メールマガジン労働情報 No.1834

■□――【メールマガジン労働情報/No.1834】

特別号:JILPT研究成果等のご紹介

―2023年1月6日発行――――――――――――――□■

 本年も「メールマガジン労働情報」をどうぞよろしくお願いいたします。
本号は特別号として、最新の緊急コラムの他、「コロナ禍における意識・価値観」
「女性の雇用・就業」「外国人労働者」「職場におけるハラスメント」のテーマ別に、
JILPTの関連の調査研究成果等をご紹介します。

◆緊急コラム #30「新型コロナ下における休業者の動向―職場の理由による休業が減少し、個人的な理由による休業が増加―」(主席統括研究員 中井 雅之)

 2020年4月の最初の緊急事態宣言とともに激増し、5月、6月と大幅に減少した
休業者については、その後は感染拡大の波により感染者が増加した後には一時的に
休業者が増加する傾向にあるように見えながら、概ねコロナ前の水準で推移している。
2022年11月時点でも187万人となるなど、200万人を挟む水準となっているが、
長期的にみるとどのように推移してきたのだろうか。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/030.html

 ◇緊急コラム #027「新型コロナの長期化で先行き不透明な雇用動向」(2021年5月)
  https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/027.html

 ◇緊急コラム #025「新型コロナの影響を受けた2020年の雇用動向」(2020年12月)
  https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/025.html

 ◇緊急コラム #022「コロナショックの雇用面への影響は、特定の層に集中─女性、非正規の雇用動向を引き続き注視─」(2020年10月)
  https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/022.html

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■ コロナ禍における意識・価値観 ■
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◆緊急コラム #29「コロナ禍における社会規範と価値観の多様化」(理事長 樋口 美雄)

 コロナ禍において友人と話しをすると、必ずと言ってよいほど話題に上るのが
政府の取るべき危機対応策である。ある人は「感染拡大防止のために政府は国民に
外出を禁止すべきだ」と言う。その一方で別の人は、「いやむしろ経済を活性化
させる必要がある。飲食店の休業要請を解き、GoTo トラベル、GoTo イートを実施し、
入国規制を緩和して、人の往来を自由にすべきだ」と主張する。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/029.html

※『WORK & LIFE 世界の労働』2022年第6号より転載。
 本コラムは日本ILO協議会より転載許可を得て掲載しております。
 (『WORK & LIFE 世界の労働』ウェブサイト)
 https://iloj.org/book.html

◆NHKとの共同調査
記者発表「暮らしと意識に関するNHK・JILPT 共同調査」(一次集計)結果の概要」(2022年9月)

 JILPTでは、人々の暮らし向きの様子や中流に関するイメージ、社会に関する
考え方などを把握するため、NHKとの共同企画による「暮らしと意識に関する調査」を
2022年7月~8月に実施しました。一次集計の結果、「中流の暮らし」を送るのに
必要な年収を尋ねるたところ、有配偶者は「600万円以上」と「800万円以上」、
無配偶者は「400万円以上」と「600万円以上」とする割合が高いこと、過半数(55.7%)は
「中流より下の暮らしをしている」と回答したこと、などが分かりました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20220916.pdf
(NHK・JILPT共同調査)
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/collab/nhk-jilpt/index.html

◆OECD―JILPT共催 ハイレベル・ラウンドテーブル
「不平等は問題か?:人々は日本における経済格差と社会移動をどう捉えているか」(2022年12月)

 JILPTは2022年12月8日、OECDとの共催によるハイレベル・ラウンドテーブル
「不平等は問題か?:人々は日本における経済格差と社会移動をどう捉えているか」
を開催しました。OECDの不平等に関する詳細なクロスカントリー分析
「OECD Does Inequality Matter?」の調査結果を発表し、日本における不平等の認識、
定義、経験について議論するとともに、OECD Income and Wealth Distribution Databases
による所得と富の不平等に関する最新のデータおよびJILPTの研究をもとに議論を深めました。
https://www.jil.go.jp/foreign/event/ko_work/20221208gaiyou.html
(OECDウェブサイト)
https://www.oecd.org/tokyo/newsroom/does-inequality-matter-high-level-roundtable-japan.htm
(「OECD Does Inequality Matter?」)
https://www.oecd.org/social/does-inequality-matter-3023ed40-en.htm

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■ 女性の雇用・就業 ■
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◇ディスカッションペーパー 22-05
『転職行動の男女差:転職前後のタスク距離と賃金変化に着目して』(2022年3月)

 ホワイトカラー転職者の転職行動の男女差や、転職前後のタスク距離が賃金変化に
与える影響について検証するため、日本版O-NETの数値情報と転職者アンケート調査の
個票データを用いて二次分析を行いました。その結果、転職前後の職業移動の傾向は
男女で異なり、男性は管理職、技術職、営業職の中で異なる職業へ転職している者が
多いのに対し、女性は事務職の中で異なる職業へ転職している者が多いこと、
タスク距離と賃金変化との関係について、男性については転職前後のタスク距離が
近いほど転職前後の賃金低下が抑制されている、あるいは賃金が上昇していること
などが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2022/22-05.html

◇労働政策研究報告書 No.221
『変わる雇用社会とその活力―産業構造と人口構造に対応した働き方の課題―』(2022年3月)
(第5章 ポスト工業社会におけるミドルエイジ化と女性活躍)
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2022/0221.html

◇労働政策研究報告書 No.210
『長期雇用社会のゆくえ―脱工業化と未婚化の帰結』(2021年3月)
(第2部 未婚化と男女のキャリア)
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2021/0210.html

◇ディスカッションペーパー 21-09
『コロナショックと女性の雇用危機』(2021年3月)

 2020年11月に実施した「新型コロナウイルスと雇用・暮らしに関する
NHK・JILPT共同調査」などをもとに、コロナ禍での女性の厳しい雇用状況を
分析しました。調査結果によると、2020年4月から11月中旬までの約7か月間に、
解雇や労働時間急減等、雇用の変化を経験した割合は女性が男性の1.4倍、
解雇・雇止め後の非労働力化は女性が男性の1.6倍となり、女性の労働時間や
収入の回復は男性よりも遅いことなどが明らかになりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2021/21-09.html

 ▽労働政策フォーラム「新型コロナによる女性雇用・生活への影響と支援のあり方」(2021年6月開催)
  https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20210629/index.html

 ▽『ビジネス・レーバー・トレンド』2021年10月号
  特集「コロナ禍で女性が置かれた状況と課題」
  https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2021/10/index.html

◇ディスカッションペーパー 21-02
『女性の地域移動と就業・賃金』(2021年2月)

 総務省「就業構造基本調査」(2002年、2012年、2017年)の個票データを用いて、
女性の就業と賃金に対し、本人以外の家族都合による地域移動が負の影響をもたらす
可能性があるかを検証しました。その結果、男女ともに、家族都合による地域移動を
した場合、労働市場における経済的地位の低下が確認されたが、家族都合で地域移動を
する割合は有配偶女性で67.8%であり、負の影響を受ける個人の多くは有配偶女性
であることなどが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2021/21-02.html

◇調査シリーズ No.196『女性活躍と両立支援に関する調査』(2020年3月)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/196.html

 ▽『ビジネス・レーバー・トレンド』2020年3月号
  特集「女性の活躍促進」
  https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2020/03/index.html

▽『日本労働研究雑誌』2023年1月号
 特集「シングルの生活とキャリア」

 シングルであることは人々の生活とキャリアにどのように影響しているのか。
本特集では多様なシングル労働者の現状と課題を概観し、これまで非典型とされてきた
シングルという現象を通して、人々のキャリアおよび社会保障政策・施策のあり方
について再検討します。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/01/index.html

▽『日本労働研究雑誌』2020年9月号
 特集「専門・管理職の女性労働」
 https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/09/index.html

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■ 外国人労働者 ■
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◇ディスカッションペーパー 22-07
『日本の外国人労働者と労働市場構造:これまでの整理とこれからの論点』(2022年3月)

 外国人労働者の雇用・就労に関するここ30年間の動向を整理し、近年の外国人
労働者をめぐる政策の転換を受けた変化の方向と新たな論点をまとめました。
また、労働市場内の位置づけについては、日経連・雇用ポートフォリオモデル
における3つの労働者タイプ(長期蓄積能力活用型、高度専門能力活用型、
雇用柔軟型)を援用して位置付けを整理しています。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2022/22-07.html

◇資料シリーズ No.249『諸外国における外国人労働者受入制度に関する調査
―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、オーストラリア、韓国、EU―』(2022年3月)

 日本で入国管理法の見直しに関する議論が行なわれていることを踏まえ、
諸外国における外国人労働者の受け入れ制度について、概要や動向、
受け入れの現状、課題等をまとめました。各国では、雇用先の確保を前提に、
職務レベルや賃金水準を重視した基準が設けられていること、賃金水準は
概ね職種・経験・技能等を勘案した相場が参照されること、外国人労働者
に対する教育訓練や社会的扶助等の施策の適用は、限定的とみられること
などが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2022/249.html

◇資料シリーズ No.235『外国人労働者の雇用状況に関する分析』(2020年12月)

 外国人雇用状況報告以来の行政把握データを長期的に分析し、これまでの
外国人雇用の状況の概要を分析するとともに、外国人労働者を雇用する企業
における採用、配置、育成、処遇などについて調査し、地域の労働力需給の
観点も踏まえ分析しました。その結果、外国人労働者の入職経路は歴史的に
形成されており、その形成の契機は、送り出し国の社会情勢や歴史的段階と
強く結びついていることなどが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/235.html

◇資料シリーズ No.207『諸外国における外国人材受入制度―非高度人材の位置づけ
―イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、韓国、台湾、シンガポール―』(2018年9月)
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/207.html

▽『日本労働研究雑誌』2022年7月号
 特集「日本的雇用慣行の中の外国人労働者─エビデンスに基づいた議論」

 新型コロナ感染拡大によってブレーキがかかったものの、日本で働く外国人は
近年増加しています。外国人労働者が置かれている状況は、外国人に特有の要因
というよりは日本の労働市場に根差した問題を背景にしていることが多く、彼らが
直面する課題に向き合うことは日本的雇用慣行を見直すことにもつながります。
本号では、日本における外国人労働者をめぐる冷静な議論に資するため、各分野の
研究者・専門家による客観的なエビデンスに基づいた論考を紹介しています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2022/07/index.html

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■ 職場におけるハラスメント ■
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◇労働政策研究報告書 No.216
『諸外国におけるハラスメントに係る法制』(2022年3月)

 日本のハラスメント法制の議論の参考となるように、イギリス・アメリカ・
ドイツ・フランス及びEUにおけるハラスメントに係る法制の把握を目的として
文献調査を行いました。各国はハラスメントに関し何らかの規制を有しており、
労働法分野において明確かつ詳細な規定を有するのがフランス、一般法としての
制定法を有するのがイギリス、特定の事由を理由とするものについて制定法を
有するのがドイツ、差別的ハラスメントについて規定を有するのがアメリカであり、
本報告書ではそれぞれの国の詳細を明らかにし、ハラスメントへの対処が如何に
なされているかなどを紹介しています。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2022/0216.html

◇資料シリーズ No.224
『パワーハラスメントに関連する主な裁判例の分析』(2020年3月)

 重要な政策課題であるパワーハラスメントに関連する主な裁判例について収集し、
具体的にどのような紛争が存在し、また如何に判断がなされているのか分析を
行いました。分析結果は、労働政策審議会 雇用環境・均等分科会において、
資料として活用されました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/224.html

 ▽労働政策フォーラム「職場環境の改善―ハラスメント対策」(2022年2月開催)
  https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20220217/index.html

  ▽『ビジネス・レーバー・トレンド』2022年7月号
   特集「ハラスメントのない職場をつくる」
   https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2022/07/index.html

◇資料シリーズ No.216
『職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果』(2019年6月)

 社会問題化しているパワーハラスメント、カスタマーハラスメントについて、
ヒアリング調査、書面調査により、計52件の具体例の収集・分析を行いました。
パワーハラスメントについては、企業活動に対する阻害要因、経営に対する
重大なリスク要因と認識されており、多くの企業で取り組みが進められている
ことなどが明らかになりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2019/216.html

▽『日本労働研究雑誌』2019年11月号
 特集「ハラスメント」
 https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2019/11/index.html