JILPTリサーチアイ 第80回
ミドルエイジの健康を問う─男女の健康課題と就業への影響─

著者写真

労働市場・労働環境部門 主任研究員 高見 具広

2024年2月16日(金曜)掲載

労働政策研究・研修機構(JILPT)は、2023年1月より、JILPT個人パネル調査「仕事と生活、健康に関する調査」(JILLS-i)を開始した。同調査は、全国35~54歳の男女を対象に、同一個人を追跡する形で、仕事、生活、健康の状況を半年間隔で調査し、その変化および相互の影響関係を研究することを主な目的としている[注1]。ここでは、その第1回調査(以下、JILPT調査)の中から、健康に関する調査結果を紹介する。

40~50代など「ミドルエイジ」の人々の健康は、シニア層に比べれば、疾患の発症という形の健康問題は少ないだろう。厚生労働省「国民生活基礎調査」に基づくと、傷病で通院している者の比率(通院者率)は、60代以上に比べて、50代以下では低い[注2]。しかし、更年期症状(更年期障害)など、この年齢層特有の健康課題も指摘される[注3]。また、医療機関にかかる疾患に限らず、人々が日々の生活の中で感じる不調や痛みは、健康課題を考える上で無視できない。「国民生活基礎調査」によると、腰痛、肩こりなどの自覚症状のある割合は、若年層に比べて年齢が上がるほど高くなる。また、日常生活で悩みやストレスがある者の割合は30~50代で高い[注4]。ミドルエイジは、働き方やライフステージが多様な年齢層であり[注5]、その心身の健康と仕事・生活との関係は、問われるべきテーマだろう。

以下では、JILPT調査をもとに、ミドルエイジの健康を性別・年齢との関係から見るとともに、就業への影響を考えたい。

男女・年齢別に健康課題を見る

まず、人々が自身の健康状態についてどのように感じているか、性・年齢階級別、就業有無別の結果を示す(表1)。この指標は「主観的健康」とも呼ばれる。性・年齢階級によるちがいを見ると、男女とも、35~44歳に比べて45~54歳では「よい」「まあよい」の割合が低く、加齢にともなって、健康が良好という割合が低下する傾向が示されている。就業状態別に見ると、就業者は非就業者に比べて「よい」「まあよい」「ふつう」の割合が高く、「あまりよくない」「よくない」の割合が低い[注6]。就業が健康に好ましい影響を与える面と、健康な者ほど就業している面の、両方があるだろう。主観的健康には、治療を要する疾患の有無はもちろん、日常生活の中での心身の状態等、様々な要素が反映されると考えられる。以下で具体的に見ていきたい。

表1 人々の認識する健康状態(主観的健康)──性・年齢階級別、就業状態別

よい まあよい ふつう あまりよくない よくない (N)
男性 35~44歳 9.8% 23.4% 47.6% 15.4% 3.8% 4,531
45~54歳 7.4% 20.1% 49.7% 18.9% 3.9% 5,389
女性 35~44歳 12.4% 26.9% 41.4% 15.9% 3.4% 4,571
45~54歳 9.4% 23.2% 44.6% 19.3% 3.5% 5,509
就業状態 就業者 9.9% 23.9% 46.6% 16.9% 2.7% 17,048
非就業者 7.9% 19.3% 42.4% 21.4% 9.0% 2,952

健康診断の受診有無および指摘された異常の有無を見る(表2)。過去1年間における健診受診割合は回答者全体では67.6%であるが、男女差があり、男性に比べて女性の受診割合が低い。これは、就業形態の違いを反映していよう。図表は省略したが、健診受診割合は、正社員で79.4%であったのに対して、非正社員で63.4%、自営業等で41.3%、非就業者で39.5%であった。就業形態によるちがいが大きい。

健診を受診した者の中での異常の有無を見ると、男性では、「コレステロール」「肥満」「血圧」「血糖値」などで異常が指摘された割合が女性より高い。特に45~54歳の男性では、「異常なし」が26.9%にとどまる一方、「コレステロール」で38.4%、「肥満」で31.1%、「血圧」で26.7%、「血糖値」で13.7%の者が健診で異常を指摘されている。これらは、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病に関わる異常を示している。ミドルエイジの健康課題として、生活習慣病や、そのリスクとなる生活習慣(飲酒、喫煙、食事、運動等)がまずあげられ、それは特に男性で問題となっていよう。

表2 健診の受診状況と異常有無──性・年齢階級別

健診受診割合 健診受診者における異常の有無(健診受診者合計100%としたときの割合) (N)
異常なし 肥満 血糖値 血圧 コレステロール その他 不明
合計 67.6% 36.1% 22.3% 8.2% 16.5% 30.6% 15.2% 5.0% 20,000
男性 35~44歳 68.9% 39.1% 26.6% 7.5% 16.1% 28.5% 12.2% 3.8% 4,531
45~54歳 72.3% 26.9% 31.1% 13.7% 26.7% 38.4% 12.6% 4.7% 5,389
女性 35~44歳 59.9% 47.2% 13.8% 3.5% 6.7% 21.4% 18.7% 5.2% 4,571
45~54歳 68.5% 35.1% 15.9% 6.4% 13.3% 30.9% 17.7% 6.0% 5,509

注:調査票において、「肥満」は「肥満(BMIが高い)」、「血糖値」は「血糖値が高い」、「血圧」は「血圧が高い」、「コレステロール」は「コレステロール値・中性脂肪値が高い(または低い)」、「不明」は「覚えていない・答えたくない」である。

健康課題は、生活習慣病にとどまるものではない。人々が日々の生活で感じる心身の不調に目を向けてみよう。調査では、身体症状の有無について尋ねた。ここで、身体症状とは、精神の症状が身体の不調・不具合として身体化したもので、疲労・活力低下、睡眠障害、腰痛、頭痛、腕・脚・関節の痛み、腹痛、胸痛といった愁訴として報告されるものを指す[注7]。JILPT調査では、身体症状スケール「Somatic Symptom Scale-8 (SSS-8)」をもとに、8項目の自覚症状の有無・頻度について尋ねた[注8]。まず、各症状について、「かなり悩まされている」「とても悩まされている」割合を見ると(表3)、全体では、「疲れている、または元気が出ない」(21.7%)、「背中、または腰の痛み」(20.7%)、「睡眠に支障がある」(14.6%)、「腕、脚、または関節の痛み」(13.2%)、「頭痛」(11.6%)などが比較的多くあげられる。性・年齢階級別に見ると、症状の有無には、年齢による差に加え、男女差があり、女性は男性に比べて「頭痛」「疲れ」「睡眠に支障」などの症状が多い。女性特有の健康課題がうかがえる。

表3 身体症状──性・年齢階級別

胃腸の不調 背中、または腰の痛み 腕、脚、または関節の痛み 頭痛 胸の痛み、または息切れ めまい 疲れている、または元気が出ない 睡眠に支障がある (N)
合計 8.3% 20.7% 13.2% 11.6% 4.3% 4.3% 21.7% 14.6% 20,000
男性 35~44歳 7.4% 19.4% 10.1% 9.6% 4.4% 3.2% 20.5% 13.1% 4,531
45~54歳 7.6% 21.5% 14.4% 6.5% 4.1% 3.0% 18.7% 13.3% 5,389
女性 35~44歳 9.6% 20.3% 11.2% 16.6% 4.4% 5.9% 25.1% 15.3% 4,571
45~54歳 8.7% 21.3% 16.0% 14.2% 4.2% 5.1% 22.8% 16.6% 5,509

注:「かなり悩まされている」「とても悩まされている」を合計した割合を示している。

この8つの症状への回答は、回答を合成したSSS-8スコア(0~32点)として、全体的な身体症状の深刻度を測ることができる。スコアが高いほど身体症状の深刻度が高いことを表す。ここでは、性・年齢階級別、就業状態別にSSS-8スコアの状況を示す(図1)。まず、性・年齢階級別に見ると、女性では「なし(0~3点)」の割合が男性に比べて低く、点数が高い。女性ほど身体症状の深刻度が高い傾向を示しており、男性が健診で生活習慣病に関わる異常を多く指摘されるのとは対照的である。また、男女とも、35~44歳に比べて45~54歳層でスコアがやや悪い(スコアが高い)傾向にあり、身体症状の深刻度が増していることがわかる。就業状態によるちがいを見ると、就業者は非就業者に比べて「なし」「低い」の割合が若干高いものの、同時に、就業者においても約半数の者が「中程度」以上の状況にあり、「高い」「非常に高い」も合計約3割を占めていることがわかる。身体症状を抱えながら仕事をしている者が少なくないことがうかがえる[注9]

図1 身体症状SSS-8スコアの傾向──性・年齢階級別、就業状態別

図1グラフ

不調や痛みへの対処─医薬品の使用割合を見る

人々は、腰痛、頭痛、疲れ、不眠といった日々の不調や痛みにどのように対処しているのか。頭痛に対して市販の解熱鎮痛薬を服用することをはじめとして、メンタルヘルスや不眠も含めた日々の不調や痛みに対し、医療機関にかからず、市販薬・漢方薬やサプリメント等の使用で対処している場合もあるだろう[注10]

JILPT調査では、解熱鎮痛薬、情緒不安定を緩和する薬、睡眠薬について、使用有無・頻度を尋ねた。情緒不安定を緩和する薬、睡眠薬については、処方薬が多く含まれると推測されるが、調査では、処方薬に限らず、市販薬や漢方等も含めて、過去1か月における使用の有無を尋ねた[注11]。ここでは、それぞれの医薬品を週1回以上使用している割合について、性・年齢階級別に示す(表4)。全体で見ると、週1回以上使用している者の割合は、解熱鎮痛薬10.7%、情緒不安定を緩和する薬8.5%、睡眠薬6.2%であった。解熱鎮痛薬については、女性の使用割合が男性より高いものの、生理痛への対処が含まれるであろう月1回以上使用割合(女性:50.9%>男性:27.5%)と比べると、男女差は大きくない。情緒不安定を緩和する薬、睡眠薬については、本調査では、大きな男女差は認められない。

表4では、あわせて、身体症状の深刻度別に医薬品使用傾向を示している。SSS-8スコアが「非常に高い(16点以上)」人では、週1回以上の使用割合が、解熱鎮痛薬25.7%、情緒不安定を緩和する薬20.8%、睡眠薬16.5%であるなど、症状の深刻度が高い人ほど、医薬品の使用割合が高い傾向が示される。また、身体症状が「高い」や「中程度」の人においても、一定割合の人が、週1回以上医薬品を使用していることが確認される。

以上の結果から、ミドルエイジにおいて、健康課題は、個人が感じている不調や痛みのレベルで見れば一定の広がりがあり、不調や痛みを抱える者において、医薬品の習慣的な使用が、対処行動のひとつになっていることがうかがえる。こうした健康課題は、加齢に伴うものでもあるが、仕事・生活の状況等による個人差も考えられる。今後研究していきたい。

表4 医薬品の週1回以上の使用割合──性・年齢階級別、身体症状の程度別

解熱鎮痛薬 情緒不安定を緩和する薬 睡眠薬 (N)
合計 10.7% 8.5% 6.2% 20,000
男性 35~44歳 8.1% 7.6% 5.4% 4,531
45~54歳 7.4% 7.7% 6.8% 5,389
女性 35~44歳 12.8% 9.3% 5.6% 4,571
45~54歳 14.2% 9.2% 6.6% 5,509
身体症状 なし(0~3点) 2.1% 2.6% 1.6% 4,170
低い(4~7点) 5.4% 4.3% 2.8% 5,089
中程度(8~11点) 10.1% 7.6% 5.4% 4,644
高い(12~15点) 17.2% 12.4% 9.0% 3,099
非常に高い(16点以上) 25.7% 20.8% 16.5% 2,998

注1:それぞれ「週に1~3回程度」「ほぼ毎日」使用と回答した割合の合計。

注2:各項目は、調査票で以下のように定義した。「解熱鎮痛薬」:熱や痛み(頭痛、生理痛、関節痛、歯痛など)を抑える薬。「情緒不安定を緩和する薬」:不安・落ち込み・イライラなどの情緒不安定を緩和する薬。「睡眠薬」:睡眠導入剤・睡眠改善薬を含む。いずれも、処方薬のほか、市販の薬・漢方等も含み、サプリメントは除く。

健康状態の就業への影響

健康に問題がある場合、仕事にはどのような影響が及ぶのか。健康状態の悪化によって離職や休職をせざるを得ない場合のほか、そうでない場合でも、不調を抱えながら出勤する中でパフォーマンス(業務の効率や成果)が低下することが考えられよう。

健康状態が良好でないために出勤中の業務パフォーマンスが低下している状態は「プレゼンティーイズム」と呼ばれる。JILPT調査では、病気等がないときを基準(100%)として、過去4週間の業務パフォーマンスを0~100%で評価してもらう方式で、プレゼンティーイズムを調査した[注12]。プレゼンティーイズムは「100-回答値」で算出されるが、以下では、回答値の分布を示す。値が100%に近いほどプレゼンティーイズムは小さく、値が低いほど、大きなプレゼンティーイズムが生じていることを示す。

先の図1では、就業者においても身体症状の深刻度が「高い」「非常に高い」者が3割程度いることが示されていた。そうした不調を抱えながら仕事をする場合、業務パフォーマンスに影響が出るのではないか。就業者(休職・休業中の者を除く)を対象に、プレゼンティーイズムに関わる回答分布を、身体症状の深刻度別に見よう。ここでは、SSS-8スコア12点を閾値として、症状の深刻度が「なし~中程度」(11点以下)の者に比べて、深刻度が「高い~非常に高い」(12点以上)の者で業務パフォーマンスが低下している可能性を考察する。男女による傾向のちがいもあわせて見るため、男女別に結果を示した(図2、3)。

男女とも、身体症状の深刻度が「なし~中程度」の人では、パフォーマンス「100%」が3割超を占めるなど、高いスコアに大半が分布している[注13]。これに対し、深刻度が「高い~非常に高い」の人では、50~70%台など、低いスコアにも分布が広がっており、業務パフォーマンスの低下が観測される。こうした傾向は、男女とも共通している。この結果からは、身体症状として表される不調や痛みは、業務パフォーマンスを引き下げていると示唆される。なお、図1で見たように、身体症状の深刻度は、男女で比較すると女性の方が高く、女性特有の健康課題による業務への影響も推測されることから、どのような症状がパフォーマンスに影響するのか等が、今後詳細に研究すべきテーマとなる。また、症状が深刻な場合、仕事を続けられない場合も考えられよう。健康状態による就業継続への影響については、同一個人を追跡するパネル調査の分析で解明していきたい。

図2 プレゼンティーイズムに関わる回答分布──身体症状の深刻度別(男性)

図2グラフ

図3 プレゼンティーイズムに関わる回答分布──身体症状の深刻度別(女性)

図3グラフ

おわりに

本稿は、ミドルエイジの健康状態と就業への影響について、JILPT調査の結果を紹介した。この年齢層における健康課題は、健診で指摘されるような生活習慣病とそのリスクのほか、心身の不調という形でも存在する。調査結果からは、そうした日々の不調や痛みに対して、人々が市販薬を含めた医薬品服用等で対処している姿が推測された。この年齢層が仕事や生活において多忙であることも、不調への対処の仕方に関係しよう。

少子高齢化が進み、労働力の構成においても、若年層の割合が低下するとともに、中高年層の比重が増している。そうした中、国の政策や企業の労務管理において、働く者の健康はますます重要な課題になっている。

本調査が示すように、就業者においても、心身の不調を抱えながら働いている人が一定程度いる。その中には、業務パフォーマンスに影響が出ている場合も見受けられる。健康は、一義的には本人がその維持につとめるものとも言えるが、同時に、たとえば、労働者の健康が保たれなければ、生産性の低下、休職、離職につながりうるなど、企業にとっても重要な経営課題だろう。従業員の健康確保のための過重労働防止は当然であるが、それ以外にも、働きやすさを高めるために、休暇を取得しやすい業務体制を整備する、テレワークやフレックスタイムの活用等で働き方の柔軟性を高めるといった、労務管理上の取組みも求められよう。また、人々の健康は社会的課題であることから、健康診断の受診率をいっそう高めるとともに、意識啓発等、健康増進に取り組むことに意義があると考えられる。

参考文献

  • 古井祐司, 村松賢治, 井出博生(2018)「中小企業における労働生産性の損失とその影響要因」『日本労働研究雑誌』695: 49-61.
  • Gierk, B., Kohlmann, K, Kroenke, K, et al. (2014) “The somatic symptom scale‒8(SSS‒8):a brief measure of somatic symptom burden.” JAMA Internal Medicine 174:399‒407.
  • 国立精神・神経医療研究センター(2022)「薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究 令和3年度総括・分担研究報告書」.
  • 厚生労働省(2022)「更年期症状・障害に関する意識調査 基本集計結果(2022年7月26日)」(PDF)新しいウィンドウ.
  • 松平浩, 川口美佳, 村上正人, 福土審, 橋爪誠, & 岡敬之. (2016)「日本語版 Somatic Symptom Scale-8 (SSS-8 [身体症状スケール]) の開発─言語的妥当性を担保した翻訳版の作成─」『心身医学』56(9): 931-937.
  • Matsudaira, K., Oka, H., Kawaguchi, M., Murakami, M., Fukudo, S., Hashizume, M., and Löwe, B. (2017) “Development of a Japanese version of the Somatic Symptom Scale-8: Psychometric validity and internal consistency.” General hospital psychiatry 45: 7-11.
  • Muramatsu, K, Nakao, K, Ide, H, and Furui, Y. (2021) “Testing the construct validity and responsiveness of the Single-Item Presenteeism Question.” Journal of Occupational and Environmental Medicine 63(4): e187-e196.
  • 労働政策研究・研修機構(2023)『JILPT個人パネル調査「仕事と生活、健康に関する調査」第1回』JILPT調査シリーズNo.234.

脚注

注1 調査の概要、集計、調査票については、労働政策研究・研修機構(2023)を参照。

注2 厚生労働省(2023)「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」を参照。

注3 厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」によると、女性の更年期症状(SMIスコア(簡略更年期指数)51点以上)は、40~49歳で17.7%、50~59歳で20.0%に見られる。男性の状況(AMSスコア(男性更年期障害質問票)で「中等度」以上)は、40~49歳で18.1%、50~59歳で20.7%である。厚生労働省(2022)を参照。

注4 2019年の「国民生活基礎調査」に基づくと、年齢階級別では、日常生活で悩みやストレスがあるとする割合は、男女ともに30代から50代が高く、男では約5割、女では約6割となっている。

注5 JILPT調査が対象とする35~54歳の就業形態は、総務省「令和2年国勢調査」に基づくと、男性においては正社員として就業している割合が8割近くある一方、女性では、非正社員の割合が3割を超え、非就業者の割合も2割を超える。

注6 就業者には、正社員のほか、非正社員(パート・アルバイト、契約社員、派遣労働者、嘱託)、自営業等を含む。休業者も含む。非就業者には、仕事を探している者も含む。図1も同様。

注7 松平ほか(2016)を参照。

注8 調査では、8項目について「ぜんぜん悩まされていない」~「とても悩まされている」の5件法で尋ねられている。図1のSSS-8スコアは、各項目を「ぜんぜん悩まされていない」=0点~「とても悩まされている」=4点のようにスコア化し、8項目の合計スコアを用いた。同指標について、Gierk et al. (2014)、松平ほか(2016)、Matsudaira et al. (2017) を参照。図1の閾値についても、上記の先行研究に基づく。

注9 図1の就業者(n=17048)には休業・休職中の者も含まれるが、休業・休職中の者を除いて集計した場合(n=16709)でも、身体症状「中程度」23.1%、「高い」15.6%、「非常に高い」14.4%であり、傾向はほぼ変わらない。

注10 国立精神・神経医療研究センター(2022)では、年齢階層別に、解熱鎮痛薬、精神安定薬、睡眠薬の使用割合・使用頻度の調査結果が示されている。

注11 それぞれの医薬品の調査票上の定義は、表4の注に示した。

注12 JILPT調査では、1項目の設問で簡易にプレゼンティーイズムを測定することができる「SPQ(Single-Item Presenteeism Question, 東大1項目版」を採用した。設問は「病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事を評価してください。」であり、0~100の数値で回答する。「東大1項目版」については、Muramatsu et al. (2021)、古井ほか(2018)を参照。

注13 詳細に見れば、身体症状「なし」と「中程度」とでは深刻度が異なり、プレゼンティーイズムへの影響も異なってくるが、本稿では割愛した。