研修実施マニュアルVer.1.0
『ここがポイント!求職活動マインド~希望の就職を目指して~』
2019年3月発行
概要
開発の目的
「ここがポイント!求職活動マインド~希望の就職を目指して~」(以下「求職活動マインドセミナー」という。)は、(独)労働政策研究・研修機構が厚生労働省職業安定局首席職業指導官室の依頼を受け、雇用保険受給者の早期再就職を目的に、厚生労働省と共同で開発したセミナー形式のプログラムです。本セミナーは、雇用保険受給者の早期再就職を念頭に開発していますが、対象者を雇用保険受給者に限定するものではありません。あらゆる求職者に共通して有効な内容となっていますので、ハローワークを利用する多様な求職者向けセミナーとして幅広くご活用いただくことを想定しています。
求職活動マインドとは
仕事探しには、「希望する求人がなかなか見つからない」「応募書類の作成に手間がかかる」「面接は緊張する」「応募しても不調に終わることもある」など、前向きな気持ちを持ち続けられないようなことも起こります。そのような中で、希望の就職という目標を達成するために、粘り強く求職活動を続けていくことのできる意識や心構えのあり方を、「求職活動マインド」と言います。このセミナーでは、明日からの仕事探しに役立つ求職活動マインドのポイントについて解説します。
実施マニュアルの特徴
本マニュアルは、求職活動マインドセミナーを実施する担当者用のマニュアルです。求職活動マインドセミナーは15分、30分、60分の3コースがあります。セミナーの概要をまとめた配布資料は3コースともに共通しますが、その他に60分コースでは3種類のワークがあり、それらを円滑に進めるためのワークシートを活用します。求職者に配布資料とワークシートを配布し、スライドを映写することによって、求職活動マインドセミナーを実施できます。巻末のCD教材の中にはスライド(配布資料と共通)、ワークシート、進行例、アンケート票のファイルが入っています。
開発の方法
開発にあたっては、現実の求職活動の役に立つプログラムとするため、平成30年10月~12月の間に、全国19労働局、31箇所のハローワークで、試行実施として求職者向けのセミナーを32回、実施させていただきました。ご参加いただいた求職者は739名、セミナーを傍聴いただきご意見をいただいた労働局及びハローワーク職員は162名となりました。試行実施の結果といえる参加者を対象としたアンケート調査では、次に説明しますように、求職活動への有効性やハローワークの利用促進が期待される結果となりました。
セミナーの評価
求職活動マインドセミナーの参加者を対象としたアンケート調査の結果(図表1)、「①本セミナーに満足」したと回答した方(「とてもあてはまる」、「あてはまる」、「ややあてはまる」の合計。以下同じ。)は89.1%、「②求職活動マインドの考え方を理解」できたと回答した方は92.4%、「③本セミナーは求職活動に役立つ」と回答した方は90.5%といずれも高い割合となりました。また、本プログラムを受講した結果、「④ハローワークで積極的に職業相談を利用したくなった」と回答した方も88.9%となり、9割近い受講者が窓口の利用に促される結果となりました。本セミナーを受けて具体的に役に立つと感じたことを聞いた自由記述をみても、「セミナー参加で求職活動のやる気が出た」「目標を持つこと、ふり返りの重要さに気づいた」などの声が多くありました。
図表1 参加者の求職活動マインドセミナーへの評価
本セミナーでは、見学していただいた全ての職員にもアンケートを実施しました。アンケート調査の結果(図表2)、「①本セミナー見学に満足」したと回答した方(「とてもあてはまる」、「あてはまる」、「ややあてはまる」の合計。以下同じ。)は98.8%、「②求職活動マインドの考え方を理解」できたと回答した方は98.8%、「③本セミナーは求職者に役に立つ」と回答した方は96.4%と、いずれも100%に近い割合となりました。また、マニュアルおよび実施条件が整った場合に、「④当該セミナーを実施できる」と回答した方は77.8%となり、8割弱の職員の方々が求職活動マインドセミナーの実施は可能と回答する結果となりました。本セミナーを受けて、具体的に役に立つと感じたことを聞いた自由記述をみると、「求職者にとって分かりやすく役に立つ」との前向きの評価や、「ハローワークでの職業相談に活かせる」「ハローワークの役割を改めて認識した」といった日頃の実務と関連づけての感想等が多くありました。
図表2 職員の求職活動マインドセミナーへの評価
政策的インプリケーション
就職支援セミナー等を受講した雇用保険受給者等の求職者の早期再就職への貢献。
政策への貢献
全国の労働局及びハローワークに実施マニュアルを配付。
研究の区分
プロジェクト研究「全員参加型の社会実現に向けたキャリア形成支援に関する研究」
サブテーマ「職業相談・紹介技法と求職活動の支援に関する研究」
研究期間
平成30年度
研究担当者
- 松原 亜矢子
- 労働政策研究・研修機構 統括研究員
- 榧野 潤
- 労働政策研究・研修機構 副統括研究員
関連の研究開発成果
- 労働政策研究報告書No.198『職業相談・紹介業務の逐語記録を活用した研修プログラムの研究開発─問題解決アプローチの視点から─』(2017年)
- ディスカッションペーパー16-05『生活保護受給者の就労支援の研究─自己制御理論に基づく求職活動支援の研究からの考察─』(2016年)
- 労働政策研究報告書No.182『「職業相談の勘とコツの『見える化』ワークショップ」の研究開発─認知的タスク分析を取り入れた研修研究─』(2016年)
- ディスカッションペーパー15-02『職業相談の研修研究と実践─認知的タスク分析の手法を取り入れたグループワークの開発─』(2015年)
- ディスカッションペーパー12-05『職業相談の困難場面における対応方法の研究』(共著)(2012年)
入手方法
非売品です。
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