ベトナム労働法の現状
第1回「労働条件①」
 ―労働契約、就業規則、賃金等

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上東 亘 (渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 パートナー)

1.はじめに

2019年11月にベトナム労働法が改正され、その改正労働法(45/2019/QH14。以下、「改正法」という。)が2021年1月1日に施行された。この改正は、前回改正(2012年)から7年ぶりとなる。この改正の主な目的は3つ挙げられており、それらは①旧労働法(10/2012/QH13。以下、「旧法」という。)の問題を解消すること、②2013年憲法と整合させること、及び③環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)発効に際して、その合意を履行すること(例えば、労働組合以外の労働者代表組織の設立を認めること)である。加えて、改正により、旧法では政令などで補われてきた解釈を法律に格上げし明確化もなされた。

そして、通例どおり、改正法施行後、関連する政令が公布・施行された。今回の改正後は政令第145/2020/NĐ-CP号(以下、「政令第145号」という。2021年2月1日施行。)に改正法の主な施行細則がまとめられた。過去には、旧法施行後に多数の政令が様々な細則を定めていたことがあったが(2013年から2015年にかけては20以上の政令・通達が施行されたが)、当時に比較して改正法の細則は把握しやすくなったと言える。

改正法の施行から2年が経過したが、今回を含む3回の連載で、ベトナム労働法の主要な改正点を整理・確認するとともに、その後に制定された政令第145号を中心とする政令・通達等の内容を踏まえ、ベトナム労働法とその実務の現状について解説する。

なお、旧法下の状況については、海外労働情報19-03 「ベトナムの労働を取り巻く現状」|労働政策研究・研修機構(JILPT)を参照されたい。

2.労働契約

(1) 労働契約の定義

労働契約に関して、旧法では、「労働契約とは賃金が支給される業務、労働条件、労使関係における当事者各々の権利と義務に関する労働者と使用者との間の合意をいう」と定義されていた(旧法第15条)。これに対し、改正法では、労働契約の定義が拡大された。具体的には、労働契約は次のように定義されている(改正法第13条第1項)。

「労働契約とは、報酬、賃金が支給される業務、労働条件、労使関係における当事者各々の権利と義務に関する労働者と使用者との間の合意をいう。当事者は、他の名称で合意したものであっても、その契約には賃金や、報酬が支給される業務、一方の当事者の管理・指導・監督に関する内容が含まれている場合、その契約は労働契約とみなされる。」

これは、実質的には労働契約にもかかわらず、形式的に請負契約を締結して、本来であれば使用者が負担しなければならない社会保険料納付や労働法の規制を免れようとする潜脱行為を認めない趣旨である。

また、使用者は、労働者を労働に従事させる前に労働者と労働契約を締結しなければならない(改正法第13条第2項)。

(2) 労働契約の種類

旧法第22条は、労働契約の種類について、

  • ①期間の定めのない労働契約(無期労働契約)
  • ②有期労働契約(12か月以上、36か月以下)及び
  • ③季節的な業務又は特定業務を履行するため12か月未満の期間の定めのある労働契約(以下、「季節的労働契約」という。)

の3類型を規定していた。
これに対し、改正法では季節的労働契約は廃止された。このため、改正法下における労働契約形態は

  • ①無期労働契約及び
  • ②有期労働契約

の2種類となった(改正法第20条第1項)。もっとも、季節的労働契約という類型は廃止されたものの、改正法は有期契約の期間について、単に36か月以下と改正することにより、従前季節的労働契約とされていた12か月未満の労働契約が有期労働契約に含まれることになった。これにより旧法では季節的な業務などで限定的に認められていた12か月未満の短期の労働契約が、業務内容を問わず可能となったので、短期間の柔軟な雇用が可能となったと言える。

(3) 無期転換

両当事者が、労働契約の期間が満了した日から30日を経過した後新たな労働契約を締結しない場合、締結済みの労働契約は、無期労働契約となる(改正法第20条第2項b号)。改正部分は下線部であり、改正により無期転換の時期が明確となった。

有期労働契約において労働契約の更新が認められるのは原則一度のみである点は変更が無く、2回更新をした場合には改正法でも無期労働契約となることに注意が必要である(改正法第20条第2項c号)。この無期転換の例外として、

  • ①国が出資した企業の社長
  • ②定年後も労働を継続する高齢者
  • ③外国人労働者
  • ④任期中の基礎レベルの労働者代表組織の幹部

が挙げられており、これらの者との有期労働契約は複数回更新可能と解することができる(改正法第20条第2項c号)。前述のとおり、従前、季節的労働契約とされていた12か月未満の労働契約が有期労働契約に含まれることになったことで、12か月未満の契約も無期転換の対象となった点に注意が必要となる。

このように有期労働契約の更新は1回のみであることから、労働契約の附録(付属する変更合意)によっても労働契約の期間を変更することはできない(改正法第22条第2項ただし書)。

(4) 書面による契約

従前書面での締結が要件となっていた労働契約について、改正法第14条によりメールなど電子的方法による締結が認められた。また、口頭による労働契約の対象について、旧法では、期間が3か月未満の一時的な業務とされていたが(旧法第16条第2項)、改正法においては、期間が1か月未満の労働契約とされた(改正法第14条第2項)。ただし、1か月未満の契約であっても、18歳以上の労働者との季節的業務にかかる労働契約など例外的に書面での締結が必要な場合がある(改正法第14条第2項)。

3. 試用期間

(1) 試用契約と労働契約の関係

旧法では、試用契約を締結し、試用期間中の業務内容が満足なものであった場合に、使用者と労働者の間で新たに労働契約を締結することとされており、試用契約と労働契約は別個の契約とされている(旧法第26条及び第29条)。

これに対し、改正法では、試用契約と労働契約は、旧法下と同様に試用契約を別個に分けることも可能であるが、使用者と労働者の間で試用に関して合意が成立した場合、労働契約書の中で試用についての内容を記載して一体とすることも可能となっている。(改正法第24条第1項)

なお、1か月未満の期間の労働契約は試用期間の対象外である(改正法第24条第3項)。

(2) 期間の規制

試用期間の長さに関して新たなカテゴリーが設けられた。旧法では、短期大学以上の専門技術程度を要する職位の業務の場合は最大60日、技術労働者等で最大30日、それ以外は最大6日とされていた(旧法第27条)。

これに対し、改正法では、新たに「企業の管理者」というカテゴリーが追加され、企業法第4条第24項に規定されている管理職は試用期間が最大180日とされた(改正法第25条第1項)。これは、ベトナム法人(子会社)の管理職を、日本本社からの出向等によらず、ベトナムで採用する場合等に活用することができる。

(3) 試用契約の終了

試用期間終了時、使用者は、試用期間の結果を労働者に対して通知しなければならない(改正法第27条第1項)。これは旧法下で政令に定められていた通知義務が法に明記されたものである。もっとも、通知の期限については、改正法上は規定されていない。

使用者は、労働契約中の試用について合意した条件を満たしたと判断する場合、締結した労働契約を引き続き履行するか、又は試用契約のみ締結していた場合、労働者と新たに労働契約を締結しなければならない(改正法第27条第1項)。他方、使用者は、試用について合意した条件を満たさないと判断する場合、事前の通知や損害賠償責任を負うことなく、締結済みの労働契約又は試用契約を解除することができる(改正法第27条第1項)。

使用者と労働者は、試用期間中、事前通知や損害賠償をする必要なく、当然に試用契約又は試用契約を含む労働契約を解除することができる(改正法第27条第2項)。

4. 就業規則

(1) 作成義務

改正点である以下の下線部に注意されたいが、旧法では、10人以上の労働者を雇用する場合に就業規則を書面で発行しなければならない旨が規定されていた(旧法第119条第1項)。これに対し、改正法では、労働者の人数に関わりなく就業規則の作成が求められている。

もっとも、旧法では、10名未満の場合の就業規則の作成は、条項上明記はされていなかったものの、就業規則に規定を設けておいてそれを根拠に労働規律処分(以下、「懲戒処分」という。)をするというニーズもあり(旧法第128条参照)、10名未満の企業でも就業規則を作成・登録するケースがあった(連載第2回「5.懲戒処分」参照)。したがって、この点の実務運用が変更されたというよりも、旧法下でも労働者の人数に関わりなく就業規則が作成されていたという実態が改めて条項化された改正ともいえる。

当局への就業規則の登録は10人以上の場合に必要となり、この点は旧法から変更はない(改正法第118条第1項及び第119条第1項)。

作成された就業規則は労働者に通知され、職場に掲示されなければならない点も、旧法から変更は無い(改正法第118条第4項及び旧法第119条第4項)。法令上、掲示方法の指定はないものの、結局のところ、労働者の人数に関わりなく、多くの場合、就業規則は書面で作成されている。

(2) 記載事項

改正法では、以下の下線部が新たに就業規則の記載事項として規定された(改正法第118条第2項)。

  • ①労働時間、休憩時間
  • ②職場の秩序
  • ③労働安全衛生
  • ④職場のセクシャルハラスメントの予防、防止、職場のセクシャルハラスメント行為の処分の手順、手続
  • ⑤使用者の財産、営業機密、技術機密、知的所有権の保護
  • ⑥労働契約と異なる業務に一時的に労働者を異動させる場合
  • ⑦労働者の労働規律違反行為及び懲戒処分の形式
  • ⑧物的責任
  • ⑨懲戒処分権限を有する者

これらを含む就業規則で定めるべき事項の具体的内容については、政令第145号第69条に規定されている。

上記のうち、④セクシャルハラスメントについては政令第145号に定義や対応策について規定があるが(政令第145号第84条、第85条)、連載第3回で詳しく述べる。就業規則で規定されるセクシャルハラスメントを行った場合には、懲戒処分としての解雇となる(改正法第125条第2項)。懲戒処分と就業規則の関係につき、連載第2回を参照されたい。

また、⑥に関しては、生産、経営上の必要により労働者を労働契約と異なる業務に一時的に異動させる場合についての具体的な規定は、就業規則で定めることにより有効となる任意的記載事項といえる(改正法第29条第1項)

さらに、⑨懲戒処分の権限を有する者については、通常使⽤者の代表者がその権限を有しているが、政令第145号第69条では、改正法第18条第3項に定める使⽤者側の労働契約を締結する権限を有する者⼜は就業規則で指定する者を記載することになっている。したがって、就業規則に記載することにより、この権限を他の者に与えることができると考えられる。

(3) 就業規則の制定手続

旧法では、就業規則の制定、変更には事業場の労働組合(事業場の労働組合がない場合には地域の上部労働団体)の意⾒聴取が必要であり、就業規則の登録にあたって労働組合の同意書や協議の議事録が必要とされていた(旧法第121条)。

他方、改正法では、就業規則の制定、変更には「基礎レベル労働者代表組織」(事業場の労働組合や改正法で新たに認められた企業における労働者の⾃主組織。詳しくは連載第3回を参照。)の意⾒聴取が必要である(改正法第120条)。注目すべきは、「事業場に基礎レベル労働者代表組織」がない場合に、地域の上部労働団体がこの「基礎レベル労働者代表組織」に該当するという規定が無いことである。そのため、事業場内に基礎レベル労働者代表組織がない場合には、上部労働団体の同意書等を取得する必要はないと解される。もっとも、地域ごとの実務運用に注意が必要である。労働組合について詳しくは連載第3回で解説する。

5. 賃金

(1) 賃金テーブル

旧法第93条によれば、使用者は、政府が定めた賃金テーブル、賃金表及び労働基準量に基づき、労働者の募集、労働者の使用、労働契約における給料交渉又は給料支払いの根拠とするための賃金テーブル、賃金表及び労働基準量を作成する責任を負っていた。

これに対し、改正法第93条第1項では、上記下線部の趣旨が無くなり、「使用者は、労働者を採用し、労働契約内に規定された業務又は職名に従った賃金額の合意及び労働者への賃金支払いの根拠とするために、賃金テーブル、賃金表の作成及び労働基準の設定を行わなければならない。」と定められ、企業は政府が規定した賃金テーブル、賃金表及び労働基準量の作成原則(政令第49/2013/NĐ-CP号第7条に定められていたもの)を根拠とする必要がなくなった。そして、使用者は自ら賃金等級や賃金表を含む賃金に関する方針を決定でき、政府がそれに干渉せず、労働者と交渉又は合意した上で、賃金表、賃金テーブル及び労働水準を自主的に作成することが可能となった。その結果、同政令で定められていた、賃⾦テーブルでは上下の職位の賃⾦の差を5%以上つけなければならないというルール(同政令第7条第2項)に従う必要がなくなり、また賃金テーブルなどを当局に提出する必要もなくなったことになる。

賃⾦表などを策定するにあたっては、事前に基礎レベル労働者代表組織からの意⾒を聴取する必要がある(改正法第93条第3項)。

なお、賃金テーブルなどの職場での周知は従前同様、改正法でも義務付けられる(改正法第93条第3項)。

最低賃金については、後述のとおり規制がある。

(2) 支払通貨

改正法においては、労働契約に記載される賃金及び労働者に支払われる賃金の通貨はベトナムドンとされ、労働者が外国人である場合においては、外貨によることも可能ということが法律上で明記された(改正法第95条第2項)。なお、旧法ではこのような規定はなかったものの、政令第05/2015/NĐ-CP号第21条第3項及び外国為替に関する法令(国家銀⾏達第32/2013/TT-NHNN号等)に同趣旨の規定が存在していたので、実質的には改正点ではない。しかし、労働法に明確に規定されたことで旧法時以上に遵守が求められよう。

(3) 支払明細書

また、賃金を支払う際、使用者は労働者に対して、支払明細書を通知しなければならず、支払明細書の記載項目には、基本給、時間外労働の賃金、深夜労働の賃金、控除項目及び控除額等が含まれることも記載された(改正法第95条第3項)。

(4) 労働者の賃金消費の自決権

ベトナムでは、使用者が労働者に対して自社製品の購入を要請するといった場面も見受けられるが、改正法では、使用者が労働者に対して商品やサービスの購入、利用を強制したうえで賃金から天引きすることは禁じられる旨が明確化された(改正法第94条第2項)。

(5) 支払口座と振込に関する手数料の負担

旧法では、賃金が銀行口座へ支払われる場合、使用者は口座の開設と口座の維持に関する各種手数料について、労働者と合意しなければならないとされていた(旧法第94条第2項)。

これに対し、改正法では、賃金が労働者の個人口座へ支払われる場合、口座の開設と振込に関する各種手数料については、使用者が負担することとされている(改正法第96条第2項)。

(6) 賃金の支払い形式

改正法では、賞与について、金銭のみならず現物(例えば、使用者たる企業の生産商品)や他の方式(例えば、使用者たる企業の株式等)により支払うことが認められた(改正法第104条)。もっとも、実務的には、労働者に対する金銭による賞与(いわゆる「13か月目の給与」)の慣行は変わっておらず、旧暦正月(テト)の頃に支払われることが多い。

(7) 賃⾦の⽀払いの遅滞

原則として賃⾦の⽀払いを遅滞することは違法であり、⾏政罰の対象となり得、使用者は労働者に対して遅滞した期間について遅延損害⾦を⽀払う義務が⽣じる。

ただし、労働法は、⼀定の場合に、これらの例外を認める規定を置いている。(改正法第97条第4項)。同条が定める要件に該当する場合に限り、⾏政罰が科されず、⼀定期間に限り、遅延損害⾦の⽀払義務が免除される。

遅滞が免責される場合につき、旧法下と改正法下での違いは実質的には無いと考えられる。なぜなら、改正法の規定内容は、すでに政令05/2015/NĐ-CP号第24条で規定されていたからである。

この遅滞が免責される場合とは、具体的には、不可抗⼒によって⽀払いが遅滞しており、かつ、使⽤者が遅滞を避けるための措置を模索したにもかかわらず期限までに支払うことができない場合である。この場合、遅滞が15⽇以上になると15日目から遅延損害⾦の⽀払義務が生じるが、それまでについては遅延損害⾦が生じないこととなる。もっとも、遅延損害金を支払っても、遅滞が30⽇を超えることは認められず、⾏政罰等の対象となる。

(8) 休業賃金

休業中の労働者に対して支払われる休業賃金について、改正法第99条は旧法の規定内容とは異なる。

まず、使用者の故意・過失による休業の場合、労働者は労働契約に定める賃金全額の支払いを受ける(改正法第99条第1項)。

他方、労働者の故意・過失による休業の場合、当該労働者本人は賃金の支払いを受けることができない。ただし、休業しなければならなかった者と同じ事業場の他の労働者は、両当事者が合意した金額で賃金の支払いを受けられるが、この賃金は最低賃金額より低いものであってはならない。(改正法第99条第2項)

使用者の故意・過失によらない停電、断水、自然災害、火災、危険な疫病、経済的な理由などによって休業が発生した場合、休業中の賃金は使用者と労働者の両当事者の合意による。ただし、休業が14営業日以下の場合は最低賃金を下回ってはならず、休業が14営業日を超える場合には、最初の14営業日については、最低賃金を下回ってはならない。しかし、この条項の反対解釈により、この14営業日を超えた後の期間は、最低賃金より低い額の支払いとすることが可能と解される。(改正法第99条第3項)

(9) 最低賃金

最低賃金は、月給や時給で規定するとされている(改正法第91条第2項)。従前、ベトナム政府は月額の最低賃金のみを定め、時間あたりは定めてこなかったが、2022年7月1日に施行された政令第38/2022/NĐF-CP号(以下、「政令第38号」という。)及び2086/BLĐTBXH-TLĐLĐVN号により、初めて時間あたりの最低賃金が定められた(詳しくは2年半ぶりに最低賃金を引き上げ(ベトナム:2022年7月)|労働政策研究・研修機構(JILPT)参照)。

最低賃金の改定は原則年1回で通常1月に行われてきたが、前回2020年1月の引き上げ以降、コロナ禍による経営環境の悪化などを考慮して見送られていた。2年半ぶりの改定で、7月に施行されるという異例の対応も注目を集めた。

ベトナムの最低賃金は、経済発展の程度に応じた4つの地域別に示されるが、例えば、改定後の「地域1(ハノイ市やホーチミン市の都市部など)」の最低賃金は月額468万ドンとなり、引き上げ率は「地域1」が5.88%であった。4地域の平均引き上げ率は5.99%であった。時間当たりの最低賃金は、「地域1」が2万2,500ドンとなった。

なお、過去の最低賃金を定める政令では、地域ごとの月額最低賃金を定めた上、職業訓練コースに合格したレベルで要求される業務を行う労働者には、定められた最低賃金の7%以上を支払わなければならないルールが定められていたが、政令第38号にはこの定めが無い。そのため、前述の改正法第93条の定め(使用者による賃金の決定と政府の不干渉)も踏まえ、当該ルールが撤廃されたとの見方もあるものの、規定上明確とはなっていないことに留意が必要である。

参考レート

プロフィール

写真:上東 亘氏

上東 亘(かみひがし わたる)

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 パートナー
Asia Pacific International Law Firm(APAC)ハノイオフィス出向等を通じて、合計4年間程度ベトナムに駐在。その他、ILOベトナム国別事務所External Collaborator、労働政策研究・研修機構 ベトナム労働情報研究会委員など就任。主な著作として、「ILOによるベトナム労働法・労働組合法に関連する技術協力の概要―2013年から2015年にかけての14の政令制定に対する支援の評価―」自由と正義 Vol.67 No.12(2016)、「JILPT海外労働情報19-03 ベトナムの労働を取り巻く現状」(労働政策研究・研修機構、2019)<共著>など。

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