経験のある青年層(19~29歳)は、就労経験のない者と比較して卒業後初めての仕事(初職)への移行に肯定的な影響を受けていることを示しており、特にインターン経験者の7割近くが正規雇用として就労していたと分析している。以下で主な内容を紹介する。

学生のうちに就労経験がある者の割合は男性約4割、女性約5割

2025年時点で、青年層(19~29歳)のうち、在学中または休学中に就労経験がある者の割合は男性が39.4%、女性は47.1%であった。

雇用形態としては、男性はアルバイトなどの時間制就業が74.6%と最も多く、続いて全日制就業(フルタイム就業)が12.5%の順であった。女性は時間制就業が75.3%と最も多く、続いて学校の現場実習が9.2%の順であった(図表1)。就労期間をみると、男性は「1か月以上6か月未満」が39.7%で最も多く、女性は、「1年以上」が37.5%で最も多かった。2021年と比較すると、2025年には男女ともに「1か月以上6か月未満」の割合が低下し、「1年以上」の割合が増加する傾向がみられた。

図表1:職場体験の形態及び期間(単位:千人、%)
男性 女性
2021 2022 2023 2024 2025 2021 2022 2023 2024 2025
就労経験
(参加率)
1,825
(41.4)
1,777
(41.4)
1,717
(40.7)
1,687
(41.3)
1,575
(39.4)
2,103
(47.9)
2,032
(47.3)
1,910
(45.5)
1,876
(46.0)
1,873
(47.1)
体験形態 全日制就業(フルタイム就業) 17.1 14.5 13.3 10.9 12.5 8.6 8.8 8.3 8.4 7.5
時間制就業 70.4 71.7 72.9 75.6 74.6 74.2 74.2 75.8 74.6 75.3
インターン 4.0 4.8 4.2 5.0 5.1 4.8 5.5 5.0 6.0 7.0
学校現場実習 7.6 7.5 8.0 7.3 6.5 11.1 10.3 10.1 10.1 9.2
政府支援職場体験プログラム 0.7 0.9 1.3 1.0 0.8 1.0 0.9 0.5 0.9 0.9
その他 0.2 0.6 0.3 0.3 0.6 0.3 0.4 0.2 0.0 0.2
体験期間 1か月未満 9.4 9.4 9.1 9.1 8.6 8.6 8.5 6.8 6.8 7.6
1か月~6か月 43.9 44.7 43.3 40.2 39.7 38.1 38.7 37.8 34.8 32.6
6か月~1年 21.0 21.3 20.2 21.9 22.0 21.5 20.3 21.8 22.4 22.3
1年以上 25.7 24.6 27.3 28.7 29.7 31.8 32.4 33.7 36.0 37.5

出所:韓国雇用情報院(2025)を基に作成

何らかの就労経験を有する青年層が初職に到達した割合は、男性は56.2%、女性は59.3%であり、就労経験がない人(男性35.5%、女性35.8%)の割合を大幅に上回っている(図表2)。

図表2:就労経験の有無による初職到達率
画像:図表

出所:韓国雇用情報院(2025)を基に作成

初めての仕事の雇用形態をみると、就労経験を有する者は、男性の55.6%、女性の55.4%が正規雇用として就労しており、就労経験が初めての就労に肯定的な影響を与えていることは明らかである。

就労経験時の雇用形態と、初めての仕事での雇用形態を詳細に比較すると、アルバイトなどの時間制就業を経験していた者の半数以上が初めての仕事で正規雇用として就労していた(男性54.7%、女性52.5%)(図表3)。

図表3:職場体験の形態による初めての仕事の雇用形態(単位:千人、%)
  職場体験の形態
全日制就業 時間制就業 インターン 学校の現場実習 政府支援職場体験プログラム その他
就労経験 1,996 182
(9.1)
1,430
(71.6)
151
(7.5)
212
(10.6)
18
(0.9)
4
(0.2)
短期契約職 19.3 19.3 19.9 17.2 16.4 26.1 18.3
長期契約職 16.3 17.0 16.6 12.7 16.6 9.6 18.8
正規職 55.5 54.1 53.5 69.2 60.3 64.4 16.1
臨時職 7.2 7.9 8.1 0.5 5.1 46.8
非賃金労働 1.7 1.7 1.9 0.5 1.6
男性 就労経験 885 110
(12.5)
632
(71.4)
57
(6.4)
75
(8.5)
8
(0.9)
3
(0.4)
短期契約職 19.2 19.0 20.4 11.7 18.1 21.8
長期契約職 15.1 17.3 14.5 16.1 14.9 20.7 22.5
正規職 55.6 51.1 54.7 72.2 57.1 79.3
臨時職 8.5 10.7 8.7 9.2 55.8
非賃金労働 1.5 2.0 1.7 0.8
女性 就労経験 1,111 71
(6.4)
798
(71.8)
94
(8.5)
138
(12.4)
10
(0.9)
1
(0.1)
短期契約職 19.4 19.8 19.6 20.5 15.5 48.4
長期契約職 17.2 16.6 18.2 10.6 17.6
正規職 55.4 58.7 52.5 67.3 62 51.6 100.0
臨時職 6.1 3.7 7.6 0.8 2.9
非賃金労働 1.9 1.2 2.2 0.8 2.0

出所:韓国雇用情報院(2025)を基に作成

また、インターン、学校の現場実習、政府支援の職場体験プログラムなど、参加比率は比較的低いものの(インターン7.5%、現場実習10.6%、政府支援0.9%)、これらの経験者の正規雇用就職率は高く(インターン69.2%、現場実習60.3%、政府支援64.4%)、質の高い就労経験がキャリア初期に有効である点が示された。

このことから、インターンなどの青年層を対象とした多様な就労経験のための支援策の必要性が明らかとなったと雇用情報院は述べている。

注釈

本報告書は、統計庁経済活動人口調査青年層付加調査結果のマイクロデータを基に分析したもの。

参考資料

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