無業の若者に訓練や雇用機会などを提供

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2025年12月

政府は12月、無業の若者に対する支援策「ユース・ギャランティー」を拡充する方針を示した。低所得層向け給付を受給している若者を中心に、およそ90万人に対して求職支援や訓練、就業体験、雇用機会などを提供することが目指されている。

若年層の非労働力化に対応

コロナ禍以降に急速に拡大した非労働力人口への対策の一環として、若年層の非労働力化への対応の必要性が指摘されてきた。現在、16-24歳層の8人に1人(12.7%)に当たる94万6000人が無業(就労しておらず、教育訓練も受けていない、いわゆる「ニート」)の状態にあり、コロナ禍を挟んで、特に非労働力層を中心に拡大が見られる(図表)(注1)。また、若年層の非労働力化はメンタルヘルスの悪化を理由とする傾向が強いとされ、政府はこれについて、就労困難であることを証明すればより高い給付が得られる社会保障給付制度の仕組みのため、ひとたび受給が認められれば受給者が就労に向かいにくいこと、また受給者の就労に向けた支援等も積極的に実施されていないことなど、制度が助長した側面を指摘している(注2)

図表:無業者数の推移 (単位:千人)
画像:図表

出所:Office for National Statistics 'Young people not in education, employment or training (NEET), UK: November 2025新しいウィンドウ'

多様な機会を提供する一方、理由なく拒否すれば給付を停止

こうした無業の若者に対する支援策のパッケージとして、既に2024年11月には、非労働力層の就労促進策に関する方針文書(注3)において「ユース・ギャランティー」の実施の意向が示され、既存の就労支援サービスの拡充などで取り組みが進められていたが、11月に公表された予算案(注4)では、追加的な予算措置として2026年度から3年間で15億ポンド超(注5)を投じ、一連の新たな施策を実施するとの方針が示された(注6)

拡充策のひとつはユースギャランティーの導入部(youth guarantee gateway)となる求職支援で、ユニバーサルクレジットを受給している16~24歳層の求職者を対象に、3年間でおよそ90万人に対して、専用の面談に続く4週間の集中的な支援を、ワークコーチ(支援担当者)を通じて提供する。また、こうした支援を行う機関として、地域に若者向けの支援センター(Youth Hub)を360カ所以上設置し(注7)、地域の医療部門や教育訓練部門、非営利部門、地方自治体の協働により、包括的な地域ベースの支援をはかる。給付を受給していない若者を含め、履歴書のアドバイス、技能訓練、メンタルヘルス支援、住居に関するアドバイス、キャリアガイダンスが提供される。

加えて、同じくユニバーサル・クレジットを受給する求職者に対して、就業体験を最大15万人分、雇用主とのパートナーシップを通じて設計された職場訓練プログラム(sector-based work academy programmes:SWAP)を最大14万5000人分、それぞれ提供する。プログラムの終了時には、採用面談の機会が保証される。また、16~24歳層5万人分のアプレンティスシップの費用を全額補助し、受け入れ先の雇用主による費用負担を無料にする。これには、若者の採用が盛んな飲食業や小売業における基礎的アプレンティスシップ(foundation apprenticeship)を含む。

さらに、ユニバーサルクレジットを受給する18~21歳の長期失業者5万5000人に対して、6カ月間の雇用機会を保証するとしている。賃金の全額補助と包括的な支援を想定するもので、特に支援の必要な6地域(注8)において2026年春から開始した後、全国への拡大が予定されている。

なお、提供された機会を正当な理由なく拒否する場合には、給付が停止される。

参考資料

参考レート

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