【主要企業の賃上げの状況】
早期満額決着や要求を上回る回答も
 ――主要企業150社の賃上げ回答一覧

春闘取材

主要企業の賃上げ交渉では、早期の満額回答や、要求を上回る水準の回答も見られた。多くの組合が物価上昇分を上回る賃上げを獲得している。主要企業150社の賃上げ回答結果を見ながら、各業界の賃上げ回答の特徴点を紹介する。

大手メーカーの多くが要求満額か満額以上を獲得。2月段階での早期決着も――自動車

自動車総連(組合員79万9,000人)の「メーカー部会」に所属する完成車メーカーの労働組合のうち、不正認証問題があったダイハツを除く10組合は、集中回答日の3月13日に最終回答を受け、三菱自動車工業を除く9組合が、要求に対する満額か、満額を上回る賃上げを獲得した(図表1)。

図表1
画像:図表1

注:トヨタの2023年は賃金改善分のみの記載。

出所:自動車総連、金属労協公表資料

ダイハツの労働組合は、自動車総連の方針に沿った2月中旬の要求提出では、賃金改善の要求は盛り込まなかったが、3月1日に経営陣が刷新され、その後の交渉の結果、経営側が3月22日に2,000円の賃金改善を回答した。

トヨタでは佐藤社長が満額回答を伝える

トヨタは、平均賃金での要求の内容・回答結果は非公開だが、経営側は「『組合要求通り』の回答とする」(佐藤恒治社長、『トヨタイムズ』より)と応えた。

報道各社が伝えたところによると、具体的な額は職種や等級で異なるという。金属労協の資料は、賃金カーブ維持分込みの総額で、事技職:指導職が2万8,440円、業務職:業務職1級が1万1,740円、技能職:EX級が1万3,940円だと記載している。

なお、個別賃金の要求水準は、自動車総連が定義する「若手技能職」ポイントで33万1,640円、「中堅技能職」ポイントで41万6,610円、トヨタ労組が独自設定する「技能職EX級 技能3等級」のポイントで44万3,740円となっている。

回答日より前に満額回答の方針を経営側から示された組合もあった。本田技研(総額2万円)、マツダ(総額1万6,000円)、ヤマハ発動機(総額1万7,400円)では、2月段階で満額回答を示され、事実上、賃上げに関する交渉は早々と終了した。

スズキでは、組合側は総額で「組合員一人平均2万1,000円」を要求した。ただ、同社は2024年4月からちょうど、職能資格制度の導入などを柱とする新たな人事制度を導入することにしており、交渉のなかで、必要な賃金改定原資が「組合の要求以上に必要となることがわかった」(自動車総連・並木泰宗事務局長)ため、組合要求を超える「平均10%以上の賃金引き上げ」を実施することとなった。

集中回答日時点の平均回答額は1993年以降で最高

自動車総連が発表した3月13日午後2時30分時点で回答が出た「メーカー部会」の11組合(ダイハツを除き、部品メーカーの日本特殊陶業を加えた11組合)の、賃金カーブ維持分と賃金改善分を合わせた平均回答額(単純平均)は、1万8,496 円を記録し、1993年以降での最高水準となった。

自動車総連の金子晃浩会長は3月13日の会見で「各社の労使で、人材の確保や定着に向け認識が1つになるとともに、産業の魅力を維持・向上させていこう、さらには、働く者に対してしっかり報いてあげたいという気持ちが合致したことが成果につながった」と振り返った。同日発表の会長談話は「再びデフレ経済に戻さないとの強い思いや、賃上げと物価上昇が継続していく経済の好循環を実現させることが、自動車総連加盟労使の社会的責務として、今回の回答に繋がったものと受け止めている」と評価した。

一時金については、三菱自工(6.3カ月を要求し、回答は6.0カ月)と日野(5.0カ月を要求し、回答は4.0カ月)を除く9組合が満額を獲得し、トヨタ(前年比0.9カ月増の7.6カ月)と本田技研(同0.7カ月増の7.1カ月)は7カ月台となった。日産は前年比0.3カ月増の5.8カ月、マツダは同0.3カ月増の5.6カ月だった。

シャープを除き、要求満額の1万3,000円の水準改善を引き出す――電機

電機連合(組合員56万5,000人)で、闘争行動を背景に産別統一闘争を展開する中闘組合(12組織)の回答結果をみると、シャープ以外の11組合が、要求に対する満額を獲得した(図表2)。

図表2
画像:図表2

出所:金属労協公表資料

中闘組合は、パナソニックグループ労連、日立グループ連合・日立製作所労組、全富士通労連・富士通労組、東芝グループ連合・東芝労組、三菱電機労連・三菱電機労組、NECグループ連合・日本電気労組などといった顔触れ。中闘組合は統一して、「開発・設計職基幹労働者」(30歳相当)の個別ポイントで1万3,000円の水準改善を要求した。

シャープは満額ならずも、歯止め基準の1万円をクリア

今次闘争で電機連合は、中闘組合が闘争行動に移るかどうかを判断する、いわゆる歯止め基準を3月11日に「1万円」に設定した。シャープは要求額を引き出せなかったが、歯止め基準はクリアすることができた。

電機連合の神保政史委員長は3月13日の会見で、中闘組合の回答について、組合員の期待に応え、電機産業労使の社会的責任を果たすものと評価するとともに、「積極的な人への投資により、実質賃金の向上を図るとともに、経済の好循環への転換を着実なものとするという電機連合の基本方針に沿った回答だと受け止めている」などと語った。

4月2日の会見での神保委員長の説明によると、電機連合全体で、4月2日時点で回答を引き出した組合の8割以上が歯止め基準の1万円をクリアした。1万円以上で決着した組合の約7割が1万3,000円以上を獲得しているという。

一時金について、業績連動方式を採用していない組合の交渉結果をみると、日立製作所が「年間6.17カ月」(組合要求は年間6.4カ月)、三菱電機が年間5.8カ月(同年間6.3カ月)、富士電機が「年間6.2カ月+0.1カ月」(同年間6.2カ月)、沖電気工業が年間4.5カ月(同年間5.0カ月)となっている。

今年は3部門とも単年度要求で、満額を上回る回答も――鉄鋼、総合重工、非鉄

鉄鋼、造船重機、非鉄などの業界の組合でつくる基幹労連(組合員27万1,000人)は、2年サイクルで労働条件の改善に取り組んでいる。2年サイクルの前半年度を「総合改善年度」と位置づけ、賃金、一時金、退職金をはじめ、多岐にわたる労働条件項目について経営側と交渉する一方、後半年度は「個別改善年度」と位置づけ、グループ関連や中堅・中小組合が格差改善に取り組んでいる。

2024年度は「総合改善年度」にあたる年。基幹労連はこれまで、総合改善年度に向けた要求方針のなかで、2年分の賃上げ要求基準を提示してきたが、今回は、急激に進む物価上昇や円安の状況、また、先を見通すことが難しい経済動向をかんがみ、2024年度のみの要求基準(賃金改善1万2,000円以上)を掲げた。

なお、2年サイクルとはいっても、基幹労連では、部門がまとまりを持って取り組む場合は単年度の賃金交渉を行うことも認めており、大手組合で構成する「鉄鋼総合」「総合重工」「非鉄総合」の3部門のうち「総合重工」「非鉄総合」は単年度交渉を行ってきた。今年は、2年分の賃上げ交渉を行ってきた「鉄鋼総合」も基幹労連の方針を受け、単年度要求となった。

鉄鋼総合は2023年度の実績をふまえて3万円要求に踏み切る

要求額をみていくと、「鉄鋼総合」を構成する日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼の3組合は3万円の賃金改善を経営側に求めた。

三菱重工などの「総合重工」7組合は揃って1万8,000円の賃金改善を要求。三菱マテリアルなどの「非鉄総合」は1万5,000円の賃金改善を要求した。

なお、鉄鋼の要求額が際立って高いのは、3組合が2022年の交渉で経営側と合意した2023年度の賃金改善が2,000円という水準であり、他の加盟大手組合や、他産業の大手組合が2023年に獲得した水準を大きく下回ったため。

日本製鉄では要求を上回る3万5,000円の回答に

交渉結果をみると、鉄鋼では日本製鉄が要求を上回る3万5,000円の賃金改善を獲得。JFEスチールと神戸製鋼は3万円の満額を獲得した(図表3)。総合重工では、1万2,000円の賃金改善となった三井E&Sを除く6組合が満額を獲得。非鉄大手では、三菱マテリアルが要求額にさらに3,000円を加え、住友金属鉱山と三井金属は要求額を5,000円上回る2万円の回答を受けた。

図表3
画像:図表3

注1:2024年の交渉では、表の労組はすべて2024年度分についてだけ要求し、交渉した。

注2:鉄鋼総合メーカーの賃金構造維持分は6,900円、総合重工は6,000円、非鉄総合は5,000円と公表されている。

注3:鉄鋼総合メーカーの2023年は、2022年春の交渉(2年分交渉した)での回答。

出所:金属労協、基幹労連公表資料

基幹労連の津村正男委員長は3月13日の会見で、2023年度からの2年分の賃上げ率(賃金改善分のみ)で考えれば、鉄鋼ではJFEスチール・神戸製鋼でも10%強、総合重工でも10%、非鉄大手でも6~9%となっていると説明。「そういう評価の仕方をすれば、物昇を上回って、しっかりと役割を果たせたのではないかと思っている」と評価した。

満額回答が相次ぎ、別原資で加算の大手組合も――機械、金属

JAM(組合員36万7,000人)に加盟する金属・機械の大手組合でも、満額回答が相次いだ。JAMは今春闘方針で、平均賃金の要求基準を賃金改善1万2,000円以上に設定した。

要求に対する満額を回答したのは、アズビル(賃金改善1万4,000円)、シチズン(同1万2,000円)、ジーエス・ユアサ(同1万4,000円)、NTN(同1万4,000円)、日本精工(35歳個別、定昇含む1万9,500円)、ヤンマー(賃金改善1万2,000円)、矢崎(同1万1,500円)、ダイキン工業(総額2万8,000円)など(図表4)。

図表4
画像:図表4

注:特段の記載がなければ、回答額のうち、ベア・賃金改善分等のみ。

出所:JAM公表資料

クボタは別原資で3,000円、ボッシュは3,076円を加算

要求を上回る回答を受けた組合もあった。

島津では、2万930円の賃金改善の要求に対し、「ベア昇給1万5,300円(一律1万3,000円+各種是正昇給2,300円)+その他賃金改善7,500円」を経営側が回答。クボタでは組合が「2万円(定期月俸改定額、進級原資含む)」を要求していたが、2万円だけでなく、別原資でさらに3,000円が加算されることになった。ボッシュも「賃金改善1万4,000円」の要求だったが、さらに別原資で3,076円が加算されることになった。

JAMの安河内賢弘会長は3月13日の会見で、先行大手組合の回答について「歴史的な水準での回答」と評価した。

大手4組合のうち、古河電工など3組合が満額獲得――電線

全単組が1万円以上の賃金改善に取り組む方針で臨んだ全電線(組合員2万5,000人)では、古河電工が賃金改善1万5,000円、住友電工、フジクラ、SWCCがそれぞれ同1万3,000円を要求し、古河電工、住友電工、フジクラが満額を獲得した(図表5)。SWCCは1万円で決着した。

図表5
画像:図表5

注:2023年に昭和電線ホールディングスがSWCCに商号変更。

出所:金属労協公表資料

化学大手はほぼ、1万円を超える獲得額に――化学・繊維などその他の製造業

UAゼンセン(組合員189万4,000人)の「製造産業部門」に所属する繊維・化学などの主要組合では、多くの組合が、ベアや賃金改善などの「引き上げ分」で、物価上昇分を超える3%以上の賃上げを達成。JEC連合(組合員12万5,000人)加盟の化学関係などの主要組合も、1万円を大きく超える賃金改善を獲得した。フード連合(組合員11万4,000人)加盟の主要食品メーカーでも、多くの組合が1万円以上のベアを獲得した。

UAゼンセンの「製造産業部門」の要求基準は、賃金体系維持分に加え、4%を基準に3%以上の賃金引き上げを要求し、積極的に上積みに取り組むなどという内容。同部門に所属する東洋紡やカネボウ、ユニチカなどの繊維素材の組合はほぼ揃って、4%に相当する額の「引き上げ分」を要求した。

妥結結果は、東洋紡(引き上げ分9,436円、3.0%)、カネボウ(同8,470円、3.002%)、ダイワボウ(同9,000円、3.37%)、倉敷紡績(同1万630円、3.59%)、日東紡績(同1万1,870円、3.84%)、日清紡(同1万1,500円、3.36%)などとなり、満額には至らなかったものの、多くの組合が3%以上の引き上げ分を獲得した(図表6)。

図表6
画像:図表6

出所:連合、UAゼンセン公表資料

東レなど化学大手の各組合は3%台後半の引き上げ分を引き出す

衣料・スポーツのミズノでは、組合は1万3,125円(3.5%)の引き上げ分を要求し、経営側は、それを上回る1万5,000円(4%)を回答。

繊維素材と同様、足並みを揃えて4%に相当する額の引き上げ分を要求していた化学大手では、東レが1万2,500円(3.8%)、旭化成が1万3,700円(3.83%)、帝人が1万2,500円(3.58%)などの妥結結果となり、他の組合を含め1万~1万4,000円程度の相場をつくった。

UAゼンセン「製造産業部門」の吉山秀樹事務局長は3月14日の会見で「各社厳しい状況のなかでも、経営側も先が読めない人材確保に向けた投資として、賃上げの必要性を理解してくれた」と述べるとともに、「過年度物価上昇率をしっかり確保できた」と評価した。

食品大手でも1万円超えの回答が目立つ

JEC連合、フード連合、ゴム連合(同4万4,000人)、紙パ連合(同2万6,000人)、セラミックス連合(同2万人)に加盟する主要組合の回答は図表7図表8図表9のとおりとなった。JEC連合の大手は軒並み、1万円を超える賃金改善を獲得。フード連合の加盟組合でも1万円を超える賃金改善が目立った。日本ハムがベア1万279円、キッコーマンがベア1万2,500円、明治がベア1万5,000円、キリンビールがベア1万3,000円などとなっている。ゴム大手では、TOYO TIREとブリヂストンが1万3,000円の賃金改善を獲得した。

図表7
画像:図表7

出所:連合公表資料

図表8
画像:図表8

注:日本ハムは日本ハムユニオンとしての回答額。

出所:連合公表資料

図表9
画像:図表9

注:賃金カーブ維持分しか記載がない場合は、賃金改善分なし。

出所:連合公表資料

イオングループの高水準の妥結が後続を引っ張る――流通、サービスなど

UAゼンセンの「流通部門」では、イオングループの各組合による高水準での早期妥結が、全体の相場を引っ張ったのが特徴的だった。

UAゼンセンの賃金闘争では、各加盟組合が経営側から受けた回答で妥結するかどうかの最終決定(妥結承認)を、本部が行う。今年の闘争では、UAゼンセン全体で最初に妥結承認を受けたのは、GMS(総合スーパー)部会に所属するイオングループ労働組合連合会イオンリテールワーカーズユニオンで、2月21日に早々と決着した。

イオンリテールでのパート時給引き上げは総額で7.02%

同労組は、正社員組合員については、引き上げ分1万5,509円(内訳はベア1万円、手当改定851円、体系是正等4,658円)を含む総額1万9,751円で経営側と合意(図表10)。短時間組合員のパートタイマー時給については、総額76.66円(内訳は制度昇給11.44円、引き上げ65.22円)の回答を引き出した。正社員組合員の総額での引き上げ率は6.39%、パート時給は7.02%に相当する。

図表10
画像:図表10
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出所:連合、UAゼンセン公表資料

妥結第2号(同日)も同じイオングループ労働組合連合会傘下で、イオン九州が正社員組合員では総額1万8,810円(うち、引き上げ分が1万6,533円)、パートタイマーの時給では総額72.08円(内訳は制度昇給4.01円、引き上げ68.07円)で妥結している。

イオングループでは、2022年にイオン株式会社とイオン労連がグループの労働協約を締結しており、グループ労使が協働して労働条件を改善し、生産性を向上させるため、通年協議を行い、グループ労使協議会でグループ方針を決定している。2023年の交渉から、パートタイマーの7%の賃上げを方針に掲げており、グループ方針があらかじめ明確となっていることが早期の高水準での妥結につながった。

UAゼンセン「流通部門」の波岸孝典事務局長は3月14日の会見で、同部門のヤマ場までの先行回答の特徴として、イオングループの複数の組合が満額の先行回答を引き出した点に加え、地方のスーパーマーケットも昨年より進捗率が高かった点をあげた。また、波岸事務局長は「北海道、青森、山形、新潟、和歌山といった地域の、イオングループ以外の中核となるスーパーでの妥結の進捗率が昨年より高くなっている。イオングループによる相場形成は首都圏だけに見られているのではなく、地方でも、人材確保の必要性や生産性の高まりから人材への投資の動きが現れた」とも説明した。

「流通部門」の今回の要求基準は、正社員組合員については、ミニマム水準に未達の組合は総額で1万7,000円以上。部門到達基準に未達の組合は、引き上げ分で1万1,250円(4.5%)以上、総額では1万5,750円(6.5%)以上などとしている。短時間組合員の要求基準は、正社員組合員と同等かそれ以上を要求するとし、正社員と職務の内容が異なる・同じ短時間組合員では、制度がある場合は5.0%以上の引き上げ、制度がない場合は7.0%(70円)以上の引き上げなどとした。

外食の賃上げも高水準で、すかいらーくでは1万7,000円超

「総合サービス部門」では、今年は外食の各組合も高水準の引き上げ分を獲得。すかいらーくは正社員組合員について、1万7,400円(5.07%)の引き上げ(ベア)を獲得。トリドールでは、正社員組合員について2万1,710円(7.60%)という極めて高い水準の賃上げを実現した。

「総合サービス部門」の要求基準は、正社員組合員については5.0%の引き上げが基準などとし、短時間組合員については制度昇給分に加え5.0%基準の引き上げ、制度昇給が明確でない場合は総率で7.0%基準、総額で時間あたり80円など。

「総合サービス部門」の原田光康事務局長は3月14日の会見で「交渉の早い段階から、会社側から『社会的な流れは理解している』『社会情勢は理解している』というような発言があった」と今年の交渉ムードを説明。また、物価を意識しながらの自社賃金の課題などを巡る交渉での議論が、地域も含めた全体の底上げにつながったなどと説明した。

運輸労連(組合員16万人)加盟の大手組合の回答結果では、全日通が総額で8,450円、ヤマト運輸が総額で8,775円となっている(図表11)。

図表11
画像:図表11

出所:連合公表資料

電力各社では今年は1万円を超える賃上げ分獲得も――電力各社とNTTグループ・KDDI

電力総連(組合員20万1,000人)に加盟する電力各社の組合の回答をみると、昨年は定昇確保にとどまる組合も多かったが、今年は、東北電力(平均で賃上げ分1万731円)、中部電力(個別で同1万2,000円)、関西電力(平均で同1万7,000円)、九州電力(平均で同1万1,500円)で、それぞれ1万円を超える賃上げ分を獲得した(図表12)。

図表12
画像:図表12

出所:連合公表資料

情報労連(組合員19万4,000人)に加盟するNTTグループの各組合は、揃って1万円の賃金改善を引き出した(図表13)。KDDIでは1万4,000円の加算・ベアだけでなく、一時金12万円も獲得した。

図表13
画像:図表13

注1:NTTの各社については、1万円のほかに子育て・介護手当として「1,000円(平均)」相当を改定。

注2:KDDIは、月例賃金1万4,000円の加算・ベースアップのほか、一時金12万円。月例賃金改善と一時金で定昇を含めず3%以上の賃金改善になる。

出所:連合公表資料

(荒川創太)