プロジェクト研究:平成17年度

研究テーマ名 趣旨・内容

失業の地域構造分析に関する研究

本研究は、雇用失業の地域間格差を生み出す要因を分析し、各地域の特性を踏まえ、産業政策を含めた雇用失業情勢の改善のための効果的な方策について提言を行う。

17年度は、データ分析結果に基づいて抽出された雇用創出効果の大きな地域、代表的な構造改革特区地区、企業誘致成功地域などの事例調査を通じて、いかなる地域要因と政策が雇用創出に結びついたのかを明らかにする。これらの調査研究によって、データ分析研究と事例調査研究を融合させ、最終報告書のとりまとめに向けた整理を行う。

労働条件決定システムの再構築に関する研究

本研究は、個別化・多様化の進展に関する実態の把握、関連する諸問題の分析を行い、これに対応した労働条件決定の枠組み・ルールづくりについて検討し、必要な政策提言を行う。

17年度は、労働関係の変化と法システムのあり方(労働関係における集団と個人のあり方、労働法における実態と手続のあり方)について主要国の動向を把握・分析し、日本の労働組合・労使協議の果たしている機能と実態について把握・分析するほか、平成16年度までの研究成果を踏まえ最終報告書のとりまとめに向けた整理を行う。

我が国における雇用戦略の在り方に関する研究

本研究は、OECD、EU等及びこれら諸国の雇用戦略と各国における政策運営への反映、実施状況、政策効果等の分析の下に、我が国において雇用戦略を策定する場合の労働市場構造、社会的背景、雇用関係法制の体系などの特性を検討し、モデルプランの提示を行う。

17年度は、16年度から引き続きわが国における雇用戦略のモデルプランの提示に向けた考え方の整理(最終報告書のとりまとめに向けた整理)を行うとともに、必要に応じて関係する個別事項に関する研究を行う。

多様な働き方を可能とする就業環境及びセーフティネットに関する研究

本研究は、多様な働き方の実態を把握し、諸外国の現状も踏まえ、多様な働き方を可能とする就業環境のあり方や労働関係法制の適用に関するセーフティネットのあり方について検討し、労働法制の整備を中心とした厚生労働政策に資する。

17年度は、16年度までの各論的分析を受けて就業・雇用形態の多様化に関する総合的な分析を行いつつ、それぞれの有する課題や問題点を析出し、最終報告書のとりまとめに向けた整理を行う。

企業の経営戦略と人事処遇制度等の総合分析に関する研究

本研究は、大きく変わりつつある我が国企業の経営戦略と人事処遇制度等を総合的に分析し、今後の企業経営と労働に関して問題提起を行う。

17年度は、16年度に実施した企業アンケート調査、労働者アンケート調査の分析を行うとともに、企業と労働者の中間分析単位として「職場」に注目した調査の実施・分析等により、国際競争力を備えた、労使双方にとって望ましい人材マネジメントの仕組みを提案し、16年度までの研究成果も踏まえて、最終報告書のとりまとめに向けた整理を行う

職業能力開発に関する労働市場の基盤整備の在り方に関する研究

本研究は、職業能力評価、教育訓練、キャリアコンサルティング、職業情報システム等について、主要諸外国及び国内の状況を調査するとともに、我が国がめざすあり方について提言を行う。

17年度は、職業教育訓練の供給の現状を踏まえ、また、生涯にわたる能力開発とキャリア形成上の課題整理をしたうえで、職業訓練需要側に対するアンケート調査を行い、能力開発の実態とニーズその問題点を整理・分析し、16年度までの研究成果も踏まえ最終報告書のとりまとめに向けた整理を行う。

仕事と生活の調和を可能とする社会システムの構築に関する研究

本研究は、雇用政策及びこれと密接に関連する教育、保育、介護等の広い分野について、仕事と家庭的責任及び自己啓発等との両立を可能にする社会システムのあり方と必要な雇用政策について提言を行う。

17年度は、全国規模のアンケート調査の実施と分析を行い、各ライフステージにおける仕事と生活の両立の実態と課題を明らかにする。さらに16年度までの研究成果も踏まえ、仕事と生活のバランスを可能にする社会システムの課題を明らかにした最終報告書のとりまとめに向けた整理を行う。

総合的な職業情報データベースの開発にかかる研究

本研究は、海外諸国の先行例も踏まえて、我が国における総合的な職業情報データベースが備えるべき要件に関する政策的インプリケーションを提示しつつ、そのプロトタイプ、実用版の開発を図る。

17年度は、第一次実用試験版のハローワーク等での試験運用を通じて、システム、コンテンツ両面の改善を図り、18年度中の一般公開に向けて第二次実用試験版を開発する。併せて、システムに搭載する情報として、総合的な職業情報のコンテンツについても関連する開発を行うとともに、収集・整備を継続して行う。

ホワイトカラーを中心とした中高年離職者の再就職支援等に関する研究

本研究は、中高年離職者等就職困難者の再就職支援について、グループエンカウンター、インターネットによるサイバーカウンセリング等さまざまな技法やテクノロジーを活用して、新たなカウンセリング技法及びシステムを開発する。

17年度は、個人実験の成果を活かしながら、自己理解支援のためのインベントリーを試作する。また中高年版のキャリア・インサイト(仮称)の試行版を開発する。また、職業相談逐語記録解析ツールを使って中高年求職者を対象とする職業相談のモデルを検討する。