ビジネス・レーバー・トレンド2024年6月号

毎月25日更新

賃上げが当たり前の社会に向けて ――2024春闘の最新状況

物価上昇を超える賃上げの実現で働く者の生活を向上させ、それによって日本経済を浮揚させるという狙いから、政府、労働界、経済界がほぼ同じ方向感で臨んだ2024春闘。先行して交渉した大手企業がつくった満額・満額超え回答による高水準の賃上げの流れは現在も弱まることなく、労働組合のナショナルセンターである連合の最新の定昇相当分込みの賃上げ率は5.17%と、1991年以来となる5%超えも期待できる状況となっている。本号では、2024春闘に至るまでの政労使の動向を振り返るとともに、労働組合の最新の回答集計結果と大手各社の賃上げ回答結果などを詳報する。

目次

春闘取材

【賃上げの全体状況】

【主要企業の賃上げの状況】

各種調査からみる賃上げ等の状況


ビジネス・レーバー・モニター定例調査

雇用動向や人事労務管理面での変化・課題などについて、モニター委嘱先(企業、事業主団体、産業別労組、単組)を対象に、企業・団体には年4回、労働組合には年2回、アンケート調査を実施しています。

<産別・単組調査 2023年度第2回>

今回の産別・単組調査では、モニターの産別、単組に対し、①春季労使交渉での要求の柱と、妥結・合意した賃上げ結果・労働条件改定の内容②賃上げと主な労働条件改定項目以外で交渉・協議した特徴的なテーマ――について尋ねた。(調査部)

【①要求の柱、妥結・合意した賃上げ結果など】

【②賃上げと主な労働条件改定項目以外で交渉・協議した特徴的なテーマ】


労働政策フォーラム

時間帯に着目したワーク・ライフ・バランス─家族生活と健康─

経済社会のサービス化の進展などから、働く時間帯が早朝・深夜や休日に及ぶ人もいる。そうしたなか、長時間労働の対策については近年、政府や企業を中心に進められてきたものの、unsocial(非典型的)な時間帯の就労実態やその生活や健康への影響については必ずしも十分に把握されてこなかった。3月に開いた労働政策フォーラムでは、「時間帯」に着目した研究成果や、非典型な時間帯に働く人を支援するNPOの取り組みを報告するとともに、時間帯の視点も加えた望ましいワーク・ライフ・バランスのあり方などについて議論した。(各報告およびパネルディスカッションの概要は調査部で再構成したものを掲載している。)

(※講師の所属・肩書きは開催当時のもの)

【基調報告】

時間帯の視点からみた労働者の生活と健康、子どもへの影響

大石 亜希子 千葉大学大学院 社会科学研究院 教授

【研究報告(1)】

就労世代の生活時間の貧困

浦川 邦夫 九州大学 経済学研究院 教授

【研究報告(2)】

生活時間と健康の確保に関わる働き方

高見 具広 労働政策研究・研修機構 主任研究員

【パネリストからの報告(1)】

両親の帰宅時間が子どもの成績や母親の両立葛藤に与える影響─「仕事と教育の両立」問題の実証的研究─

中野 円佳 東京大学 男女共同参画室 特任助教

【パネリストからの報告(2)】

フローレンスの活動紹介

桂山 奈緒子 認定NPO法人フローレンス みらいのソーシャルワーク事業部 マネージャー

【パネルディスカッション】

コーディネーター:濱口 桂一郎 労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長


国内トピックス

行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。


海外労働事情

海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。

アメリカ①
ホワイトカラー・エグゼンプションの俸給水準要件を二段階で引き上げ
アメリカ②
VWテネシー工場で労組結成へ ―UAW
フランス
新たな移民関連法が公布 ―滞在許可の厳格化で国外追放も
ILO①
家事労働者に労働者の権利と社会的保護を ―ILO新政策概要
ILO②
気候変動により世界の労働者の7割が健康被害などの恐れ
ILO③
ジェンダー平等進むもガラスの天井も ―ILO・IOE報告書、使用者組織調査

ちょっと気になるデータ

最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)

2024年5月27日掲載