メールマガジン労働情報 No.1680

■□――【メールマガジン労働情報/No.1680】

特別号:JILPT研究成果等のご紹介

―2021年5月7日発行――――――――――――――□■

 本号は特別号として、新型コロナウイルスの雇用・就業への影響に関する調査及び分析、
日本的雇用システムに関する成果などJILPTの最近の研究成果等をテーマ別にご紹介します。
 JILPTでは、新型コロナウイルス感染症に関連する連続パネル調査(企業調査及び個人調査)
を行うとともに、その調査結果や二次分析などに関する特設ページ「新型コロナウイルス
感染症関連情報」を設け、順次、情報の追加・更新等を行っています。そちらも併せて
皆様の業務等にご活用いただければ幸いです。

※本号の記事見出し・リンク先一覧です。
 https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/list/mm20210507.html

※「新型コロナウイルス感染症関連情報」特設ページ
 https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/index.html

※Novel Coronavirus (COVID-19) 英文サイト
 https://www.jil.go.jp/english/special/covid-19/index.html

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■新型コロナウイルスの雇用・就業への影響■
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1.連続パネル調査

(1)個人調査
◇記者発表 第4回「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査」(一次集計)結果(2021年4月30日)

 本調査は、個人を対象とした昨年からの連続パネル調査で、今回(3月調査)が
4回目の実施となります。調査結果によると、直近の月収額について、通常月の月収と
「ほぼ同じ」との回答が3分の2程度(68.8%)である一方、「減少した」との割合も
引き続き4分の1超(27.2%)となっており、過去の調査と単純に比較すると、
実労働時間の長さが戻り切らないこと等を反映して、一定程度の「減少」が常態と
なりつつあることなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20210430a.pdf

 ▽連続パネル調査 個人調査の一次集計結果(記者発表資料)
  第1回:5月調査(2020年6月10日)
  https://www.jil.go.jp/press/documents/20200610.pdf

  第2回:8月調査(2020年8月26日)
  https://www.jil.go.jp/press/documents/20200826.pdf

  第3回:12月調査(2021年1月18日)
  https://www.jil.go.jp/press/documents/20210118.pdf

 ▽関連の分析結果
  ☆リサーチアイ 第50回「若年者に厳しい新型コロナの雇用・収入面への影響─JILPT個人調査の年齢別分析」(2020年12月2日)
   https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/050_201202.html

  ☆リサーチアイ 第48回「コロナ下の労働時間変動を読み解く─7月にかけての局面変化、回復遅れの所在─」(2020年10月27日)
   https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/048_201027.html

  ☆リサーチアイ 第45回「コロナ禍のなかでの賃金の推移─5月・8月パネル調査の分析から─」(2020年9月11日)
   https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/045_200911.html

 ▽ビジネス・レーバー・トレンド2020年8・9月号
  特集「新型コロナウイルスの働く人への影響」
  https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2020/08_09/index.html

(2)企業調査
◇記者発表 第3回「新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」(一次集計)結果(2021年4月30日)

 本調査は、企業を対象とした昨年6月からの連続パネル調査で、今回(2月調査)が
3回目の実施となります。テレワークの実施経験企業は約4割、現在(1月末)も
実施している企業は約3割で、一定の効果はみられた一方、コミュニケーション、
業務の進捗把握、業務の切り出し等、実施上の課題も浮き彫りになっていることなどが
わかりました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20210430b.pdf

 ▽連続パネル調査 企業調査の一次集計結果(記者発表資料)
  第1回:6月調査(2020年7月16日)
  https://www.jil.go.jp/press/documents/20200716.pdf

  第2回:10月調査(2020年12月16日)
  https://www.jil.go.jp/press/documents/20201216.pdf

 ▽関連の分析結果
  ☆リサーチアイ 第58回「新型コロナ感染症拡大下における雇用調整助成金利用企業の特徴と助成金の効果─JILPT企業調査二次分析」(2021年4月2日)
   https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/058_210402.html

  ☆リサーチアイ 第53回「新型コロナウイルス流行下(2020年2~9月)の企業業績と雇用─「第2回新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」二次分析─」(2021年2月3日)
   https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/053_210203.html

 ▽ビジネス・レーバー・トレンド2020年10月号
  特集「コロナ禍での経営・雇用環境」
  https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2020/10/index.html

2.ディスカッションペーパー(連続パネル調査の二次分析)

◇ディスカッションペーパー 21-09『コロナショックと女性の雇用危機』(2021年3月30日)

 コロナ禍での女性の厳しい雇用状況を分析しました。調査結果によると、4月から11月中旬
までの約7カ月間に、解雇や労働時間急減等、雇用の変化を経験した割合は女性が男性の1.4倍、
解雇・雇止め後の非労働力化は女性が男性の1.6倍となり、女性の労働時間や収入の回復は
男性よりも遅いことなどが明らかになりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2021/21-09.html

◇ディスカッションペーパー 21-04『コロナショックと非正規雇用者―2020年夏までの状況を中心に―』(2021年3月18日)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済への打撃(コロナショック)により
非正規雇用者が仕事と生活において被った影響を明らかにするため、官庁統計の
公表データおよびJILPTが実施した個人アンケート調査、企業アンケート調査を
分析しました。コロナショックによる雇用調整は全体として労働時間の減少を
中心とした雇用維持志向のものでしたが、正規/非正規雇用の区分で見ると
非正規雇用者の雇用が大きく減少していたこと、しかし自発的離職者、離職後に
非労働力化する者も多かったことから、リーマンショック時のように失業者数が
急増することはなかったこと、非正規雇用者は休業措置の下でも手当を支給
されにくかったり、もともとの世帯年収が低かったりするため、僅かな労働時間
減少が家計の赤字化に直結しやすい状況にあったことなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2021/21-04.html

◇ディスカッションペーパー 21-01『緊急事態宣言(2020年4~5月)下の在宅勤務の検証』(2021年2月8日)

 新型コロナ感染拡大の第一波を受けて発令された緊急事態宣言下での在宅勤務の
適用・実施拡大、労働時間の状況、同宣言解除後の適用・実施継続状況を検討する
ことにより、宣言下の在宅勤務の効果と課題を検証しました。その結果、宣言下の
在宅勤務適用状況は、特定の業種・職種、大企業、首都圏、高所得層などで高かったが、
その中には仕事内容・進め方が在宅勤務に適合的でないケースも含まれていたこと、
また、宣言解除後の在宅勤務適用状況は、早期に体制整備があった場合や、仕事内容・
進め方が在宅勤務に適合的であった場合は、宣言期間を経て在宅勤務が働き方の
「ニューノーマル」となった一方、そうでない場合は、宣言解除以降に在宅勤務の
働き方が定着していないことなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2021/21-01.html

3.出版物

◇『データで見るコロナの軌跡』データブック国際労働比較2020 特別編集号(2021年4月発行)

 新型コロナウイルスの影響により各国が直面している経済や雇用の大きな変化について、
約1年にわたり収集した統計データを「データで見るコロナの軌跡」として取りまとめました。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/f/documents/2021-04_covid-19.pdf

◇ハンドブック『新型コロナウイルス感染拡大の雇用・就業への影響2020』(2021年3月発行)

 「新型コロナウイルス感染症関連情報」に掲載されている、連続パネル調査
(個人調査・企業調査)結果、リサーチアイ、緊急コラム、統計情報等、2020年の成果を
一冊のハンドブックとして取りまとめました。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/booklet/booklet2020.html

◇ブックレット『新型コロナウイルスと労働政策の未来』(2020年12月発行)

 東京労働大学特別講座「新型コロナウイルスと労働政策の未来」(2020年8月20日開催)
の内容を、関連する背景資料と併せてブックレットとして取りまとめました。
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/booklet/01.html

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■雇用管理(同一労働同一賃金)■
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◇調査シリーズ No.207-1『パートタイム」や「有期雇用」の労働者の活用状況等に関する調査結果 企業調査編』(2021年1月29日)

 2020年4月に施行されたパートタイム・有期雇用労働法について、企業を対象に
「パートタイム」「有期雇用」労働者に対する雇用管理の状況等を尋ねるアンケート
調査を行いました。自社の「有期雇用でフルタイム」の労働者に支給・適用している
制度・待遇を聞いたところ、「賞与」をあげた企業は6割近くにのぼる一方で、
「退職金」をあげた企業割合は1割台にとどまることなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/207-1.html

◇調査シリーズ No.207-2『「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の活用状況等に関する調査結果 労働者調査(「働き方等に関する調査」)編』(2021年1月29日)

 パートタイム・有期雇用労働法について、「パートタイム」「有期雇用」労働者を
対象に就労状況等を把握するためのアンケート調査を行いました。勤務先に業務内容や
責任の程度が同じ正社員がいると回答した「パートタイム」「有期雇用」労働者に対して、
業務の内容等が同じ正社員と比べて自分の賃金水準をどう思うか聞いたところ、
「正社員より賃金水準が低く、納得していない」とする労働者が4人に一人の割合に
のぼったことなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/207-2.html

 ▽関連の成果
  記者発表「パートタイム・有期契約労働者の雇用状況等に関する調査」結果(2020年12月25日)
  https://www.jil.go.jp/press/documents/20201225.pdf

 ▽ビジネス・レーバー・トレンド2020年4月号
  特集「働き方をめぐる新たな動き」
  https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2020/04/index.html

 ▽日本労働研究雑誌 2018年12月号
  働き方改革シリーズ1「同一労働同一賃金」
  https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2018/12/index.html

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■日本的雇用システム■
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◇労働政策研究報告書 No.210『長期雇用社会のゆくえ―脱工業化と未婚化の帰結』(2021年3月31日)

 日本的雇用慣行の中でも長期雇用に焦点を当てて、今後も長期雇用が存続する条件と
崩壊する条件を明らかにするため、アンケート調査を実施しました。その結果、現在の
日本社会では長期勤続が根強い労働市場と雇用流動化傾向が目立つ労働市場が混在しており、
双方の労働市場をまたがる転職は少ないことなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2021/0210.html

◇ディスカッションペーパー 21-10『日本企業における人事制度改革の30年史』(2021年3月31日)

 日本的雇用システムの研究の発展のために、雇用システムを巡る議論を整理する
とともに、雇用システムを分析するための枠組みの提示を試みるために、既存調査・
研究のレビューを実施しました。その結果、人事改革は企業の戦略との適合を目指して
行われてきたこと、そのような人材マネジメントを分析する際には、長期雇用慣行か
雇用の流動化かという二者択一ではない「両立の人材マネジメント」という視点が
必要になることなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2021/21-10.html

 ▽関連の成果
  プロジェクト研究シリーズNo.4「日本的雇用システムのゆくえ」(2017年12月22日)
  https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2017/04/index.html

  資料シリーズ No.199「雇用システムの生成と変貌―政策との関連―」(2018年3月22日)
  https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/199.html

  資料シリーズ No.183「日本的雇用システムと法政策の歴史的変遷―バブル崩壊以降の労働政策の変遷―」(2017年3月31日)
  https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2017/183.html

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■キャリア意識、キャリア形成支援■
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◇資料シリーズ No.236『若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状「平成30年若年者雇用実態調査」より』(2021年3月26日)

 若者のキャリア形成の状況と、企業による若者の雇用管理の現状を把握し、
課題を探索するために、厚生労働省の「平成30年若年者雇用実態調査」を
統計的手法により二次分析しました。その結果、長期勤続型の職業生活を望む
「不本意転職希望層」と転職・独立型の職業生活を望む「ジョブホッパー層」
とで転職希望理由を比べると、前者は後者より「ノルマや責任が重すぎる」の
回答率が高く、現職への採用経緯別にみると、男女の中途採用者・男性既卒
採用者では「労働時間・休日・休暇の条件のよい会社にかわりたい」、
女性の中途採用者では「人間関係のよい会社にかわりたい」の回答率が
より高いことなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2021/236.html

 ▽関連の成果
  プロジェクト研究シリーズNo.3『「個人化」される若者のキャリア』(2017年3月31日)
  https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2017/03/index.html

  資料シリーズ No.171『若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状:『平成25年若年者雇用実態調査』より』(2016年5月31日)
  https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2016/171.html

◇調査シリーズ No.209『派遣元事業所のキャリア形成支援と雇用安定措置「派遣労働者の人事処遇制度とキャリア形成に関する調査」』(2021年3月31日)

 派遣法改正から3年経過した中で、派遣元事業所でのキャリア形成支援や
雇用安定措置の施行状況について、具体的取組みや課題を調査し、その効果を
検証しました。その結果、派遣労働者のキャリア相談は営業担当者のフォローが
中心であること、雇用安定措置により無期雇用派遣へ転換して同じ派遣先の
職場で働き続ける割合が高いことなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/209.html

 ▽日本労働研究雑誌 2016年6月号
  特集:キャリア形成に向けた支援
  「派遣労働者のキャリア形成支援 ─派遣元に求められる対応を中心に」
  https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2016/06/pdf/038-052.pdf

◇調査シリーズ No.208『就業者のライフキャリア意識調査―仕事、学習、生活に対する意識』(2021年3月31日)

 キャリア形成支援施策の背景となる労働者の仕事・学習・生活等に対する意識
を中心としたライフキャリア意識全般について調査研究を行いました。職業・キャリア
も含めたライフキャリア全般についての問題点の平均得点を年代別にまとめたところ、
20~30代は「職場の人間関係」「仕事内容」の問題を抱えているが、年代が上がるにつれて
「自分や家族の健康」「親族と地域」の問題を抱えていることなどが明らかになりました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/208.html

 ▽関連の成果
  労働政策研究報告書 No.200『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査』(2018年3月16日)
  https://www.jil.go.jp/institute/reports/2018/0200.html

  資料シリーズ No.226『ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング
  ―企業領域におけるキャリア・プランニングツールとしての機能を中心として』(2020年3月13日)
  https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/226.html

▽関連のイベント
 ☆第113回労働政策フォーラム「これからの能力開発・キャリア形成を考える─人手不足と技術革新にどう対応すべきか─」(2021年2月19日~22日開催)
  https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20210222/index.html

 ☆第108回労働政策フォーラム「若者の離職と職場定着について考える」(2020年2月13日開催)
  https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20200213/index.html