フルタイム労働者の中央値年収は5万2159ユーロ
 ―連邦統計局

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  • 国別労働トピック:2025年7月

連邦統計局によると、2024年におけるフルタイム雇用労働者の「中央値年収」は5万2159ユーロであった。また、「平均年収」は6万2235ユーロと、中央値年収より1万ユーロ以上高く、一部の超高額所得者が平均収入を大きく引き上げていると同局は指摘している。

フルタイム雇用労働者の年収分布

2024年のフルタイム雇用労働者の年収分布は以下のとおりである。

図表1:フルタイム雇用労働者の年収分布
(パーセンタイル別/2024年)
パーセンタイル 年収(税、特別手当込)
99 21万3286ユーロ
90 9万7680ユーロ
80 7万7105ユーロ
70 6万5843ユーロ
60 5万8214ユーロ
50(中央値) 5万2159ユーロ
40 4万7244ユーロ
30 4万2700ユーロ
20 3万7944ユーロ
10 3万2526ユーロ

出所:連邦統計局(2025)。

この表から、下位99パーセンタイル(賃金分布の下位から99%、つまり上位から1%)に属する者は、年収が21万3286ユーロ以上の高所得者だが、下位10パーセンタイルの者は年収3万2526ユーロ以下の低所得者で、7倍近い所得格差がある。

さらに、中央値(50パーセンタイル)である年収5万2159ユーロを中心にして上下を見ると、下位層の年収は3〜4万ユーロ台の差でおさまっているのに対して、上位層の年収は5〜9万ユーロ台と差が大きい。さらに上位1パーセンタイルは年収21万ユーロ超と、中央値の4倍を超えている。このことから、中央値を超える上位層は、労働者間の所得格差が下位層よりも顕著であることが読み取れる。

連邦統計局は、フルタイム雇用労働者の「中央値年収」が5万2159ユーロであるのに対し、「平均年収」は6万2235ユーロと、1万ユーロ以上高くなっている点について、超高額所得者の存在が平均年収を押し上げていると指摘している。なお、「中央値年収」とは、すべての年収を小さい順に並べた際、中央に位置する金額を示しており、「平均年収」は全体の年収総額を人数で割った金額を示している。

今回の統計の分析対象は、2024年中に7カ月以上就業していたフルタイム雇用労働者(パートタイム労働者、ミニジョブ、自営業者は除外)で、休暇手当やクリスマス手当などの特別手当も含んでいる。また、1年未満の就労者については、12カ月換算で年収ベースに調整して集計されている。

現地の報道(Arbeits-ABC)は、平均年収よりも、中央値年収を用いることにより極端な値の影響を避け、より多くのフルタイム労働者の実態に近い数値を示すことができると評価している。

最低賃金との関連

最低賃金委員会が1月に公表した新たな「手続規則(Geschäftsordnung)」では、従来の「協約賃金の動向(上昇率)」などの判断指標に加え、「フルタイム雇用労働者の賃金中央値の60%」という新たな参照指標が導入されており、賃金の中央値への関心が高まっている。

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