資料シリーズNo.235
外国人労働者の雇用状況に関する分析

2020年12月17日

概要

研究の目的

2012年末から始まった第16循環の景気拡張過程では、これまでに増して外国人労働者の受入れが大きく進展した。景気は2018年10月に山を迎え、企業の人手不足感も急速に後退しているが、景気のピーク時には、外国人労働者を即戦力として受け入れようとする認識も広がりをみせた。これまでの雇用政策の運営では、景気拡張過程の人手不足感の高まりは、企業経営に対し労働力供給の希少性とその価値を訴え、求職者の立場からみた雇用管理改善指導を強化する好機であるととらえてきた。外国人労働者の受入れの進展と新たな状況に応じ、雇用政策研究の深化が求められている。

本研究は、こうした状況を受けて厚生労働省職業安定局より研究要請があり、調査と分析を実施したものである。

研究の方法

外国人雇用状況報告以来の行政把握データを長期的に分析し、これまでの外国人雇用の状況の概要を分析すること、外国人労働者を雇用する企業における採用、配置、育成、処遇などについて調査し、地域の労働力需給の観点も踏まえ分析すること、などの方法により研究を実施した。

主な事実発見

1.外国人労働者の雇用状況と雇用管理(報告書第2章、第3章)

外国人雇用状況報告以来、労働行政によって把握された外国人労働者数は、継続的な増加傾向を示している。外国人労働者の入職経路は歴史的に形成されており、その形成の契機は、送り出し国の社会情勢や歴史的段階と強く結びついている。

外国人労働者の採用理由としては、能力・人物本位で採用した結果であるとする企業が多いが、日本人が採用できないために外国人採用に依存する企業も存在している。本研究においては、外国人労働者が就労している場合に、その企業の直接雇用関係にあるのか、労働者派遣事業所からの派遣労働者であるのかなど、就労の関係を整理し、正確な把握、検討を行うことは難しかった。

2.企業の人手不足感と外国人雇用(報告書第4章)

景気の第16循環の拡張過程では、労働力需要が大きく拡張し、外国人労働者の受入れもこれまでに増して進展した。この間のマクロの労働経済指標をみると、労働生産性上昇率は鈍化し、実質賃金変化率もマイナスになっている。

これまで外国人労働者の受入れについては、人手不足への対応として受け入れることは適当ではなく、国内の労働力需給の改善に資するよう、省力化、効率化、雇用管理の改善などによって対応するという国民的なコンセンサスが成立していたように思われるが、第16循環の景気のピーク時には、外国人労働者を即戦力として受け入れようとする認識も広がりをみせた。

企業の人手不足感については、第16循環における有効求人倍率の高まりから、バブル期を超える人手不足と言われる場合もあったが、労働経済動向調査をみると、バブル期を超える人手不足であったとは言えない(図表1)。また、職種別に労働者過不足判断D.I.をみると、単純労働者は、景気拡張過程に不足感が著しく高まるが、景気後退に転じれば、一気に過剰感が高まり、雇用調整の対象となる(図表2)。

外国人労働者の受入れは、企業にとって、労働力調達コスト、養成コストの観点から魅力がある場合があるだろうが、景気後退過程での離職の増加は、日本社会全体にとって、社会的コストの支払いを要請する。外国人労働者の受入れが、個々の事業者のレベルで利益を受けるものであるとしても、その社会的なコストの負担も含めて、国民経済的な総合的な検討を必要とする。

図表1 労働者過不足判断D.I.と有効求人倍率の推移

図表1画像

資料出所:厚生労働省「労働経済動向調査」、「職業安定業務統計」より作成

(注)1)労働者過不足判断D.I.は、百分率で計測された全労働者(2008年2月調査以降は常用労働者)の不足事業所割合から過剰事業所割合を減じたもので、時系列の数値は2月調査を第1四半期、5月調査を第2四半期、8月調査を第3四半期、11月調査を第4四半期に対応させた。また、全産業は産業計のものであるが、調査対象は1984年8月調査より製造業、卸売・小売業、サービス業の3産業であったが、1994年2月調査より建設業、運輸・郵便業が加わり、1999年2月調査より、金融・保険業、不動産業が加わった。

2)有効求人倍率は四半期の季節調整値である。

図表2 職種別労働者過不足判断D.I.の推移

図表2画像

資料出所:厚生労働省「労働経済動向調査」より作成

(注)1)労働者過不足判断D.I.は不足事業所割合(%)から過剰事業所割合(%)を減じたポイントであり、全産業の四半期の原数値を用いた。また、数値は1966年から示したが、初期の調査においては1年又は半年ごとの調査実施であったため、線形補間法により中間値を推計した(8職種のうち管理、サービス、運輸・機械運転は1994年から示している)。

2)計数の変動の大きさは各期の前期との変化差の絶対値をとり、期間平均値をもって「景気循環に伴う変動の大きさ」とした。

3)シャドウは景気後退過程を示している。

政策的インプリケーション

外国人労働者の受入れについて国民的コンセンサスの形成に資するよう、調査、分析の結果を広く共有できる報告書(資料シリーズ)として公表した。

本文

研究の区分

緊急調査「外国人労働者の雇用状況に関する分析」

研究期間

令和元~2年度

研究担当者

石水 喜夫
労働政策研究・研修機構 働き方と雇用環境部門統括研究員

入手方法等

入手方法

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