ビジネス・レーバー・トレンド2024年5月号
毎月25日更新
介護離職をなくす
育児・介護休業法では、介護の対象となる家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できることになっているものの、家族の介護や看護で離職する人は年間10万人を超える。制度が知られずに利用されていなかったり、制度の趣旨への理解が不十分である状況も垣間見られることから、政府も、家族の介護に直面した労働者に対する周知や意向確認などの離職防止策の強化に乗り出そうとしている。本号では、介護と仕事の両立をテーマに議論した労働政策フォーラムの内容を中心に、これからの介護離職防止に何が求められるのかを考える。
目次
労働政策フォーラム
仕事と介護の両立─介護離職ゼロに向けた課題─
2024年2月に開いた労働政策フォーラムでは、当機構の池田心豪・副統括研究員が著した第4期プロジェクト研究シリーズNo.4『介護離職の構造─育児・介護休業法と両立支援ニーズ』(当機構2023年3月刊行)が第46回(2023年度)労働関係図書優秀賞を受賞したことを記念し、同書がテーマとする介護離職を防止するためのこれからの両立支援制度のあり方などについて、現場で両立支援に携わる企業、NPOそれぞれの担当者を交え、議論した。(各報告およびパネルディスカッションの概要は調査部で再構成したものを掲載している。)
(※講師の所属・肩書きは開催当時のもの)
【記念講演】
育児・介護休業法と両立支援ニーズ~多様な介護問題に対応可能な制度に向けて
【パネリストからの紹介1】
【パネリストからの紹介2】
【パネリストからの紹介3】
【パネルディスカッション】
行政の動向
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 一般労働者の賃金が2.1%増加となり、1994年以来の2%超え ――厚生労働省「2023年賃金構造基本統計調査」
- 派遣労働者の賃金が1.7%上昇して1万5,968円に ――厚生労働省が2022年度の「労働者派遣事業報告書」を公表
- 民営事業所で雇用されている障がい者数が110万人超える ――厚生労働省が2023年「障害者雇用実態調査」結果を公表
- 不妊治療中の従業員が受けられる支援に取り組んでいる企業の割合は26.5% ――厚生労働省が「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」結果を公表
地域シンクタンク・モニター定例調査
各地域のシンクタンクのモニターに、地域経済や地域雇用の動向などについて、定期的に調査を実施しています。
<2023年第4四半期(10~12月期)実績および2024年第1四半期(1~3月期)の見通し>
[調査結果の全体概況]
[各地域の調査結果]
- 【北海道】半導体工場の新設を受け、道庁が地域経済活性化の指針案を公表
- 【岩手】求人数は減少傾向だが強い人手不足感は継続
- 【宮城】価格転嫁が十分に進まないことで大幅賃上げが期待できず
- 【山形】製造業の操業低下で求人が減少
- 【福島】新卒・中途ともに採用に苦慮
- 【茨城】価格転嫁実施企業の転嫁率は「10~20%」が最多
- 【北陸】能登半島地震の影響で景況判断を下方修正
- 【東海】賃上げは大手の流れが中小零細に波及するかが焦点
- 【近畿】大手自動車メーカーの生産停止が景気回復の下押しリスクに
- 【中国】物価高騰による経営圧迫で、人手不足が求人につながらない状況
- 【四国】人手不足とする企業が7割超に上昇
- 【九州】大手自動車メーカーの認証不正問題で自動車関連の生産が伸び悩み
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- アメリカ①
- 男女賃金格差の現状 ―連邦労働省とEEOCが集計結果を発表
- アメリカ②
- 「ビジネスと人権」の国家行動計画(NAP)を改定
- ドイツ①
- 「AIスタジオ」開設 ―職場のAI活用への労働者関与支援、連邦労働社会省など
- ドイツ②
- 指導的地位にある女性の比率 ―監査役35.5%、取締役10.3%
- ドイツ③
- 低賃金労働者の割合が減少 ―最低賃金の引上げが影響
- 中国①
- 「人材誘致」に新たな支援 ―瀋陽市
- 中国②
- 男女賃金格差が縮小、職場での差別は依然として存在
- 中国③
- 安定志向が高まり、大学院志願者数が初めて減少
- 韓国
- 介護、育児分野に外国人労働者の導入を提言 ―韓国銀行レポート
- ILO
- 強制労働による違法利益が年間2,360億ドルに増加
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2024年4月25日掲載