ディスカッションペーパー 22-07
日本の外国人労働者と労働市場構造:これまでの整理とこれからの論点

2022年3月29日

概要

研究の目的

外国人労働者の雇用・就労に関するここ30年間の動向を整理し、近年の外国人労働者をめぐる政策の転換を受けた変化の方向と新たな論点を提示する。また労働市場の位置づけについては、日経連・雇用ポートフォリオモデルにおける3つの雇用タイプ(長期蓄積能力活用型、高度専門能力活用型、雇用柔軟型)を援用して要約をおこなう。

研究の方法

文献サーベイ。

主な事実発見

1989年の改正入管法成立(1990年施行)以降の主要な外国人労働者カテゴリー別の動向は、図表1に整理した。

図表1 日本における外国人労働市場の変遷とこれから:日経連・雇用ポートフォリオモデルを援用した整理

図表1画像

※図中には、政策/研究上重要だと思われる外国人労働者カテゴリーとその動向を示している。

※政策上重要な時期は、白線で示している。

※3つの労働市場セクターは日経連のモデルに倣い「長期勤続」「定着」⇔「短期勤続」「移動」を縦軸として配置している。ただしセクター内での高低は、この限りではない。

近年の外国人労働者をめぐる政策の転換を受け、今後は外国人労働者が日本で安定した雇用を享受できる機会が十分に開かれることがますます重要になると考えられる。実態を観察のうえ労働政策の観点から規制や支援が求められることとして、本稿では次の点を挙げた。

  • 長期蓄積能力活用型については、日本企業に就職する元留学生と外国にルーツを持つ子どもが挙げられる。両者は新卒採用を経て日本の労働市場に参入できることで共通するが、日本企業に就職する元留学生の場合は「定着」(新卒採用を経て労働市場に参入した後の雇用・就労)が、外国にルーツを持つ子どもの場合は「参入」(新卒採用に至るまでのプロセス)が注目すべきポイントとなる。
  • 雇用柔軟型については、長期蓄積能力活用型への移行可能性が鍵となる。具体的には「技能実習」、「特定技能1号」から長期蓄積能力活用型として見込まれる「特定技能2号」への移行、また非正規雇用の定住外国人の処遇改善(無期転換・正社員登用)である。
  • 高度専門能力活用型については、日本の労働市場のなかに当該セクターそのものが確立することで、よりスムーズな受け入れと活用が図られていくものと思われる。
  • 加えてほとんどの外国人労働者カテゴリーの入国・入職に際して観察される媒介主体に注目し、実態を観察のうえ適切な政策的対応をおこなう必要性も指摘した。

政策的インプリケーション

「主な事実発見」に同じ。

政策への貢献

外国人雇用対策の在り方を検討する際の基礎資料としての活用が期待される。

本文

研究の区分

プロジェクト研究「雇用システムに関する研究」
サブテーマ「雇用システムに関する研究」

研究期間

令和3年度

研究担当者

山口 塁
労働政策研究・研修機構 研究員

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

※本論文は、執筆者個人の責任で発表するものであり、労働政策研究・研修機構としての見解を示すものではありません。

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