メールマガジン労働情報 No.1835

■□――【メールマガジン労働情報/No.1835】

インフレ率を超える賃上げの実現、労働移動円滑化のための指針作成に言及/総理記者会見等 ほか

―2023年1月11日発行――――――――――――――□■

┏━━━━━━━━┓
  本号の主な内容
┗━━━━━━━━┛

【行政】インフレ率を超える賃上げの実現、労働移動円滑化のための指針作成に言及/総理記者会見等 ほか
【統計】実質賃金3.8%減、過去1年で最大の下げ幅/毎勤統計調査11月速報値 ほか
【労使】物価上昇下での実質賃金引上げが重要/連合会長 ほか
【動向】業績好調な中小企業の過半数がDXを推進するも、人材不足が深刻/民間調査 ほか
【イベント】研究会「テキストマイニング手法を用いたアプローチ」/法政大学キャリアデザイン学会 ほか

━━━━━━━━━━━━━━
【JILPT研究成果情報】
━━━━━━━━━━━━━━

◇資料シリーズ No.262『製造業におけるAI技術の活用が職場に与える影響―OECD共同研究―』

 職場におけるAI技術の活用実態を明らかにするために、製造業5社を対象として
ヒアリング調査を行いました。その結果、AI技術を活用する従業員のタスクの一部は
減少していること、AI技術は従業員の仕事を代替するものではなく補完するもの
であったこと、AI技術は一定の業務効率化をもたらしていること、開発者にはAI技術
に関する新たなスキルと知識が要請されており、開発者の採用数は増加傾向にあること、
AI技術は従業員の賃金に影響を与えていないこと、AI技術の開発や運用をめぐる
労使協議は実施されていないが、活用部門内での話し合いもしくは個別従業員との
話し合いはなされていること、などが明らかになりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2023/262.html

◇第4期プロジェクト研究シリーズNo.5
 『日本社会の変容と若者のキャリア形成』を刊行しました!

 近年の日本社会の変容、とりわけ産業構造の変化は若者のキャリア形成に
どのような影響を与えたのか。若者の実態を調査から把握するとともに、
就職氷河期世代の現状や、包括的な若者政策を展開させつつある韓国についての
論考を収録しています。
【A5判 190頁 定価:2,750円(本体2,500円)12月27日刊行】
https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2022/05/index.html

━━━━━━━━━━━━━━
【JILPTからのお知らせ】
━━━━━━━━━━━━━━

☆前々号のメールマガジン労働情報(第1833号)に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
【行政】1本目の記事本文の7行目
 正:労基法15条の労働条件通知義務
 誤:労基法14条所定の労働条件通知事項

◇『日本労働研究雑誌』2023年1月号を刊行しました!
 特集「シングルの生活とキャリア」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/01/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2023年1・2月号を公開しました!
 「主体的なキャリア形成を支援する」
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/01_02/index.html

◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2023年1月号を公開しました!
https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html

☆任期付研究員の募集について(2023年度採用)

 労働政策研究・研修機構では、任期付研究員を募集します。
応募書類の提出期限は2023年1月16日(月曜)必着です。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2022/06.html

━━━━━━━━━━━━━━━
【新型コロナウイルス関連情報】
━━━━━━━━━━━━━━━

☆緊急コラム(1月6日)

「新型コロナ下における休業者の動向―職場の理由による休業が減少し、個人的な理由による休業が増加―」(主席統括研究員 中井 雅之)

 2020年4月の最初の緊急事態宣言とともに激増し、5月、6月と大幅に減少した
休業者については、その後は感染拡大の波により感染者が増加した後には一時的に
休業者が増加する傾向にあるように見えながら、概ねコロナ前の水準で推移している。
2022年11月時点でも187万人となるなど、200万人を挟む水準となっているが、
長期的にみるとどのように推移してきたのだろうか。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/030.html

「コロナ禍における社会規範と価値観の多様化」(理事長 樋口 美雄)

 コロナ禍において友人と話しをすると、必ずと言ってよいほど話題に上るのが
政府の取るべき危機対応策である。ある人は「感染拡大防止のために政府は国民に
外出を禁止すべきだ」と言う。その一方で別の人は、「いやむしろ経済を活性化
させる必要がある。飲食店の休業要請を解き、GoTo トラベル、GoTo イートを実施し、
入国規制を緩和して、人の往来を自由にすべきだ」と主張する。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/029.html

▽最近の更新情報(1月10日更新)

 国内統計:賃金
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c10.html

 国内統計:総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c11.html

━━━━━━━━━━━━━━
【行政】
━━━━━━━━━━━━━━

●インフレ率を超える賃上げの実現、労働移動円滑化のための指針作成に言及/総理記者会見等

 総理は4日の年頭記者会見、5日の経済経済3団体共催新年祝賀会の挨拶において、
持続可能で格差の少ない力強い成長の基盤として、成長と分配の好循環の中核である
賃上げの実現をあげ、「インフレ率を超える賃上げの実現」を求めた。また、賃上げを
持続可能なものとするために、リスキリングによる能力向上支援等を進めるとし、
「本年6月までに労働移動円滑化のための指針を取りまとめる」とした。
(年頭記者会見)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0104nentou.html
(経済経済3団体共催新年祝賀会あいさつ)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202301/05keizai.html

●第9回「ものづくり日本大賞」受賞者を公表/厚労省

 厚生労働省、経済産業省、国土交通省および文部科学省は10日、第9回「ものづくり
日本大賞」(内閣総理大臣賞)の受賞者を公表した。厚生労働省関係では、卓越した
技能者(現代の名工)の表彰受賞者の中から1名と、技能五輪国際大会金メダリスト
9名の合計10名が受賞した。同賞は、「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち、
特に優秀と認められる人材を顕彰するもの。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30152.html

●「高年齢者活躍企業コンテスト」を実施/厚労省・JEED

 厚生労働省は、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)と共催で、2023年度
「高年齢者活躍企業コンテスト」を実施する。応募対象は、高年齢者が65歳以上
になっても働ける制度を導入した企業。高年齢者が働きやすい職場環境づくりや、
新たな職場・職務の創出など、年齢にかかわりなく生涯現役でいきいきと働くことが
できる環境等にするための改善策や創意工夫事例を募集する。応募期間は
2023年2月28日まで。優れた事例は、2023年10月に表彰を行う。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28652.html

━━━━━━━━━━━━━━
【統計】
━━━━━━━━━━━━━━

●実質賃金3.8%減、過去1年で最大の下げ幅/毎勤統計調査11月速報値

 厚生労働省は6日、11月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比0.5%増の28万3,895円、
うち一般労働者が同0.2%増の36万8,358円、パートタイム労働者が同2.2%増の
10万1,888円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金では、
前年同月比3.8%減。実質賃金の減少は8か月連続、減少率はこの1年間で最大となった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2211p/dl/pdf2211p.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2211p/2211p.html

●二人以上世帯の消費支出、実質1.2%減/11月家計調査報告

 総務省は10日、11月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの
消費支出は、実質で前年同月比1.2%減、前月比(季節調整値)0.9%減の28万5,947円。
支出項目別でのマイナス寄与は、交際費、仕送り金の「その他の消費支出」(マイナス1.01%)
が最高、次いで魚介類、穀類等の「食料」(マイナス0.81%)など。勤労者世帯の実収入
(二人以上の世帯)は、1世帯当たり実質で50万2,259円(前年同月比0.3%減)。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
(報道発表資料)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

●消費者マインドの基調判断、「弱まっている」で据え置き/12月消費動向調査

 内閣府は5日、2022年12月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度指数
(二人以上の世帯、季節調整値)」は、前月比1.7ポイント上昇し30.3。指数を構成する
各指標では、「雇用環境」が2.6ポイント上昇し35.0、「耐久消費財の買い時判断」が
2.3ポイント上昇し23.7、「暮らし向き」及び「収入の増え方」が共に0.9ポイント上昇し、
それぞれ27.4、35.1となった。消費者マインドの基調判断は、「弱まっている」で
据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
(統計表等)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

●生活保護の申請件数5.2%増/10月被保護者調査

 厚生労働省は4日、生活保護法に基づく「被保護者調査」(2022年10月分概数)
結果を公表した。保護の申請件数は1万9,700件で、前年同月比974件(5.2%)増。
保護開始世帯数は1万7,716世帯で、同1,079世帯(6.5%)増。被保護世帯は
164万4,381世帯で、同2,464世帯(0.2%)増。被保護実人員は202万4,195人で、
同1万3,775人(0.7%)減。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2022/10.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2022/dl/10-01.pdf

●海外現地法人の売上高9.5%増/経産省調査

 経済産業省は12月27日、2022年7~9月の「海外現地法人四半期調査」の結果
を公表した。売上高(全地域合計)は、前年同期比9.5%増で2期ぶりの増加。
地域別に見ると、アジアはASEAN10や中国の輸送機械などの増加により同9.8%増で
2期ぶりの増加。北米は輸送機械などの増加により、同13.9%増で5期ぶりの増加、
欧州は同2.4%減で4期連続の減少。日本企業の海外現地法人の従業者数は、
前年同期比0.7%増で2期ぶりの増加。輸送機械、はん用等機械などが増加となった。
https://www.meti.go.jp/press/2022/12/20221227005/20221227005.html

━━━━━━━━━━━━━━
【労使】
━━━━━━━━━━━━━━

●物価上昇下での実質賃金引上げが重要/連合会長

 芳野連合会長は5日、年頭記者会見において「加盟組織による5%程度の賃上げの
実現をめざすとともに、労働組合のない企業での処遇改善にも波及できるように
後押しする」と述べた。総理の年頭記者会見での「インフレ率を超える賃上げの実現」
という発言については、物価上昇のもとで「実質賃金を上げていき、経済に回していく
ことが非常に今まで以上に重要な年になっている」との認識を示し、最低賃金も
世界標準に上げていくこと、非正規雇用労働者の処遇を通じで全体の底上げを図る
必要があるなどとした。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/rengotv/kaiken/20230105.html

●「分厚い中間層の形成」に向けた賃金引き上げ、労働移動の円滑化等を重視/経団連会長

 十倉経団連会長は1日、新年のメッセージにおいて「サステイナブルな資本主義の実践」
が非常に重要とし、持続的な経済成長の実現にむけて投資活性化と賃金引き上げのモメンタムの
維持・強化に最大限努力していくとした。また、「分厚い中間層の形成」も重要とし、実現には、
賃金の引き上げとともに人への投資や労働移動の円滑化、税と社会保障の見直しが必須である
などと述べた。
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2023/0101_01.html


●12月の業況DIは2.0ポイント低下、先行きも厳しい見方/日商LOBO調査

 日本商工会議所は12月28日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)調査」結果を発表した。
12月の業況DI(全産業合計)はマイナス18.4で、前月比2.0ポイントの低下。経済活動が
正常化に向かう一方、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費の増加等、増加するコストに
見合う十分な価格転嫁も行えていない中、感染拡大も重なり、中小企業の業況は悪化に
転じたとしている。先行き見通しDIはマイナス23.8で、今月比5.4ポイントの低下、
エネルギー価格高騰によるコスト増や人手不足が企業経営の足かせとなり、外需の停滞も
懸念され、中小企業の先行きは厳しいとしている。
https://www.jcci.or.jp/news/2022/1228110000.html

━━━━━━━━━━━━━━
【動向】
━━━━━━━━━━━━━━

●業績好調な中小企業の過半数がDXを推進するも、人材不足が深刻/民間調査

 帝国データバンクは6日、中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)
への取り組みに関するアンケート調査結果を発表した。2期連続増収増益企業のうち、
DXに「取り組んでいる」企業は52.3%、うち「成果が出ている」企業は21.6%。
DX推進の障害は、「対応できる人材が不足」(54.1%)が最多、次いで「既存システム
からの移行が難しい」(24.7%)、「具体的に何をしたらよいかわからない」
(21.1%)など。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230102.html
(詳細)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230102.pdf

●2022年の「円安」関連倒産は前年の3.8倍/民間調査

 東京商工リサーチは5日、「円安」関連倒産状況を発表した。2022年12月の
「円安」関連倒産は5件(前年同月1件)、円安進行に伴い7月から6か月連続で
発生し、2022年の「円安」関連倒産は前年(6件)の3.8倍増の23件に達した。
20件を超えるのは、2017年(23件)以来、5年ぶり。養鶏業、卸売業、小売業、
飲食店経営と幅広い産業で発生した。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230105_02.html

━━━━━━━━━━━━━━
【イベント】
━━━━━━━━━━━━━━

●研究会「テキストマイニング手法を用いたアプローチ」/法政大学キャリアデザイン学会

 法政大学キャリアデザイン学会は2月24日、研究会「テキストマイニング手法
を用いたアプローチ~企業内キャリアコンサルティングの分析を例として」を
オンライン(リアルタイム)で開催する。テキストマイニング手法に精通した
キャリアの研究者を講師に迎え、企業内キャリアコンサルティングに関する
分析結果の紹介と、分析に用いたテキストマイニング手法についての解説を予定。
参加無料。定員100名。要予約。
https://cdgakkai.ws.hosei.ac.jp/wp/group/
(チラシ)
https://cdgakkai.ws.hosei.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/12/2022-12.pdf

●「テレワークセミナー」/東京テレワーク推進センター

 東京テレワーク推進センターは、テレワークに関するセミナーを毎月開催している。
1月は17日、24日にオンラインで開催する。17日は経営にも社員にもメリットがある
フルリモート組織の働き方の工夫について、24日は就業規則と情報セキュリティ規程の
ポイントなどについて説明する。東京都や国の支援事業も紹介予定。参加無料。
要事前予約。定員各300名。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent

●シンポジウム「テレワークをめぐる法律問題を考える」/大阪労働協会

 大阪労働協会は2023年1月17日、シンポジウム「テレワークをめぐる法律問題を考える」
を大阪市で開催する。テレワーク実施の経験を踏まえ、あらためてテレワークへの向き合い方、
そのための社内ルールの整備などを考え、テレワークをめぐる様々な法律問題について議論する。
基調講演、報告、パネルディスカッションを予定。受講料3,300円。募集人数50名。
https://l-osaka.or.jp/lonews/wp-content/uploads/2022/12/2022symposium.pdf