CFDT:退職年金改革案に関する政府との合意で、深刻化する内部対立

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

カテゴリー:高齢者雇用労使関係

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  • 国別労働トピック:2003年9月

5月14日の夜から15日にかけて行われた退職年金改革に関する政府と労働団体の交渉は成果がなく、15日の朝には決裂必至と見られていたが、それから事態は急転した。若くしてキャリアを開始した労働者の早期引退、制度改革の資金調達、SMICの85%を保証する最低年金額、拠出最低所得の見直し、年金の物価スライド方式などの争点でギリギリの譲歩を引き出すためにシェレック書記長はラファラン首相との直接会談に賭け、75分の厳しいやり取りの末に、CFDTはフィヨン法案への支持を打ち出した。しかし、この密室での合意は多くの組合員を納得させることはできなかった。

そして、反乱が現実のものになった。シェレックCFDT(民主労働同盟)書記長が政府の退職年金法案へ支持を打ち出してから6週間。その間、CFDTは内紛の嵐に見舞われた。いくつかの県職員組合がCFDTからの脱退を検討していると伝えられているが、クレテイユでは6月24日、ヴァル・ド・マルヌ県職員組合の約100人の代表が95%の支持票で脱退を決定し(反対1.6%、危険3.4%)、直ちに新組織のヴァル・ド・マルヌ統一県組合(SDU)を結成した。SDUはこれまで主に教員組合で構成されてきた統一組合連盟(FSU)へ加盟するものと見られる。

CFDT執行部は危険を察知し、脱退大会の決議および脱退組合の指導者たちからあらゆる正当性を奪い去るために、パリ、ヴァル・ド・マルヌ県、セーヌ・サン・ドニ県、およびアルデンヌ県の職員組合を保護下に置く手続きを開始した。シェレック書記長とその仲間たちは不安を追い払うかのように、6月の新規加入者は脱退者の数よりも多いと抗弁しているが、その衝撃は小さくない。

他にも同様の火種がくすぶっている。ただし、脱退となれば負わなければならないリスクも重くのしかかってくるだけに、決断には慎重だ。オーヴェルニュ地域圏連合や輸送連盟(FGTE)など、中央の方針と対立する組織は自らの方向を決定するために数週間の時間をかける。FGTEは6月20日に連盟会議で採択された決議の中で、全部の傘下組合が取り上げなければならない議論のテーマを明示した。同時に、「CFDTの方向、その方針、その民主主義の機能方法が問題にされている」ことを確認しつつ、7月2日と3日に総会を招集するように各組合へ求めている。そして、9月末には、各組合が自らの未来について決定を下すことになる。

エリック・トゥゾーFGTE副書記長は、「CFDTの中で我々の価値を守ることがまだできるのか」と正面から問いかける。FGTEだけでなく、オーヴェルニュやプロヴァンス・アルプ・コートダジュールの地域圏連合、医療組合連盟、銀行連盟、金融連盟など、数多くの組織がこの命題に答を見つけだそうと試みる。また、中央の方針に反対する35程度の県連合でも脱退の問題が話し合われることになりそうだ。

一方で、オーヴェルニュ地域圏連合では、「組合運動の分散化を避ける必要性」が強調され、同調的な運動が求められている。その視線の先にはCGT(労働総同盟)がある。また、一部の組織は、FSU、SUD(連帯・統一・民主連盟)、あるいはUNSA(全国自治組合連合)に目をつける。各県職員組合はFSUへ加盟する意思を隠していないが、FGTEはCGTを視野に収め、一部の医療組合はSUDやUNSAを候補にしているようだ。その他の組合はこうした議論を注意深く観察している。CGTも現在の動向を慎重に見守っているが、これらの新組合員を「好意的に」迎え、新チームを統合する用意を整えつつある。とは言え、既存の組合と何らかの衝突が生じる可能性もないわけではない。また、FSUは状況に対応するために、2004年1月の次期大会で新たな組織化部門の設置について決定することになる。しかし、議論の間も、接触は続けられる。

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