特集1:フランスにおける失業保険の位置づけとその歴史
失業保険と連帯制度

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2003年9月

フランスの失業者救済の制度は、失業保険と連帯制度とに大別される。失業保険は、被用者と雇用主が納める拠出金によって運用され、一方連帯制度は国家の事業である。

求職者がどの手当を受給できるかは、当該求職者が失業保険制度の対象になるかどうかによる。失業保険の対象となるのは、基本的に、過去就労中に失業保険料を納付し、就労の意思があるにもかかわらず失職した失業者である。失業給付の額は過去の給与額に応じて算出される。

連帯制度の対象となるのは、以下の2条件のいずれかに該当する失業者である。1規定の失業保険給付期間を超えてなお失業中の長期失業者、2職業経験がなく就職が非常に困難な求職者。連帯制度による手当は、一定以下の収入の者(あるいはカップル)に対して一律額が給付される

2001年末時点では、失業者の60.2%が失業保険または連帯制度によってカバーされている。

このうち失業保険のカバー率は49.2%で、この割合は1992年から98年にかけて低下し続けていたが、2000年から上昇している。

失業者への手当の主なものは次のとおりである。いずれの手当もASSEDICがその給付窓口となっている。

  • 失業保険:
    • 雇用復帰支援手当(allocation d’aide au retour a l’emploi: ARE)
    • 一律漸減手当(allocation unique degressive: AUD)
    • 高齢失業者手当(allocation chomeurs ages: ACA)
    • 雇用復帰支援訓練手当(allocation d’aide au retour a l’emploi formation: AREF)
    • 再就職訓練手当(allocation formation-reclassement: AFR)
  • 国の連帯制度:
    • 社会参入手当(allocation d’insertion: AI)
    • 特定連帯手当(allocation de solidarite specifique: ASS)
    • 国の早期退職制度:
    • 早期退職解雇手当(allocation de preretraite licenciement: AS-FNE)
    • 漸次早期退職手当(allocation de preretraite progressive: APP)

これら各種手当の中身と運用状況については次章以下で詳述する。

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