個人パネル調査「仕事と生活、健康に関する調査」(JILLS-i)の概要、分析結果
JILPTでは、第5期プロジェクト研究サブテーマ「経済社会の変化と労働者の生活、健康、ウェルビーイングに関する研究」において、個人を対象としたパネル調査「仕事と生活、健康に関する調査」(略称:JILLS-i)を継続実施しています。本ページでは、調査の概要や分析結果をご紹介します。
■ 調査について
調査名
JILPT個人パネル調査「仕事と生活、健康に関する調査」(略称:JILLS-i)
調査趣旨
我が国の経済社会は、人口減少・少子高齢化、DXの進展等による構造変化が進む中で新型コロナウイルス感染症の多大な影響を受け、変化が加速している。人々の働き方も、テレワークの拡大や副業・兼業への関心の高まりなど、多様性を増している。また、長時間労働のみならず、夜勤・不規則勤務やハラスメント等、労働環境・職場環境に伴う健康リスクも注視すべき状況にある。近年は、「ウェルビーイング」という言葉が注目され、人々の望ましい生き方や、それを実現するための社会経済環境に関心が集まっている。こうした今日の状況をふまえ、本調査は、中年層を対象に、仕事(仕事特性、働き方、業務負荷等)と、生活、健康、主観的ウェルビーイングについて、同一個人における変化を半年間隔で追跡し、相互の関係を分析することを主な目的とする。
調査概要
- 調査方法
- Web調査(調査会社のWebモニターを使用したアンケート調査)
- 調査対象
- 第1回調査時点において日本国内に居住する35~54歳の男女(第2回調査以降は、第1回調査回答者を対象に継続調査を実施。調査実施時期は毎年1月・7月)
- 標本設計
- 第1回調査のサンプルサイズ20,000(社会全体の人口分布に沿うよう、総務省「令和2年国勢調査」をもとに、男女(2区分)×年齢階層(5歳刻み4区分)×就業形態(正社員・非正社員・自営業等・非就業の4区分)×居住地域(8区分)×学歴(大卒・非大卒の2区分)で目標サンプル割付し、設計通り回収)
- 主な質問項目
- 就業状態、仕事特性、個人属性、主観的ウェルビーイング、健康状態、健康行動、生活時間、家庭生活、収入、業務負荷、経歴等に関する項目
調査期間・有効回答数・継続回答率
調査期間 | 有効回答数 | 継続回答率(各回/第1回) | |
---|---|---|---|
第1回調査 | 2023/1/18-1/25 | 20,000 | - |
第2回調査 | 2023/7/24-7/31 | 15,573 | 77.9% |
第3回調査 | 2024/1/22-2/7 | 15,376 | 76.9% |
第4回調査 | 2024/7/18-8/6 | 14,106 | 70.5% |
第5回調査 | 2025/1/22-2/5 | 12,965 | 64.8% |
■ 報告書、ディスカッションペーパー等
- ディスカッションペーパー25-Ex-03『仕事の自律性と主観的厚生─就業形態と実際の自律性の重要性─』(PDF:2.33MB)(2025年7月31日)
孔 令琪、李 慧慧、高見 具広、鈴木 恭子、鳥居 勇気、勇上 和史
- ディスカッションペーパー25-Ex-02『週末の寝だめと健康・ウェルビーイングとの関連─中年層労働者パネルデータを用いた検証─』(PDF:2.10MB)(2025年7月31日)
王 薈琳、小林 秀行、高橋 正也
- ディスカッションペーパー25-Ex-01『運動習慣の推奨は企業経営に合理的か?─正社員労働者が運動習慣を変化させることによるウェルビーイング・ワークエンゲイジメント・生産性への影響─』(PDF:2.75MB)(2025年7月31日)
加島 遼平、高田 琢弘、松尾 知明、蘇 リナ
- 労働政策研究報告書No.235『働き方と生活・健康の課題─JILPT個人パネル調査の分析─』(2025年3月31日)
序章 問題意識と研究方法(高見 具広)
第1章 基本項目の回答傾向─男女差に着目して(鳥居 勇気、高見 具広、鈴木 恭子)
第2章 職業特性と健康─日本版O-NETとの接続による分析(高見 具広、小松 恭子、山本 雄三)
第3章 精神的・身体的健康の悪化リスクと世代内移動の関連─初職と現職の職業階級の差異─(鳥居 勇気)
第4章 非典型時間帯労働と勤務日・休日の睡眠時間との関連(王 薈琳、小林 秀行、高橋 正也、鈴木 恭子、高見 具広)
第5章 ポストコロナのテレワーク(高見 具広、山本 雄三)
第6章 労働組合の加入形態は「仕事の質」に関係するか(鈴木 恭子、中村 天江)
- ディスカッションペーパー24-03『「仕事の質」からみる働き方の多様性』(2024年4月4日)
鈴木 恭子
- 調査シリーズNo.234『JILPT個人パネル調査「仕事と生活、健康に関する調査」第1回』(2023年12月28日)
高見 具広、鈴木 恭子
■ その他の関連成果
- 配布資料:生活時間と健康の確保に関わる働き方(PDF:786KB)(第131回労働政策フォーラム「時間帯に着目したワーク・ライフ・バランス─家族生活と健康─」2024年3月2日-6日/高見 具広)
- JILPTリサーチアイ第80回「ミドルエイジの健康を問う─男女の健康課題と就業への影響─」(2024年2月16日)(高見 具広)