週4.5日制実施企業に奨励金を支給
 ―京畿道と全国規模のモデル事業

カテゴリー:多様な働き方労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2025年11月

李在明大統領は、「賃金削減のない週4.5日制」を大統領選の公約に掲げていた。これは、賃金を削減することなく、週の所定労働日を4.5日にまで短縮するという方針である。これに先立ち、京畿道では2025年6月から週4.5日制を導入した企業に対して奨励金を支給するモデル事業を実施している。全国規模では、政府が2026年から奨励金事業を開始予定である。

以下で主な内容を紹介する。

実労働時間をOECD平均まで短縮することを目標に

韓国の2023年時点の一人当たりの実労働時間は1,872時間であり、OECD平均(1,740時間)よりも高い水準である()。

李在明政権による国政運営方針である「国政課題」の一つに「仕事、家庭、人生が共存する幸せな職場」が掲げられ、その中で、ワークライフバランス向上のために年間実労働時間をOECD平均まで短縮することを目標としている(注1)。この目標達成に向けた週4.5日制の推進に関し、中央・地方政府のモデル事業の実施、実労働時間短縮法の制定、労使による自主的な導入の推進・支援、勤労基準法の改正など、具体的な方策が盛り込まれている。

図:1人当たりの年間労働時間(2023年)
画像:図

出所:OECD(注2)

京畿道週4.5日制モデル事業を2025年6月から実施

京畿道庁は2025年6月より、ワークライフバランスの向上に向けて、週4.5日制のモデル事業を実施している。

対象は、京畿道に所在し、常時労働者数が5人以上300人未満の企業である。労働時間短縮に関しては、労使間の合意が必要となる。

現在の韓国の所定労働時間は40時間であるが、週4.5日制を導入する場合は、これを35時間まで短縮することができる。短縮方法は、①週のうち1日の勤務時間を半休にする、②週労働時間が35時間または36時間になるよう任意の日に勤務時間を調整、③隔週で週4日勤務、のいずれかを選択することが可能である。

京畿道庁は、選定された企業に対して、「賃金保全奨励金」を支給し、労働時間短縮分の賃金の一部を負担する。支給額は、短縮時間が5時間の場合は労働者1人当たり26万ウォン、4時間の場合は21万ウォン、3時間の場合は16万ウォン、2時間の場合は11万ウォンである。ただし、実際の支給金額は、労働時間短縮遵守率に応じて決定する。この割合は、各労働者の労働時間短縮率を合計し、労働者数で割った値である。遵守率が80%以上であれば奨励金を全額支給し、61~79%であれば70%を支給する(60%以下は不支給)。

加えて、勤怠管理システムの構築とカスタムコンサルティングのために、企業あたり最大2,000万ウォンまで支援する。

2025年10月時点で、107社の企業が本事業に参加しており、事業は2027年までの3年間実施される。京畿道庁は導入のメリットとして、在職者の満足度の向上や、子育て世代など20~30代の新規採用にインセンティブとなる点を挙げている。

全国規模の「ワークライフバランス+4.5」事業を2026年から実施予定

政府も週4.5日制を導入する方針である。2026年度の予算案では、新たにモデル事業「ワークライフバランス+4.5」事業を276億ウォン規模で実施予定である。この制度は、導入奨励金と雇用創出奨励金で構成されている。導入奨励金は、労使合意によって週4.5日制を導入した事業所に対して、労働者1人あたり月20万~60万ウォンを支給する制度である。雇用創出奨励金は、週4.5日制を導入後に短縮した労働時間分、新規で労働者を雇用した場合に、追加で労働者1人あたり月60~80万ウォンを支給する制度である。

さらに、「育児期10時出勤制」を新設する。この制度は、労働者が育児を理由に労働時間を1日1時間短縮する場合に、短縮時間分の賃金を削減しないことを許可した事業主を対象とする。事業主に対して労働者1人あたり月に30万ウォンを1,700人規模で支援予定である(予算31億ウォン)。

参考資料

参考レート

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