昨年の春闘では妥結した企業の72.3%がベースアップを実施し、ベア額は7,000円超
――中央労働委員会の「2023年賃金事情等総合調査」
国内トピックス
中央労働委員会が4月30日に発表した「2023年賃金事情等総合調査」の集計結果によると、2023年の春闘で交渉が妥結した企業の72.3%がベースアップを実施した。2022年7月~2023年6月の1年間の労働者一人平均の賃金改定額は1万1,398円、ベースアップは7,176円で、同調査としては例年にない水準となった。
要求方式は66.7%が平均賃上げ方式
今回公表された調査結果の集計対象は、資本金5億円以上かつ労働者数が1,000人以上で、業種が運輸・交通関連以外の企業。
調査結果によると、2023年の春闘で労働組合から賃金に関する要求があったのは138社(集計156社のうち88.5%)。要求内容(複数回答)は「ベースアップの実施」が116社(要求があった企業138社のうち84.1%)、「定期昇給の実施・賃金体系維持」が85社(同61.6%)となっている。
要求方式(複数回答)は「平均賃上げ方式」が92社(同66.7%)で、「個別賃上げ方式」が27社(同19.6%)となっている。
要求があった企業のうち交渉が妥結したのは137社(同99.3%)。妥結内容(複数回答)は「ベースアップの実施」が99社(妥結した137社のうち72.3%)、「定期昇給の実施・賃金体系維持」が93社(同67.9%)となっている。
製造業に限ってみてみると、2023年の春闘で労働組合から賃金に関する要求があったのは83社(集計91社のうち91.2%)で、要求内容は「ベースアップの実施」が70社(要求があった83社のうち84.3%)、「定期昇給の実施・賃金体系維持」が59社(同71.1%)となっており、要求方式は「平均賃上げ方式」が58社(同69.9%)、「個別賃上げ方式」が14社(同16.9%)となっている。
この1年間で賃金改定があった企業は80.9%
2022年7月~2023年6月の1年間に賃金改定があったのは114社(基本給部分の賃金表がある141社のうち80.9%)で、その内容はすべてベースアップの実施となっており、ベースダウンの実施はなかった。賃金を据え置いた企業は27社(同19.1%)。
同期間における定期昇給の実施状況をみると、定期昇給制度のある136社のすべてが実施している。昇給額は、昨年と同額とする企業が71社(定期昇給を実施した136社のうち52.2%)、増額が53社(同39.0%)、減額が8社(同5.9%)となっている。実施時期は4~6月とする企業が117社(同86.0%)で最も多い。
製造業に限ってみてみると、2022年7月~2023年6月の1年間に賃金改定があったのは71社(基本給部分の賃金表がある80社のうち88.8%)で、その内容はすべてベースアップ実施。賃金を据え置いた企業は9社(同11.3%)。
同期間における定期昇給の実施状況をみると、定期昇給制度のある80社のすべてが実施している。昇給額について、昨年と同額とする企業が38社(定期昇給を実施した80社のうち47.5%)、増額が36社(同45.0%)、減額が4社(同5.0%)となっている。実施時期は4~6月とする企業が71社(同88.8%)で最も多い。
改定額・率ともに前年から大幅アップ
2022年7月~2023年6月の1年間の労働者一人平均の賃金改定額(昇給分+ベースアップ分)は1万1,398円、率で3.58%だった。ベースアップ分の額は7,176円、率で2.35%。経年での推移をみると、2023年は大幅な上昇となっている(図表)。製造業では、労働者一人平均の賃金改定額が1万2,023円、率で3.86%、ベースアップ分の額が7,688円、率で2.52%となっている。
図表:賃金改定額・改定率の推移
注:「うちベースアップ分」は賃金改定額(率)の内数として回答できる場合にのみ回答を得ている。
(公表資料から編集部で作成)
(調査部)