特集1:フランスにおける失業保険の位置づけとその歴史
失業保険の基本的位置づけ
フランスの社会保障制度の特徴の1つは、リスクごとにそれをカバーする運営機関が異なる点である。例えば、医療および労働災害・職業病の保障に当たるのは全国被用者医療保険金庫(CNAM)、家族給付は全国家族手当金庫(CNAF)、老齢保険は全国被用者老齢保険金庫(CNAVTS)といった具合である(注1)。
失業保険も同様に、全国商工業雇用連合(UNEDIC)およびその地方機関である商工業雇用協会(ASSEDIC)によって運営されて、実際の保険料徴収や失業保険給付、いわゆる窓口業務はASSEDICが担当している。厳密に言うと失業保険制度は社会保障法典第111-1条に規定される法定の「社会保障(securite sociale)」には含まれないが、法定外制度の1つとして社会保護(protection sociale)全体の一翼を担っている。
失業保険制度にはまた、失業者の再就職を支援する役割もある。失業保険運営機関は、国立雇用機関(ANPE)(注2)および国・地方の雇用促進機関(注3)と協議・連携し、雇用政策の側からも重要な役割を担っている。
すなわち、フランスの失業保険制度は、社会保障政策と雇用政策の双方に係るものとして位置づけられる。
注
- これらは商工業被用者が主たる対象となる一般制度の場合。年金に関してはこのほかに補足退職年金制度があり、その運営機関はまた異なる。
- 日本の職業安定所に相当。
- 雇用-職業訓練総局(DGEFP)、県労働-雇用-職業訓練総局(DDTEFP)。
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- 特集2:失業保険制度
- 特集3:連帯制度と早期退職制度
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- 特集5:フランスにおけるWelfare to Work政策
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